気になっている物件がプロパンガスでした。都市ガスと比べて、月々どれくらい高くなるんでしょうか?
実際、プロパンガス(LPガス)は都市ガスと比べてコストが高くなるケースが多いのは事実ですが、その差は条件次第で大きく変わります。
本記事では、プロパンガスと都市ガスの料金差を具体的な数字で比較し、なぜ違いが出るのかを仕組みから解説します。そして、あなたの物件でのガス代見通しを立てる方法と、コストを抑える手段までご紹介します。物件選びや予算検討に役立ててください。
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目次
プロパンガスは都市ガスの何倍くらい高くなる?
一般的には、プロパンガスのガス代は都市ガスよりも1.7倍〜2倍程度高くなるケースが多いというデータがあります。一般社団法人プロパンガス料金消費者協会によると、基本料金や従量単価等を比べると、プロパンガスと都市ガスでは、プロパンガスの方が378円高いとされています。
また、世帯人数別に見ると、関東エリアでは都市ガスとプロパンガスの月額差が 1人世帯で約 3200円、4人世帯で約 6000円前後になるケースもあります。ただし、この「1.7倍」という数字はあくまで目安であって、実際の差は物件の立地・プロパンガス業者・使用量などで変動します。
料金差の仕組みを理解しよう!熱量・供給方法・制度の違い
プロパンガスと都市ガスのコスト構造には、次のような違いがあります。
【熱量(発熱量)の違い】
プロパンガス(LPガス)の 1 m³ あたりの発熱量は、都市ガスと比べて高いと言われることがあります。
例:LPガスが約 2万4000 kcal/立方メートル、都市ガス(LNG系)が約 1万1000 kcal/m立方メートルとされる場合があり、比率でいうと約 2.18倍前後と見なすことがあります。
このため、単純に “立方メートルあたりの料金” を比べるだけでは正しい比較にならず、熱量を考慮して比較する必要があります。
【供給方法と物流コスト】
都市ガスは、地下に敷設されたガス導管を通じて各家庭に供給されます。一度導管網を整備すれば、ランニングでの配送コストは低めです。
一方、プロパンガスは各戸にガスボンベを設置し、需要に応じて配送する必要があります。この“最後の配送”にかかる人件費・車両コストなどが、プロパンガス料金に反映されます。
【料金制度・規制の違い】
都市ガスは「総括原価方式(規制料金制度)」という仕組みによって、ガス会社が価格を自由に設定するのではなく、コストに見合った価格設定が可能・許可された範囲で行われる制度です。
プロパンガスは「自由料金制」が原則であり、小売業者が価格を設定できます。つまり、業者によってかなり差が出やすい制度です。
さらに、プロパンガス業者の競争が十分でない地域や、料金表を公開しない業者もあるため、消費者が価格比較できず高めになっているケースも指摘されています。
このように、熱量の違い・配送コスト・料金制度など複数の要因が絡み合って、プロパンガス料金が都市ガスよりも高くなる傾向が生まれています。
コストを下げるには?業者切り替え・都市ガス化の可能性
プロパンガス物件を選ぶ際、「高いからイヤだ」と思っても、以下のような対策があります。
1.プロパンガス業者を切り替える
プロパンガスは自由料金制なので、地域内で複数業者が見積もりを出しているケースもあります。安い業者へ切り替えられる可能性があります。切り替えを行う際には、既存業者との契約期間・解約条件、設備(ガスボンベ・配管など)の扱いなどをチェックする必要があります。
2.都市ガス化(配管設置・ガス種の変更)
もしその物件近辺まで都市ガス導管が来ているなら、自宅までの配管工事をして都市ガスを引き込む選択肢もあります。
ただし、配管敷設費用、既存ガス機器のガス種対応(プロパン対応機器 → 都市ガス対応機器への切替・改修)などコストがかかる可能性があります。特に戸建て・新築段階で設計できる場合には、都市ガスを導入できるかどうかを建築・ガス会社と相談しておくのが重要です。
3.ガス使用を抑える工夫をする
・ガスコンロ・給湯器などの効率の良い機器を選ぶ
・不要なガス使用時間を減らす
・他のエネルギー(電気給湯、IH併用など)との組み合わせを検討する
これらの対策を組み合わせれば、プロパンガス採用物件であっても「思ったほど高くない」レベルに抑えることも可能です。
都市ガスとの違いを踏まえて、プロパン物件を選ぶかどうか判断しよう
プロパンガスは都市ガスに比べて1.7〜2倍ほど料金が高くなる傾向がありますが、業者や地域、使用量によって差があります。物件選びの際は、ガス料金の内訳や業者の情報を事前に確認することが大切です。切り替えや節約方法も検討しましょう。
出典
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会 プロパンガスと都市ガスの料金比較〈埼玉県〉
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
