「今日は暇だから休んで」とバイト先から急に…荒天の日に“シフトを切られる”のは我慢するしかない?

配信日: 2025.10.21
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「今日は暇だから休んで」とバイト先から急に…荒天の日に“シフトを切られる”のは我慢するしかない?
バイト先から急に「今日は暇だから休んで」と言われた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はこのような依頼について労働法の観点から見ていきたいと思います。
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「シフト削減」は自由ではない? 雇用契約を見直そう

まず確認すべきなのは、自分がどのような形態で雇われているかです。「アルバイト」とひとことで言っても、法律上は「労働者」です。つまり、雇用契約書があり、シフトや勤務時間がある程度定められている場合、会社や店側が一方的に「今日は休んで」と指示することは原則として認められません。
 
労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由によって休業させた場合」は休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければならないと定められています。つまり、天候によって客足が減るなど、経営上の都合でシフトを削る場合でも、それが労働者の責任でない限り、本来は休業手当の対象になるのです。
 

「天候不良」はどこまでが会社の責任?

ここで問題になるのが、「天候不良」は「使用者の責任」に含まれるのか、という点です。
 
一般的に、台風や豪雪など不可抗力的な天災で営業そのものが困難になった場合(たとえば公共交通機関が止まった、店舗が危険で営業不能など)は、会社側の責任ではなく、休業手当の対象外とされることが多いです。
 
一方で、雨が降った程度で「客が少なそうだから」という理由でシフトを削る場合は、経営上の判断による休業です。これは会社の都合と見なされ、休業手当を支払う義務が発生する可能性が高いのです。
 
つまり、天候不良を理由に「今日は休みで」と言われたときでも、その判断が「経営的都合」か「不可抗力」かによって、扱いが変わるわけです。
 

実際にどうすればいい? 穏やかに伝える方法

とはいえ、いきなりアルバイトの立場で「労働基準法では!」と主張するのは、現場では難しいですよね。
 
現実的な第一歩としては、「今後、天候でシフトが変わる場合は事前に教えてもらえると助かります」とやんわり伝えてみてはどうでしょうか。また、勤務契約書(あるいは採用時に渡された条件通知書)に「勤務日・勤務時間」がどの程度明記されているかも事前に確認しておくことも大切です。
 
もし契約に「会社の都合で勤務日が変動する場合がある」といった文言があるなら、その範囲内で変更されることは一定程度、やむを得ないとされることもあります。
 
ただし、繰り返しシフト削減が起きて生活に支障が出ている場合や、直前キャンセルが頻発するなど、勤務先に相談しても埒が明かなかなかった場合は労働基準監督署や労働相談窓口に相談してみましょう。無料で相談に乗ってもらえます。
 

「天候リスク」に備える働き方も

一方で、観光業や飲食業など、季節や天候に左右されやすい業界では、「収入の波」はある程度避けがたい側面もあります。そのため、こうした仕事を続ける場合は、別のアルバイトを掛け持ちする、在宅ワークや短時間の副業を組み合わせるなど、収入源のリスク分散を意識するのも一つの手です。
 
また、店側に「雨の日は仕込み作業や清掃など、来客が少ない時でもできる仕事があれば入らせてほしい」と提案することで、シフトを安定させることも可能です。「店にとっても助かる提案」になる形で話すと、前向きに受け入れられやすいでしょう。
 

我慢ではなく、「仕組み」と「伝え方」を変える

天候不良によるシフト削減は、特に観光地などのバイトではありがちな悩みかもしれません。
 

・契約内容を確認し、休業手当の対象になり得るか調べる
・事前連絡をお願いするなど、雇用主への伝え方を工夫する
・天候リスクに備えて収入源を分散する

 
この3点を意識するだけでも、働き方はずっと安定します。不安定な職場ほど、知識と準備が自分を守る武器になります。「我慢するしかない」と感じたときこそ、一度立ち止まり、制度や契約を見直してみましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 労働基準法第26条で定められた休業手当の計算について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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