「地域別最低賃金」が引き上げられたいま、結局何時間までなら「扶養の範囲内」で働ける? 東京都内で働く“時給1226円”のケースで試算

配信日: 2025.10.30
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「地域別最低賃金」が引き上げられたいま、結局何時間までなら「扶養の範囲内」で働ける? 東京都内で働く“時給1226円”のケースで試算
最低賃金は今や多くの労働者にとって関心の高い項目でしょう。特に、扶養の範囲内で働いている人は収入を抑えないと扶養から外れてしまうため、最低賃金の引き上げによって労働時間が大きく変わる場合もあります。
 
本記事では、令和7年10月からの地域別最低賃金引き上げや扶養内で働く人にとっての労働時間について解説します。
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令和7年10月1日から順次「地域別最低賃金」が引き上げに

令和7年10月1日から、全国で地域別最低賃金が順次引き上げられます。全国の平均引き上げ額は66円で、この金額は過去最高の数値です。首都圏と一部都道府県における最低賃金の一覧を表1にまとめました。
 
表1

都道府県 引き上げ後の金額 引き上げ額 発効日
東京都 1226円 63円 令和7年10月3日
神奈川県 1225円 63円 令和7年10月4日
埼玉県 1141円 63円 令和7年11月1日
千葉県 1140円 64円 令和7年10月3日
北海道 1075円 65円 令和7年10月4日
宮城県 1038円 65円 令和7年10月4日
愛知県 1140円 63円 令和7年10月18日
大阪府 1177円 63円 令和7年10月16日
広島県 1085円 65円 令和7年11月1日
熊本県 1034円 82円 令和8年1月1日
沖縄県 1023円 71円 令和7年12月1日

出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を基に筆者作成
 
地域によって多少前後しますが、遅くとも令和8年3月にはすべての都道府県で引き上げ後の最低賃金が適用される見込みです。今回の引き上げで、これまで最低賃金が900円台だった地域もすべて1000円を超えることになりました。
 

「年収の壁」も引き上げられ“103万円の壁”は“123万円の壁”に

扶養内で働くにあたって、最低賃金と同じくらい重要なものに「年収の壁」があります。「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生するかどうかの基準となるボーダーラインです。壁と呼ばれる金額を超えてしまうと、税金や保険料などの負担が発生し、結果として手取りが減少する恐れがあります。
 
「年収の壁」にはいくつか種類がありますが、その中でも「103万円の壁」は所得税と扶養控除のボーダーラインです。扶養内で働く場合は、後者の扶養控除が重要となります。
 
扶養控除とは、対象となる扶養親族がいる際に扶養する側が受けられる所得控除です。扶養親族の所得要件として、給与のみの場合は給与収入が103万円以下というものがありました。この金額を超えると、家族が控除を受けられなくなることで世帯全体の収入が減少するかもしれません。
 
国税庁によれば、令和7年12月1日に施行される令和7年度税制改正により、この収入上限が引き上げられ、扶養内で働く人の実質的なボーダーラインが123万円となります。
 

結局何時間までなら「扶養の範囲内」で働ける?

上記を踏まえて、扶養内で働く時間の上限を計算してみましょう。東京都で時給を最低賃金と仮定すると、以下の通りです。
 

1年当たりの労働時間:123万円÷1226円=約1003時間
1ヶ月当たりの労働時間:1003時間÷12ヶ月=約83時間
1週間当たりの労働時間:83時間÷4週=約20時間

 
壁を超えないように余裕を持って試算すると、週に20時間ほど働けます。週5日であれば1日当たり4時間、週3日であれば1日当たり6時間が目安です。
 

まとめ

令和7年10月から地域別最低賃金が引き上げられ、遅くとも来年の3月には全国で1000円以上の時給が保証される見込みです。
 
また、令和7年12月1日に施行される令和7年度税制改正により扶養控除の壁が123万円に引き上げられるため、扶養内であってもより個人の裁量に合わせた働き方が可能になるでしょう。東京都で時給が最低賃金程度の場合、扶養内で働くのであれば、週20時間程度のボーダーラインを目安として働くとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)(4ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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