ショッピングモールなどでよく「月1円のiPhone」が売られているのを見かけます。安くても10万円くらいはするはずなのに、どういうカラクリなんでしょうか?
本記事では、見かけの安さに隠れた条件や規制の実態を整理し、賢く判断するための視点をお届けします。
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「月1円」の正体は「返却前提+MNP割引」実質24円の仕組みと条件を解説
ショッピングモールなどで見かける「月1円のiPhone」は、残価設定型の端末購入プログラムとMNP(乗り換え)割引などを組み合わせ、24ヶ月後に端末を返却することを前提に月々の端末負担を極小化する方式です。
例えば、ある大手キャリアでは、48回払い中25ヶ月目で端末を返却すると残り分の支払いが不要になり、1~24回の月額負担を1円に設計することで「実質24円(1円×24ヶ月)」が成立します(別途特典利用料などが必要)。
なお「一括1円」は主に低価格帯や在庫特例が関わるモデルで、割引上限の関係から高価格帯の最新モデルは原則対象外になりやすいのが現状です。一方「月1円」は返却を条件に残価相当分を据え置き、利用期間中の月額を調整する考え方で、高価格帯でもキャンペーン設計次第で見かける機会があります。
「上限4万円」総務省ガイドラインの具体的な上限
2023年12月のガイドライン改正(電気通信事業法施行規則等改正)で、端末単体販売(いわゆる白ロム)も含めた割引に上限が設定され、「原則4万円」「4万円超8万円以下は価格の50%まで」「4万円以下は2万円まで」という枠組みが導入されました。
これにより高価格帯スマホの「一括1円」は成立しづらくなり、低価格帯・在庫特例などに限定される傾向が強まりました。
さらに2024年12月のガイドライン改正では、ミリ波対応の11万円以上の端末で割引上限が5万5000円に緩和される一方、返却時の買取等予想価格の算定厳格化など、残価設定型プログラムに影響する見直しも入りました。
ただ、2025年9月時点でも「月1円」「実質1円」相当のキャンペーンは在庫端末や旧モデルなどを中心に継続されており、規制強化後も市場には一部の販促は残っています。
本当に得? 特典利用料込みの総負担をチェック
「月1円」は端末分割の月額表示にすぎず、実際は特典利用料や回線料金、オプション費、事務手数料などを含めた総額で判断する必要があります。
一例として、前述の大手キャリアにおけるiPhone 17(256GB)では、オンラインショップ割(乗り換え割引)と特典適用・25ヶ月目返却を前提に「端末負担合計24円+特典利用料2万2000円=2万2024円」となり、機種変更・新規契約など条件別に実質負担は変動します(返却しなければ残債の支払い継続)。
まとめ
「月1円のiPhone」は、端末を返却する前提の残価設定プログラムと、MNP(乗り換え)割引などを組み合わせて「見かけの月額」を下げる仕組みです。実際の負担額を把握するには、特典利用料や回線費、オプション費なども含めて比較することが大切です。
割引規制が強化された現在でも、一部キャンペーンは続いています。そのため、公式の条件表や店舗掲示の前提条件をよく確認し、返却時の査定基準や破損時の費用リスクまで考慮する必要があります。
端末を返却して常に最新機種を使いたいのか、それとも長期間利用することで購入費用を抑えたいのか、自分の優先順位を明確にしたうえで比較・検討しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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