息子に「若いうちは旅行に行け」と言ったせいで、30代で「貯金が10万円しかない」と言われました。30代でも「貯金ゼロ」に近い人は多いのでしょうか?
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30代で貯金ゼロの割合は?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、30代で貯金ゼロにあたる「金融資産非保有世帯」の割合は、全体の27.5%にのぼります。つまり、30代のおよそ4人に1人が、貯金をほとんど持っていない状況です。
平均値と中央値の違い
30代の平均貯金額を知る上で、必要となる数値が「平均値」と「中央値」です。平均値とは、全てのデータを足した後、データの個数で割った値を指します。一方、中央値は、大きい数の順に並べたときに、中央にくる値です。
平均値だけを見ると実態より数が多く見える場合があるため、平均値と中央値の両方を確認する必要があります。次に、30代の単身世帯と二人以上世帯に分けて、具体的な貯金額を見ていきましょう。
単身世帯の場合
先ほどの「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、30代の単身世帯では、33.4%が貯金ゼロです。そして、貯金額の平均値は459万円ですが、中央値は90万円にとどまります。平均値と中央値の差が大きく、実際には30代の単身世帯の多くが、平均ほどの貯金を持っていないと分かります。
若いころの収入の少なさや、家賃・生活費の負担が大きいことも、単身世帯の貯金が進みにくい要因の一つといえるでしょう。
二人以上世帯の場合
30代の夫婦を含む二人以上世帯では、貯金ゼロの割合は24.5%です。また、貯金額の平均値は677万円、中央値は180万円で、単身世帯よりも貯金額の水準は高いものの、やはり中央値は平均を大きく下回っています。
共働き夫婦で収入が増える一方、結婚・出産・住宅購入といったライフイベントが重なり、出費がかさむ世代であるため、貯金が進みにくい理由の一つといえます。
貯金を増やすコツ
30代は結婚や出産、住宅購入のライフイベントが重なり、貯金が思うように進まない世代でもあります。ただし、生活の中でいくつか工夫を取り入れれば、少しずつ貯金状況を改善できます。
家計の状況を把握する
貯金を増やすために、まずは家計の全体像を正しく把握しましょう。毎月いくら収入があり、どれだけ支出しているのかを把握しなければ、貯金を増やす余裕があるのかも判明しません。
例えば、家計簿アプリを使えば、支出を自動で分類してくれるため、無駄遣いを客観視できます。数ヶ月だけでも記録すれば、意外な浪費に気付けます。
貯金分を先に給料から抜く
「生活費から余ったら貯金しよう」と考えても、実際には貯金にまわらないケースがほとんどです。おすすめは、給料が入った時点で一定額を自動的に貯金用口座に移す「先取り貯金」です。
例えば、毎月2万円を移す設定にすれば、年間で24万円の貯金ができます。少額でも積み重ねれば金額が大きくなり、貯金が増えている実感を持ちやすくなります。
固定費を見直す
日々の支出の中で、大きな割合を占めるのが固定費です。スマホ代・保険料・光熱費・サブスクリプション・車の維持費などは、毎月必ず出ていくお金であるため、見直す効果が表れやすいのが特徴です。
例えば、格安スマホへの乗り換えや、不要な保険やサービスを解約するだけで、年間で数万円の節約につながります。浮いた分をそのまま貯金に回すことで、着実に資産を積み上げられるでしょう。
30代は約4人に1人が貯金ゼロ
30代では約4人に1人が貯金ゼロという実態があり、単身世帯では33.4%、二人以上世帯でも24.5%が貯金を持っていません。また、30代での貯金額の平均値は、数百万円にのぼりますが、中央値は大きく下回り、多くの世帯は十分な貯蓄を持てていない状況です。
ただし、家計の把握や先取り貯金、固定費の見直しなどを実践すれば、30代からでも貯金状況を改善できます。まずは、将来を悲観しすぎず、今できることから取り組んでいきましょう。
出典
J-FLEC(金融経済教育推進機構) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
