「通勤定期券」を通勤以外に使うのは問題ない? 虚偽の通勤申請をして不正受給になるケースを紹介

配信日: 2025.10.14
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「通勤定期券」を通勤以外に使うのは問題ない? 虚偽の通勤申請をして不正受給になるケースを紹介
通勤時に電車やバスなどの通勤定期券を利用している人も多いのではないでしょうか。
 
定期券は通勤区間であれば私用の移動にも使えるため、「プライベートで使ってもいいのだろうか」と疑問に思う人もいるでしょう。結論からいうと、休日に利用しても不正にはあたりません。
 
ただし、実際には電車やバスを使っていないのに通勤手当を受け取っている場合や、実際より長い区間を申請している場合は、不正受給に該当するおそれがあります。
 
本記事では、通勤定期券を私用で使う際の考え方と、虚偽の通勤申請によって問題となるケースについて解説します。
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通勤用の定期券を休日に使っても問題ない?

労働基準法では、通勤のための交通費を会社が従業員に支給しなければならないという決まりはありません。そのため、通勤手当を支給している会社もあれば、支給していない会社もあります。
 
支給方法もさまざまで、通勤にかかる交通費を給与として支払ったり、定期券を現物支給したりしている会社もあるようです。いずれにしろ「通勤のため」とはいえ、実際には給与の一部として扱われるため、私用での利用を法律で制限する規定はありません。
 
また、定期券は一定期間使用でき、決まった区間内であれば自由に乗り降りが可能です。通勤以外で使用しても追加で費用が発生しないため、会社が不利益や損害を被ることはありません。このことからも、通勤用の定期券を休日に使っても問題はないと考えてよいでしょう。
 
つまり、今回のように会社支給の通勤定期券をプライベートで使っても、法的に問題はないと考えられます。ただし、会社の就業規則や経費規程で使用範囲を定めている場合もあるので、念のため確認しておくと安心です。
 

虚偽の通勤申請は不正受給にあたる可能性も

通勤定期券を私用で使うこと自体に問題はありませんが、そもそも通勤手当の申請内容に虚偽があった場合は、不正受給にあたるおそれがあります。例えば「電車やバスで通勤する」と申請しているにもかかわらず、実際には車や自転車、徒歩で通勤しているケースなどが該当します。
 
このような場合、会社によっては民法第七百三条の「不当利得の返還義務」に基づき、不正に受給した通勤手当の返還を求められることもあるようです。また、会社の服務規律違反に該当する場合は、減給や出勤停止、懲戒解雇などの処分を受ける可能性もあります。
 

通勤手当の不正受給になるケース

通勤手当の不正受給に該当するケースには、ほかにどのようなものがあるか確認しておきましょう。
 
まず、交通費を浮かせるために、会社に届け出をした通勤経路とは違う経路で通勤しているケースです。途中で通勤経路を変更し、変更したことを申告しないまま最初の交通費を受け取っていた場合も同様でしょう。
 
また、住所を偽って申請するケースもあります。例えば、一人暮らしをしているにもかかわらず実家の住所で申告することで、実際よりも多い交通費をもらうなどの方法です。
 
会社から近い住所へ引っ越したにもかかわらず、住所変更を申告していなかったケースなどもあるでしょう。住所変更の申告忘れなど、故意ではないこともあるかもしれませんが、不正受給には変わりないため注意が必要です。
 

通勤定期券をプライベートで使うのは問題ないが、申請に虚偽があれば不正受給になる可能性がある

会社は給与の一部として通勤用の定期券代を支給しているため、その使い方については従業員の自由であると考えられます。また、通勤定期券を休日に利用しても会社が不利益や損害を被ることはないため、特に問題はないでしょう。
 
しかし、会社から通勤定期券の支給を受けているにもかかわらず、車や徒歩を利用するなど申請に虚偽があれば、不正受給に該当する可能性があります。会社によっては、通勤手当の返還を求められたり、減給や出勤停止などの処分を下したりすることもあるかもしれません。
 
ほかにも、会社に届け出をした通勤経路とは違う経路で通勤したり、住所を偽って申請したりすることで交通費を浮かせる行為は不正受給とみなされる可能性があるため、注意しましょう。
 

出典

デジタル庁e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四章 不当利得(不当利得の返還義務)第七百三条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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