私の手取りは17万円なのに、パートさんの時給は1500円…。正社員って本当に得なのかと考えてしまいます。

配信日: 2025.10.10
この記事は約 4 分で読めます。
私の手取りは17万円なのに、パートさんの時給は1500円…。正社員って本当に得なのかと考えてしまいます。
「物価上昇が続くなかで、給料の伸びを実感できない……」といった声が増えたと思われます。一方、パートやアルバイトの時給が上がり、“正社員より高く見える”という場面も珍しくありません。
 
しかし、時給で見るとパートのほうが高く見えますが、実際にどちらが稼げているかは単純な比較では語れません。
 
本記事では、正社員とパートの収入構造の違いや、実際の手取り額の差、そして働き方を選ぶうえで大切なポイントを整理します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

正社員とパート、収入構造の違いを理解しよう

まず、同じ「働いてお金をもらう」でも、正社員とパートでは給与体系が大きく異なります。
 
正社員は月給制や年俸制が基本で、給与から所得税や社会保険料などが天引きされた後に手取り額が決まります。安定した収入が見込める一方で控除額が多いため、実際の手取りは額面給与より少なく感じられることがあります。
 
一方、パートやアルバイトは時給制が主流で、働いた時間に応じて給与が支払われます。働く時間を増えれば収入が増加し、勤務時間が減るとそのまま収入も下がります。
 
また、正社員には賞与(ボーナス)や有給休暇、退職金などの福利厚生が充実している場合が多いのに対し、パートではこれらの制度がない、または限定的である場合が多いです。
 
ただし会社によっては、パートでも一定の条件を満たした場合などに社会保険加入義務が生じたり、賞与が支給されたりするケースもあります。目先の時給だけでなく、年単位の収入や福利厚生を含めて比較し、自分の働き方に合った選択をすることが大切です。
 

時給1500円のパート収入をシミュレーションしてみよう

それでは、時給1500円のパートがどれくらい稼げるのかを試算してみましょう。
 
仮に、1日8時間・週5日勤務(月20日勤務)とすると、「1500円×8時間×20日= 月収24万円(額面)」です。
 
一見、手取り約17万円の正社員より高く感じますが、ここから社会保険料や税金が引かれます。週30時間以上勤務しているパートは社会保険に加入する義務があり、その場合の手取りはおおよそ21万円前後になるのが一般的です。
 
さらに、パートにはボーナスや有給休暇がない、または限られているケースが多いため、年間トータルで見ると正社員との実質的な差は縮まる傾向があります。
 
また、シフト減少や体調不良、家庭の事情などで労働時間が減る時期があると、手取り収入は簡単に減少してしまいます。こうした面から、「毎月同じ額を安定して受け取れるかどうか」という点では、正社員にメリットがあるといえるでしょう。
 

稼ぎだけでは見えない差に注目しよう

時給ベースではパートのほうが高く見えても、実際の「可処分所得」や「働きやすさ」には違いがあります。
 
まず、正社員は社会保険や厚生年金、雇用保険などの制度が整っており、これらは将来的な安心につながる重要な要素です。また、これらの保険料は会社が半分を負担してくれるため、同じ額面収入でも自己負担分が少なく済むというメリットがあります。
 
一方、パートは勤務時間や収入によっては社会保険に加入できず、国民年金や国民健康保険に自分で加入しなければなりません。そのため、一定条件を満たさない場合、自己負担が増えることもあり、手取りが少なくなる場合もあります。
 
また、休暇や急な欠勤時の対応も大きく異なります。正社員は有給休暇を使って休めますが、パートは休んだ分だけ収入が減るのが一般的です。さらに、正社員には昇給や賞与のチャンスがあり、長期的に見れば収入アップの可能性もあります。
 

家庭や働き方に合った選択をしよう

「正社員よりパートのほうが稼げる」という話は、一部の条件下では確かにあり得ます。ただし、それはあくまで短期的・限定的なケースであり、すべての人に当てはまるわけではありません。
 
安定した収入と福利厚生を重視するなら正社員、自由な時間やライフスタイルに合わせて働きたいならパートが向いています。
 
例えば、子育て中や介護などでフルタイム勤務が難しい人には、パートの柔軟な働き方がメリットになるでしょう。一方、生活の基盤を支える主な収入源として働きたいなら、社会保障や昇給のある正社員のほうが安心です。
 

家庭や本人の状況に合わせて、最適な働き方を選ぼう

「時給1500円のパートさんのほうが私より稼いでいるかも」と感じるのは自然なことです。しかし、正社員とパートでは給与の仕組みも保障の内容も異なります。見かけの金額に惑わされず、社会保険・賞与・休暇などを含めた“総合的な収入”で考えることが大切です。
 
大切なのは、「どちらが得か」ではなく「自分に合っているか」です。家計の安定や働きやすさ、将来の備えを踏まえて、自分と家族にとって無理のない働き方を選びましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問