冷房を28℃設定にしたら「電気代」はいくら節約できる?1ヶ月のリアル検証
この記事では、1度の差がもたらす節約効果を検証するとともに、快適さを犠牲にしない工夫について解説します。
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28度設定で電気代はどれくらい変わる?
エアコンの電気代は「消費電力量×電気料金単価」で計算できます。
設定温度が1度変わると約10〜13%の消費電力削減効果があるとされています。仮に1日8時間、1ヶ月(30日)使った場合の試算を見てみましょう。
電気代の試算
冷房能力2.8kWクラスの家庭用エアコン、1時間あたり0.78kWh消費、電気料金31円/kWhと想定した場合の1ヶ月にかかる電気代は、表1の通りです。
表1
| 設定温度 | 消費電力量(1日8h×30日) | 電気代の目安(月) |
|---|---|---|
| 26度 | 約187.2 kWh | 約5803円 |
| 27度 | 約168.5 kWh | 約5223円 |
| 28度 | 約149.8 kWh | 約4643円 |
※参考資料より筆者作成
この条件では、26度から28度に設定を上げると、1ヶ月あたり約1160円の節約効果がある試算です。実際にかかる電気代は、エアコンのスペックや使用環境により異なりますが、無視できない節約効果であることが分かります。
快適さと節約のバランス
同じ28度でも、人によって「快適」と感じるか「暑い」と感じるかは異なります。
体質や活動量、服装によって感じ方が変わるため、28度が最適な温度とは言い切れません。特に、高齢者や小さな子どもは体温調節が苦手であるため注意が必要です。
健康への影響と注意点
無理に節電を優先すると、熱中症や脱水症状のリスクが高まります。気温が28度以上になると熱中症指標が警戒レベルに達する可能性があり、特に注意が必要です。
節電よりも健康を第一に考え、体に負担がかかる場合は無理せず27度や26度に下げてください。
湿度管理で28度でも涼しい空間に
同じ温度でも、湿度が高いと蒸し暑く感じます。例えば湿度70%と50%では、体感温度に2〜3度の差が出ることがあるようです。除湿モードや除湿機を活用し、室内湿度をコントロールすれば、28度設定でも過ごしやすくなります。
サーキュレーターや扇風機を組み合わせた節電術
冷房を28度に設定しても、工夫次第で快適さは大きく変わります。代表的な方法を見ていきましょう。
冷気を循環させて体感温度を下げる
エアコンの冷気は床にたまりやすく、部屋の上部に温かい空気がこもりがちです。そこで、サーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させると、室温を下げなくても体感温度が下がるといわれています。
28度設定でも涼しく感じられるのは、この「空気の攪拌(かくはん)効果」が大きな理由です。
消費電力はわずかで節約効果は大きい
サーキュレーター1台の消費電力は20〜30W程度が一般的で、1日8時間(30日)使っても電気代は150〜220円程度にしかなりません。
一方でエアコンの設定温度を1度高くすれば、先ほどの試算の通り、月に1000円以上の節約につながる可能性があります。少ない追加コストで大きな効果が得られるため、非常に効率的な節電方法といえるでしょう。
設置場所と風向きを工夫する
より効率的に室温を下げるには、設置方法も重要です。サーキュレーターは人に直接風を当てるのではなく、壁や天井に向けて空気を攪拌させてください。エアコンの対角線上に置き、冷気を部屋全体に広げるように風を送ると、体感温度を下げながら均一な室温が保てます。
扇風機は、直接体に風を当てて涼しさを感じたい場合に使うと効果的です。
温度設定以外でできる節電の工夫
冷房の節約は、エアコンの設定温度だけに頼る必要はありません。例えば、窓に遮熱カーテンや断熱フィルムを取り入れると、日射による室温上昇を防ぐことができます。また、室外機の周囲に直射日光が当たらないよう日よけを設置すると、冷房効率が高まり、消費電力を抑えられるでしょう。
こうした小さな工夫を積み重ねることで、28度設定を無理なく続けられる快適な住環境を整えられます。
健康を守りながら上手に節電しよう
冷房を28度に設定すると、1ヶ月で1000円程度の電気代節約効果が期待できます。ただし、家庭の状況によっては快適さを損なう可能性があるため、湿度対策やサーキュレーターの併用が欠かせません。
さらに、窓に遮熱カーテンを取り入れる、室外機周りに直射日光を避ける工夫をするなど、温度設定以外の工夫も有効です。節約効果を最大化しながら健康を守るには、「無理に温度を下げ過ぎない」「体調に合わせて設定を柔軟に変える」といったバランスも考えましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
