高齢の母と同居しており、ヒートショックが怖いので「浴室暖房」を使おうと思っています。母には「電気代」を心配されているのですが、毎日使った場合1ヶ月でいくらくらいになりますか?
そこで頼りになるのが「浴室暖房」ですが、気になるのが電気代でしょう。毎日使った場合、果たしてどのくらいかかるのでしょうか。今回は、実際の消費電力から浴室暖房の電気代を試算し、安心と節約を両立する使い方を考えます。
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浴室暖房の電気代はどれくらい?
まず、一般的な浴室暖房乾燥機の消費電力を見てみましょう。暖房機能を使う場合、1時間あたりの消費電力は1200~1500ワット(1.2~1.5キロワット)ほどです。
電気料金の単価を1キロワットアワー=31円(公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安)とすると、1時間の電気代は約37~47円になります。
例えば、入浴前の15分間で浴室を温め、その後の入浴時にも30分ほど稼働させると、1回あたりの使用時間は約45分、電気代は1日あたりおよそ28~35円程度となります。
これを1ヶ月(30日)続けた場合、月間で840~1050円前後が目安です。
ただし、使用環境によって金額は変動します。戸建ての北向き浴室などは冷え込みやすく、設定温度を高めにする必要があるため消費電力が上がる可能性があります。一方、マンションのように断熱性の高い浴室では暖まりやすく、稼働時間を短くできるケースがあるため電気代を抑えやすい傾向にあります。
つまり、「毎日使う=高額な負担」と思われがちですが、実際には1ヶ月1000円程度に収まる可能性もあります。安全性を考えれば、十分に現実的な範囲といえるでしょう。
ヒートショック対策としての浴室暖房の効果
前述の通り、ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧が大きく変動し、失神や心筋梗塞などを引き起こす現象です。特に高齢者では血管の弾力が低下しており、寒暖差に身体が対応しづらいため、冬場の入浴は注意が必要です。浴室や脱衣所をあらかじめ暖めておくことで、こうしたリスクをある程度軽減できます。
浴室暖房を入浴前から使うと、浴室内をおおよそ20度前後に保ち、急な温度差を防ぐことができます。特に夜間の入浴や朝風呂の際には、事前に10分ほど温めておくだけでも体感温度が大きく変わります。ヒートショック予防の観点からも、浴室暖房は快適性だけではなく「安心装備」といえます。
さらに、暖房や乾燥機能を併用することで、湯気による結露が抑えられ、カビの発生防止にも効果があります。湿気がこもりにくいため掃除の頻度も減り、高齢の家族にも快適で衛生的な環境を保てます。
電気代を抑えながら上手に使うコツ
今回の試算では、浴室暖房を毎日使っても月1000円前後とはいえ、できるだけ無駄を減らしたいところです。ポイントは「使い始めの時間」と「温度設定」です。
まず、浴室全体を一気に暖めるよりも、入浴の15分前から運転を始めることで効率よく温められます。入浴中は設定温度を低めにし、風量を弱めにすると電力消費を抑えられます。また、浴室の扉や窓を閉めて外気を遮断するだけでも、保温効果が高まり運転時間を短縮できます。
もし可能であれば、脱衣所にも小型の暖房器具を併用すると、入浴時の温度差をさらに減らせます。特に高齢者の場合、浴室だけでなく脱衣所の寒さもヒートショックの要因となるため、両方をバランスよく暖めるのが理想です。
また、夜間電力プランなどを利用している家庭では、入浴時間を夜間に設定すると、電気代をさらに抑えられます。暖房を「必要なときに」「短時間だけ」使う意識を持つことが、節約と安心を両立させるコツです。
まとめ:安心を“1日30円”で買えると考えて
毎日浴室暖房を使っても、今回の試算では1ヶ月の電気代はおおよそ1000円前後でした。つまり、1日あたり約30円で高齢者の安全を守れる計算です。ヒートショックのリスクや命の危険を考えれば、決して高い出費ではありません。
寒い季節の入浴は、心身を温める大切な時間であると同時に、思わぬ事故のリスクも潜んでいます。高齢の母親が安心して入浴できるように、電気代を過度に気にするよりも「温かく安全な環境づくり」を優先することが大事です。浴室暖房は、冬場の安心を支える“見えない保険”のような存在といえるでしょう。
出典
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問 Q&A Q.カタログなどに載っている電力料金の目安単価とは何ですか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
