投資家の友人が年末年始に「総額300万円」の海外旅行を計画しているそうです。普通の感覚からするとかなりぜいたくに思えますが、投資家だからこそなのでしょうか?

配信日: 2025.10.30
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投資家の友人が年末年始に「総額300万円」の海外旅行を計画しているそうです。普通の感覚からするとかなりぜいたくに思えますが、投資家だからこそなのでしょうか?
「年末年始に総額300万円の海外旅行を計画している」という投資家の友人の話を聞いたら、多くの人は「そんなに使って大丈夫なの?」と感じるでしょう。確かにぜいたくな旅行は人生の楽しみであり、思い出づくりの機会でもあります。しかし、お金の面から見ると、その支出はどのように評価すべきなのでしょうか。
 
本記事では、生活者の視点に立ちながら、家計と投資の両面からこの300万円旅行を客観的に分析していきます。
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海外旅行支出の位置づけと家計の現実

まず、日本の一般的な世帯が毎月消費に使う金額を見てみましょう。総務省の「家計調査 家計収支編 総世帯 2024年」によると、勤労世帯で1世帯当たりの消費支出は月27万5568円です。年間に換算すると約330万円となり、300万円という旅行費用は平均的な世帯が1年かけて使う金額にほぼ匹敵します。
 
また、株式会社JTB(東京都品川区)が実施した「2025年の旅行に関するアンケート」(調査期間:2024年11月29~30日、調査対象:15~79歳までの男女3095人)によると、2025年の旅行動向として1人当たりの平均旅行費用は国内が4万7800円、海外が33万4100円です。
 
このことから考えても、300万円の旅行は家計支出としてはかなり例外的な規模です。
 
もちろん、支出の価値は単純に金額だけで測れるものではありません。しかし、旅行費用が生活費全体を圧迫する水準に達している場合、その影響を無視することはできません。家計のなかで「旅行」という項目が、どれほどの比重を占めるのかを可視化することが、まず第一歩となります。
 

投資家だからこそできるのか?

投資家のなかには、総額300万円もの海外旅行費用を支出できるだけの経済的余裕を持つ人もいます。この金額であれば、ビジネスクラスで欧米や中東を巡る長期旅行や、高級リゾート地での滞在を含む旅程も現実的です。
 
投資家は一般的な給与所得だけでなく、株式・不動産・事業投資などからの収益を持ち、資産を複数の形で運用している場合が多く見られます。資産運用によって安定した収益を得ている人や、十分な金融資産を保有している人であれば、300万円の出費も生活を脅かすものではないかもしれません。
 
また、市場の変動や資産の流動性を理解し、大きな支出も自身のリスク管理の範囲内で対応できる場合があるのも投資家の特徴です。
 
しかし注意すべきは、投資家だから自動的に支出が正当化されるわけではないという点です。資産が十分でない場合や運用にリスクを抱えている場合、旅行資金のために資産を売却したり、クレジット払いでやり繰りしたりするのは本末転倒になります。
 
投資で得た利益を消費に回すこと自体は悪くありませんが、資産形成の土台を揺るがすような大きな支出は慎重に判断すべきでしょう。
 

機会費用を意識する視点

お金を使う際に大切なのが、「機会費用」という考え方です。例えば、300万円を年利5%で運用すれば、10年後には約490万円に増える計算になります。つまり、旅行に使うということは、その将来の増加分を手放す選択でもあるのです。
 
もちろん、旅行には金銭では測れない価値があります。リフレッシュや人とのつながり、人生の経験は大きな財産です。重要なのは、「今得られる体験の価値」と「将来得られる資産の価値」を冷静に比較し、自分の優先順位を明確にすることです。投資家であればなおさら、支出にもリターンの発想を取り入れることが重要だといえます。
 

無理のない資金設計を

300万円という出費が高すぎるかどうかは、収入や資産の状況によって異なります。大切なのは、旅行後も生活が安定し、投資を継続できる状態を保てるかどうかです。もし、旅行後に貯蓄が著しく減少して資産運用を中断したり、生活費に支障が出たりするようであれば、それは「ぜいたくな体験」ではなく「家計リスク」になりかねません。
 
理想的なのは、旅行費用を「余裕資金から計画的に積み立てておくこと」です。例えば、毎月5万円ずつ積み立てれば、5年で300万円に到達します。このように長期的な資金設計を行うことで、旅行は一時的な出費ではなく、計画されたライフイベントとして位置づけることができます。
 

旅行資金も投資と考えて設計しよう

旅行は人生を豊かにし、心のリターンをもたらす大切な支出です。
 
ただし、300万円という大きな金額を動かすときは、投資と同じように「目的」「リスク」「リターン」を明確にすることが欠かせません。
 
自分の資産状況に見合った範囲で計画的に支出し、旅行後の生活と資産形成を両立させる。そうしたバランスの取れたお金の判断が、真に豊かな人生を支えるポイントとなるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 総世帯 2024年 第1表
株式会社JTB 2025年(1月~12月)の旅行動向見通し
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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