太陽光発電を導入したいけど、屋根が小さく「2.8キロワット分」のパネルしか積めません。業者の人に「3キロワット未満は元が取れない」と言われたのですが、実際はどうなのでしょうか?
しかし、屋根が小さかったり構造が適さなかったりなどの理由から、3キロワット分を超えるパネルを載せられない家屋も少なくありません。そのような住居に住んでいる人は、「容量が3キロワット未満だと、載せても元が取れないから意味がない」と聞いたことがあるのではないでしょうか。
本記事では、太陽光パネルの発電容量が3キロワット未満だとしても元が取れるのか、シミュレーションしてみました。
FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー
「3キロワット未満の容量を載せても元が取れない」と言われる理由
太陽光発電を設置するにあたり、太陽光パネル本体価格以外にも、工事費や足場代などの初期費用が発生します。初期費用は積載容量に応じて高額になるものの、比例するわけではありません。実際には、積載容量が小さいほど初期費用が占める割合が大きくなります。
また、事業者によっては積載容量が大きいほど割引してくれることもあるため、費用対効果がさらに良くなるケースもあるくらいです。
このような理由から、積載容量が小さい(目安3キロワット程度)ほど、元を取るまでに時間がかかる、もしくは元が取れないために、載せる意味はないといわれます。
2.8キロワット載せた場合におけるシミュレーション結果
屋根の都合で太陽光パネルを載せられる枚数が限られるために、小容量しか導入できない場合もあるでしょう。実際に小容量だとしても元が取れるのか、今回は2.8キロワットの場合でシミュレーションをしてみました。
経済産業省が公表する「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」によると、新築の住宅用太陽光発電の設置にかかった金額は2024年の平均で28万6000円/キロワットでした。
このデータを基に、2.8キロワットの太陽光発電の設置費用を82万6000円とします。売電収益・節電収益の合計額が初期費用を上回るタイミングを元が取れた状態とした場合、図表1より9~10年目で元が取れるといえます。
なお、このシミュレーションでは自宅の電気代を平均1万2000円としています。これは、2024年の家計調査より二人以上世帯の場合における電気代の平均が1万2008円であるためです。
図表1
シャープ株式会社 シャープの太陽光発電・蓄電池システム シミュレーション より筆者作成
自治体によっては、太陽光発電の導入を促進する補助金制度が設けられているため、元を取れるまでの期間はさらに短くなる場合もあるでしょう。
あくまでもシミュレーション上の結果になるものの、容量が小さかったとしても、金銭面でのメリットはそれなりにあると考えられます。
容量が小さくても元を取れる可能性はあるが時間がかかることも
太陽光発電は積載容量が小さいとしても、元を取れる可能性は十分にあります。
とはいえ、容量が大きい場合に比べると費用対効果が悪くなる点は否めません。まず、設置時にかかる費用の中で、足場代は積載容量に関係なく一律であるケースが多いです。また、太陽光パネルで作った電気を家庭で使用できるように変換するパワーコンディショナーは、容量が小さいほど割高になります。
積載容量が小さいと導入時にかかる費用に対し初期費用のウエイトが大きくなるため、元を取るまでに時間を要することは覚えておきましょう。日照条件によっては、そもそも元が取れないことも十分に考えられます。
さらに、太陽光発電で発電した電気を買い取る制度であるFIT制度を活用しづらくなる点も、積載容量が小さい場合におけるデメリットの1つです。容量が小さいほど自宅内で消費する比率が高くなるため、売電収益は期待しにくくなります。
小容量での設置を考えている人は、あくまで節電目的と停電時の対策程度にとどめておき、売電収益は期待しないほうが良いかもしれません。
出典
経済産業省調達価格等算定委員会 令和7年度以降の調達価格等に関する意見
シャープ株式会社 シャープの太陽光発電・蓄電池システム シミュレーション
執筆者 : 土田崇央
FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー

