50代で「貯蓄1000万円」は何パーセント? 平均は「1168万円」でも“中央値”はどのくらい? 金額・割合を確認
そのような中、「退職後に安心して暮らすには、いくら必要なのだろう?」「うちは貯金が1000万円あるけれど、同年代と比べて多いのか少ないのかどちらだろう?」などといった疑問を抱く人は少なくありません。
本記事では、金融経済教育推進機構が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、二人以上の50代世帯の金融資産額の平均値や中央値、1000万円の金融資産を持つ人の割合を整理し、これから老後資金を備えるためのポイントを解説します。
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50代の平均金融資産保有額は約1168万円
調査によると、50代二人以上世帯の平均金融資産保有額は1168万円となっています。この数字を見て、「うちは平均よりもだいぶ少なくてショック」と思う人もいるかもしれません。
しかし、平均値はときには実態とかけ離れた結果を示します。なぜなら、貯蓄における平均値は一部の高額貯蓄層に引き上げられやすいからです。
例えば数千万円、あるいは1億円以上を持つ世帯が存在すれば、その影響で平均額が大きく膨らみます。そのため、貯蓄においては平均値だけでなく、中央値に注目することが大切です。
50代の金融資産保有額の中央値は250万円
同調査によると、50代二人以上世帯の金融資産保有額の中央値は250万円にとどまっています。
中央値とは「全ての世帯を並べたとき、ちょうど真ん中に位置する額」のことです。つまり、半数の世帯は250万円以下しか金融資産を持っていないということです。平均と中央値の開きが大きいことからも、50代世帯の貯蓄状況は二極化していると言えるでしょう。
1000万円以上の金融資産を持つ割合は28.4%
続いて、具体的に1000万円の金融資産を保有する世帯はどれくらいいるのでしょうか。
同調査によると、50代二人以上世帯で金融資産1000万円以上を保有している割合は28.4%です。つまり、約3割の世帯が1000万円を達成している一方で、7割以上の世帯は1000万円未満にとどまっていることになります。
1000万円という金額は1つの区切りとして意識されやすいですが、実際には過半数が到達できていない水準です。「まだ1000万円に届いていないからダメだ」と落ち込む必要はなく、これから老後に向けてどのように資産形成を進めるかが重要になります。
50代からでもできる老後資金の備え方
50代は、定年までの時間が限られている一方で、まだ10年以上の現役期間を見込める年代でもあります。この時期に取れる対策を整理してみましょう。
1. 支出の見直しで貯蓄に回す余力を作る
50代は子育てや住宅ローンが落ち着き始める時期でもあるため、生活費を見直せば意外と余裕が生まれることもあります。保険や通信費、サブスクなどの固定費を削減し、その分を老後資金へ積み立てていくと効率的です。
2. 退職金・企業年金を把握する
将来の収入源となる退職金や企業年金の金額を事前に確認しておくことは、老後資金の見通しを立てる上で不可欠です。
退職金が2000万円ほどあると見込んで安心していたら、実際は数百万円だったというケースも現実にはあります。勤め先の規程を確認するなど、現実的な数字を把握しておきましょう。
3. iDeCo・NISAを活用する
50代からでも、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAを活用できます。iDeCoは掛金が所得控除の対象となるため大きな節税効果があり、NISAは運用益が非課税となる制度で、短期間でも効率的な資産形成を後押しします。
4. 働き方の延長を視野に入れる
老後資金の不安を減らすには、退職後の再雇用や副業など、収入を少しでも長く得られる仕組みを作るのも有効です。50代からキャリアの棚卸しを行い、スキルを磨くことで60代以降も働ける選択肢を残せるでしょう。
まとめ
50代世帯の平均金融資産保有額は1168万円ですが、中央値はわずか250万円にとどまり、実際のところ多くの家庭では平均値ほど金融資産を貯められていません。
1000万円以上を持つ世帯は全体の28.4%に過ぎず、3割弱にとどまっています。つまり1000万円という金額は決して当たり前ではなく、むしろ少数派といえるでしょう。
そのため貯蓄が少ない場合でも、悲観する必要はありません。大切なのは今の状況を正しく把握し、支出の見直しや制度の活用、働き方の工夫など、自分に合った方法で少しずつ老後資金の準備を進めていくことです。
50代からの行動は決して遅すぎず、むしろ将来の安心を大きく左右する大切な一歩となり得るでしょう。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC)家計の金融行動に関する世論調査2024年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
