共働き4人家族で「貯蓄500万円」は少ない? 平均は「1000万円超」ですが、実は“中央値”は半分以下って本当ですか? データをもとに検証

配信日: 2025.10.22
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共働き4人家族で「貯蓄500万円」は少ない? 平均は「1000万円超」ですが、実は“中央値”は半分以下って本当ですか? データをもとに検証
「平均貯蓄額が1000万円以上」と聞くと、わが家の貯金は少ないのではないかと不安を抱えていませんか。しかし「平均値」は、一部の裕福な家庭によって大きく引き上げられていることが多く、実態を反映していません。
 
本記事では、総務省の公的データに基づき、平均値と「中央値」の違いや、500万円の貯蓄額が世間と比べてどの位置にあるのかを解説します。
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「平均貯蓄額1000万円超え」はうのみにしなくていい理由

総務省が調査した「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年」によると、2人以上の世帯(妻の就業状態,世帯類型別)のデータのうち、「夫婦共働き(有業者は夫婦のみのうち核家族)」の貯蓄額は図表1のとおりです。
 
図表1

世帯の構成 貯蓄現在高の平均値
夫婦のみの世帯 1787万円
夫婦と未婚の子ども1人の世帯 1504万円
夫婦と未婚の子ども2人の世帯 1379万円

総務省 家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年を基に筆者作成
 
このデータだけを見ると、夫婦共働きで子ども2人の4人家族の平均貯蓄額は「1379万円」であり、500万円しかない場合は心配になるかもしれません。
 
ただし、平均値は「貯蓄の合計額÷世帯数」で計算されるため、貯蓄が数億円あるような富裕層も含まれています。平均値は「外れ値」に大きく影響され、実態より高くなる傾向があるのです。
 
一方、中央値は、貯蓄額を少ない順に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する数値のことです。より多くの一般家庭の実態に近い数値として利用されています。
 
例えば、金融経済教育推進機構による「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、世帯主と配偶者のみ就業している世帯の平均貯蓄額は「1146万円」ですが、中央値は「350万円」です。
 
そして、貯蓄額が500万円以下の世帯は全体の52%を占めています。そのため「500万円」という貯蓄額は、「貯蓄が少ないグループ」ではないと判断できるため、過度に不安になる必要はありません。
 

共働きなのに貯蓄が増えない「4つの原因」

共働きで世帯収入が多いにもかかわらず、貯蓄が思うように増えないのには、4人家族特有の主な原因が4つ挙げられます。


・子育て費用のピーク
・固定費(住宅・車など)の負担
・「共働きだから大丈夫」という心理的安心感
・収入の増加=支出の増加

子どもが2人いる場合、学費や習い事、食費など、子育てに関する負担が多い時期だとその費用は大きく膨らみます。子どもの成長に合わせて広い家や大きな車を購入し、住宅ローンや車両費といった大きな固定費を抱えていることもあるでしょう。
 
その一方、共働きは収入源が2つあるため家計管理が甘くなり、「少しくらい使っても大丈夫」という心理から支出が増えがちです。昇給やボーナスで収入が増えた場合は、生活水準も上げてしまう「ライフスタイル・インフレーション」に陥っている可能性もあります。
 
このように、共働きの子育て世帯が陥りやすい原因を自覚しておくと、貯蓄を増やすためのヒントにつながります。
 

500万円から「無理なく」貯蓄を増やすためのステップ

貯蓄を増やすためには、無理な節約をするよりも、貯蓄の仕組みと固定費の見直しが効果的です。
 

1. 目的別の貯蓄ルールを作る

貯蓄の目的別のルールを明確にします。例えば、教育費は子どもの大学進学時期など使用する時期に合わせ、必要な金額を確実に蓄えましょう。老後資金は、iDeCoやNISAなど長期的な運用益を狙い、非課税制度を活用するのがおすすめです。
 
また、貯蓄を減らさないよう、車の買い替えや旅行など、まとまった支出に備えて「一般予備費」もしっかり用意してください。
 

2. 固定費を徹底的に見直す

固定費を見直し、月々の支出を減らします。例えば、住宅ローンは金利が下がれば効果が高いため、借り換えを検討してみるのもいいでしょう。また、家族全員の生命保険や医療保険を整理し、重複や不要な特約がないか見直してください。
 
携帯電話は、大手キャリアから格安SIMに切り替えるのも効果的です。家族全員分の通信費で計算すれば、かなりの額を節約できます。
 

3. 貯蓄を「先取り」する仕組みを徹底する

給料が入ったらすぐに貯蓄へ回す「先取り貯蓄」もおすすめです。給与の振込と同時に、自動的に貯蓄用口座やiDeCo・NISA口座へ資金を移す自動積立設定を活用すれば、無理なく確実に貯蓄を増やせます。
 

500万円の貯蓄は「平均的」だが、仕組みを見直して1000万円台を目指そう

共働きの4人家族で貯蓄500万円は、平均額で見ると少ないですが、共働き世帯の中央値(350万円)よりも高く、平均的な水準を下回っているわけではありません。
 
しかし、貯蓄を増やしたくても、子育て費用の増加や固定費の負担はどうしても避けられません。そこで、固定費の徹底的な見直しや貯蓄の目的別分類、自動貯蓄の「仕組み化」を実行してみましょう。
 
可能な範囲で一歩ずつ対策を練れば、1000万円台にも近づけるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)―2024年(令和6年)平均結果―(二人以上の世帯)
金融経済教育推進機構 家計の金融行動に関する世論調査 2024年
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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