母が亡くなり実家を整理していたところ、古い「固定電話」を発見! 半年間“毎月2000円程度”の基本料金が引かれていたようですが、「電話加入権」を売却すれば元が取れますか?
本記事では、固定電話の回線契約の概要と、加入権売却で利益が出る可能性の有無について解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
「固定電話」って現存するの? 2024年に廃止になったのでは?
現在、一般家庭や事務所などで目にする「固定電話」は、そのほとんどが光ファイバーケーブルを用いたインターネット回線(IP網)で提供されています。
従来のメタル線によるアナログ回線やISDNの「ディジタル通信モード」を利用した固定電話サービスは、2024年1月から段階的にサービスが終了し、新規契約の受付は2024年8月31日で終了しました。
つまり、2024年に廃止されたのは「アナログ回線やISDNの一部サービス」であり、「固定電話そのもの」ではありません。アナログ回線は徐々に廃止されているものの、現在も企業の連絡先や警察・消防といった緊急通報先などでは固定電話(IP網)が使われています。
半年間に支払った「固定電話」の基本料金は「電話加入権」を売却すれば元が取れる?
このように未だ需要が存在する固定電話ではありますが、結論から言えば「電話加入権の売却益」で「半年分の基本料金」の元を取るのは、現実的でないと言わざるを得ません。
NTT東日本株式会社によると、固定電話の毎月の基本料金は回線使用料(基本料)・付加機能使用料・屋内配線使用料・機器使用料で構成されています。例えば「3級取扱所」である東京の場合、全く利用しておらず通話料が0円であっても、住宅用の回線使用料(基本料)として毎月1870円~2145円程度の支払いが必要となる概算です。
一方で、電話加入権はこれとは別に、契約当初に支払う「施設設置負担金」を指します。不要になった電話加入権は解約しても戻ってきませんが、専門業者やネットオークションなどを利用して売却(譲渡)が可能です。ただし2025年現在、取引相場は安価であり、一般的な電話番号であれば数千円程度であるともいわれています。
さらに回線の名義変更に際しては、譲渡承認手数料が1回線あたり880円(税込み)発生することから、半年どころか1ヶ月放置していただけでも、売却益で取り返すのは難しいケースがあるでしょう。
「電話加入権」は相続財産としても価値が高くない
さらに、相続においても「電話加入権」に認められる価値は決して高いとはいえません。
国税庁では令和3年以降、電話加入権の評価を「売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価」すると定めました。ただし同時に、相続税等の申告に際しては電話加入権を「一括して評価する家庭用財産等」に含めて差し支えない、ともしています。
つまり、日常生活に必要な家具・家電といった「1点または1組あたりの価額が5万円以下と見積もられ、まとめて評価額を概算する財産」のひとつとして数えられることから、多くの場合、あえて相続したうえで回線を維持する意義は薄いといえるでしょう。
まとめ
以前はある程度の資産価値が認められる「電話加入権」でしたが、相続上の取り扱いも含め、2025年現在では実質的にわずかな価値しかないと考えられ、特段の事情がなければ利用料を払い続ける必要はなさそうです。
相続や名義変更の手続きが済んでおり、緊急連絡用など固定電話回線を残しておく理由もない場合は、早めに解約を申し出たほうが賢明かもしれません。
出典
NTT東日本株式会社 電話料金について 毎月の基本料金
国税庁 電話加入権の評価
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
