「通勤手当」の不正受給で“計1671万円”の定期代が返納された事例も!どのようなケースが該当?不正受給に当たらないよう「通勤手当」の注意点を改めておさらい
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目次
八王子市の「通勤手当の不正受給で1671万円返納」が話題に
東京都八王子市職員の少なくとも97人が、実際には利用していないルートを申告し、通勤手当を不正受給していたことが判明しました。2025年9月にこの問題が報じられ、関心を集めています。八王子市のWebサイトによると、不正受給が発覚した該当職員に対し、通勤手当の総額となる約1671万円分を返金させる手続きを終えているとのことです。
これに加え、「そのうちの不正に受給していた金額を精査し、必要な手続きを経て、速やかに、厳正に懲戒処分等を行い公表する予定です」としており、実際に不正受給された金額がどの程度になるのかは、今後の調査によって判明することでしょう。
そもそも「通勤手当」とは? 不正受給に該当する基準は?
では、そもそも通勤手当とはどのような仕組みで支給されているのでしょうか。また、今回問題となった「不正受給」とはどのような状況を指すのでしょうか。
厚生労働省によると、通勤手当は「労働の対償」として支払われるものとして、労働基準法上の「賃金」の一部として労働者に支給されるものと位置づけられています。ただし、通勤手当は賃金と異なり、所得税法上で通常必要と認められる範囲までは非課税とされます。
また、雇用側の通勤手当の支給を義務付ける定めはなく、また支給方法についても各企業にゆだねられています。労働者から申請された全額を支給する場合もあれば、月額の上限を定めている場合もあり、支給にあたっての条件は企業によってさまざまです。
今回の事例をはじめ、労働者が本来受給されるべき金額以上の受給額になるように申請していた場合、不正受給とみなされることがあります。以下に、実際に不正受給とされることがある代表的なパターンを紹介します。
・徒歩や自転車での通勤にもかかわらず、公共交通機関利用分を申請した
・本来よりも高額になるルートで申請した
・転居後に低額になったルートの再申請をしていない
では、通勤手当の不正受給を未然に防ぐために労働者側と企業側が意識すべきことはどのような点なのでしょうか。
「通勤手当」の不正受給を避けるために労働者側が注意すること
労働者は、たとえ少額であっても通勤手当の不正受給には重大なリスクが生じることを、一人ひとりが意識する必要があります。過去には不正受給分の返納のみならず、懲戒解雇という形でペナルティが発生した例もあり、今回の八王子市職員の件についても近いうちに処分を決定するとしています。
「通勤手当」の不正受給を避けるために企業側が注意すること
企業側は不正受給を防ぐための環境を作ることが重要です。具体的には、通勤ルートの申請におけるルールを明確化することが挙げられます。就業規則に通勤手当についての規定を定め、虚偽の申請をした場合は返還や懲戒処分などのペナルティが発生する可能性があることをしっかりと明記することが重要です。
次に、コンプライアンス研修などで通勤手当の不正受給について触れておくことも重要です。不正受給によってどのようなペナルティが発生するのか、そして重大な問題に発展するのかを啓もうすることで、社内間でのコンプライアンスの徹底を図りましょう。
まとめ
原則として通勤手当は労働者側からの申請によって金額が決定するものですが、故意に申請金額を多く見積もって不正受給を行うと、大きなリスクが生じます。労働者本人が処分を下されるだけでなく、企業としても管理体制の不備を問われかねません。不正を防ぐためには、社内のチェック体制やコンプライアンス教育を徹底することが求められるでしょう。
出典
八王子市 報道されている職員の通勤手当の不正受給について
厚生労働省 平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~ 通勤手当について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
