最寄り駅までのバス代を会社からもらっていますが、実際は自転車で通勤。これってバレたら問題になるのでしょうか…?

配信日: 2025.10.12
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最寄り駅までのバス代を会社からもらっていますが、実際は自転車で通勤。これってバレたら問題になるのでしょうか…?
会社から支給される通勤手当は、毎日の通勤に欠かせない費用補助のひとつです。しかし、実際の通勤経路や交通手段が申請内容と異なるケースも少なくありません。
 
例えば、申請では公共交通機関を利用するとしているものの、実際には徒歩や自転車で通っている場合などです。こうした申告内容と実態のズレは、会社や税務上の扱いに影響することもあり、場合によっては不正受給とみなされる可能性もあります。
 
そこで本記事では、通勤手当の仕組みとルールを整理し、申請と実態が異なる場合に生じるリスク、そして適切な対応の仕方について解説します。
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通勤手当は実費補助が原則

通勤手当は、労働者が通勤に要する実際の交通費などを補助するためのものであり、給与の一部ではありません。
 
多くの会社では、就業規則や通勤手当規程で「申告した経路・手段で通勤すること」「通勤ルートや交通手段を変更した場合は速やかに届け出ること」が義務付けられています。
 
そのため、申請した通勤経路と実際の通勤手段が異なる場合、会社から見れば「虚偽の申告」や「不正受給」とみなされるおそれがあります。
 
通勤手当の支給目的は、労働者が業務に支障なく出勤できるように、通勤にかかる費用を実費で補助することです。実際には利用していない交通費を受け取り続けることは、目的に反する不正行為となりかねません。
 

実態と異なる場合に生じるリスク

実際に自転車通勤をしていたことが発覚した場合、主に次の3つのリスクが考えられます。
 

1. 返還請求の対象となる可能性

会社は支給した通勤手当が実際の通勤費用に基づかないと判断した場合、返還を求めることがあります。少額でも積み重なれば、数万~数十万円に及ぶ場合もあります。
 

2. 懲戒処分を受ける可能性

悪質な虚偽申告と判断されれば、就業規則に基づいて懲戒処分の対象になることがあります。処分内容は、注意・戒告から減給、重度な場合は懲戒解雇の処分が下されることがあります。
 

3. 信頼関係の悪化

金額の問題よりも、「会社に報告せずに黙っていた」という点が問題視されることがあります。上司や人事との信頼関係が損なわれ、昇進や職務配置にも悪影響を及ぼす可能性もあります。
 
このようにバス代程度の金額と思っても、実態と異なる申告は企業とのトラブルの火種になる可能性があるため注意が必要です。
 

労災保険や税金にも影響が及ぶことがある

通勤中に事故に遭った場合、労災保険の通勤災害が適用されるためには、合理的な経路や手段で通勤していることが前提条件となります。自転車通勤を会社に届け出ていない場合、事故が発生しても「申告外経路」と判断され、労災補償の対象外となるリスクがあります。
 
また、通勤手当は一定額まで非課税ですが、これは実際の合理的な通勤経路や手段に基づく支給に限られます。実際には使っていない交通費を受け取っている場合は、課税対象とされる可能性も否定できません。通勤経路の申告は、税務面でも正確さが求められます。
 

バレるきっかけは意外に多い

従業員が、「通勤手当は少額だから問題ない」と考えるのは非常に危険です。
 
多くの企業では、定期券のコピー提出を求めたり、通勤経路をシステム上で管理・確認したりするケースがあります。また、労災事故や通勤中のトラブルが発生した際に、申告内容との不一致が明らかになることもあります。
 
さらに、税務調査の過程で通勤手当の実態を確認されることもあり、偶然の発覚につながる可能性は十分あります。
 

通勤経路は正直に申告してリスクを防ごう

もし実際の通勤手段が申告内容と異なっている場合は、速やかに会社に申し出て通勤経路や手段の修正することが大切です。多くの企業では、自転車通勤者に対しても「自転車通勤届」や「安全確認書」などを提出すれば、自転車通勤を正式に認める制度が設けられています。
 
正しく申告することで、通勤災害時の補償も受けやすくなるほか、企業の安全管理や事故発生時のリスク軽減にもつながります。
 
通勤手当の申告を実態と異なったままにしておくと、金銭的な問題以上に会社との信頼関係を損なうリスクを伴います。ささいなことだと思っても、誠実に申告・修正する姿勢が信頼を守る第一歩です。正しいルールのもとで、安心して働ける環境を整えていきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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