現在勤めている会社には「退職金」がないため、自分で「老後資金」を準備できるか不安です。40代の今からでもできる「対策」があれば教えてください。
しかし、老後資金の準備は今からでも十分に間に合います。公的年金の見込み額を確認し、NISAやiDeCoといった制度を利用して毎月少しずつ積み立てれば、不安を安心に変えていくことができるでしょう。そこで今回は、40代からでもできる老後資金の対策を紹介します。
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目次
退職金がない不安は「不足額の見える化」で半分解消する
まず、現状を数字で見える化します。公的年金の受取見込みは、日本年金機構の「ねんきんネット」で簡単に試算できます。ねんきんネットは、2025年の画面改修で操作が分かりやすくなり、将来の受取額を前提に家計を組み立てやすくなりました。毎年届く「ねんきん定期便」と合わせて確認すると精度がより上がるでしょう。
退職金制度の有無は会社次第で、厚生労働省の統計によると、制度がある企業は約75%です。制度がないケースも一定数あるため、「退職金が前提」という思い込みを外し、自分で準備する計画を練ることが出発点になります。
税優遇を最大限に使うなら新NISAとiDeCoを併用する
新NISAは2024年から恒久化され、年間投資枠は合計で360万円、生涯の非課税保有限度額は1800万円(うち成長投資枠は1200万円)です。非課税保有期間は無期限なので、長期・分散・積み立てと相性がよく、40代からの資産形成でも時間の味方を得やすい制度です。
iDeCoは老後資金専用の年金制度で、掛け金は全額が所得控除の対象です。
例えば、会社に企業年金がない会社員は月額2万3000円、公務員等や企業年金併用の会社員は月額1万2000円、企業型DC加入者は月額2万円、自営業者は月額6万8000円(国民年金基金・付加保険料との合算枠)など、加入区分ごとに上限が決まります。受け取りは原則60歳以降で、老後のために確実に資産を残せるでしょう。
掛け金の全額所得控除は、年末調整や確定申告で適用できます。課税所得を下げる効果があるため、まずは自分の加入区分と上限、控除メリットを確認するとよいでしょう。
40代からの積み立て目安の立て方と、続けるコツ
目標額は「老後に必要な生活費のうち、公的年金で賄えない差額×想定年数」で決めます。差額の算定は、現在の家計から住宅費や教育費の変化を見込み、余裕率を小さく見積もると安全です。数字が置きづらければ、まずは「毎月いくらなら20年以上続けられるか」を基準に設定するとよいでしょう。
積立額の決め方はシンプルです。毎月の積み立てを一定利回りで長期運用すると仮定した場合、月次積立額は「目標額÷積み立て係数」で概算できます。
年率2%前後の保守的な想定でも、20年の時間を味方につければ、元本だけの貯蓄より到達確率は高まります。投資は元本割れの可能性があるため、緊急資金は別に現金で確保し、投資部分は長期で寝かせる前提にするとぶれにくくなります。
実践のコツは3つです。1つ目は仕組み化です。給与天引きや自動積み立てで「考えずに続く」形を作ります。
2つ目は税優遇のフル活用です。iDeCoの枠をまず埋め、残りを新NISAで積み立てると合理的だといえるでしょう。
3つ目はコストの管理です。手数料は長期で効くため、商品選びではコスト水準と分散の程度を意識します。これらは制度の基本に沿った王道で、40代からでも実行しやすい順序です。
退職金がなくても、制度と仕組み化で備えられる
40代からでも老後資金を準備するのに遅くはありません。まず「ねんきんネット」で受取見込みを確認し、不足額を把握しましょう。
次に、iDeCoと新NISAの枠を計画的に使い、毎月の自動積み立てで仕組み化します。税優遇を味方にして長期で淡々と積み上げれば、「退職金がない」不安は行動に変わるでしょう。今日できる小さな一歩から始めてみてください。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
