経済的な面で子どもを持つか悩んでいます。子どもがいない夫婦といる夫婦、貯金額ってどれくらい違うものですか?

配信日: 2025.10.30
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経済的な面で子どもを持つか悩んでいます。子どもがいない夫婦といる夫婦、貯金額ってどれくらい違うものですか?
子どもを持つかどうかは、人生の価値観を大きく左右する選択の一つです。特に、お金の問題は避けて通れません。実際、子どもがいる夫婦といない夫婦では、貯蓄額や家計の構造がどのように違うのでしょうか。
 
本記事では、金融広報中央委員会が公表している平均貯蓄額をもとに、その差を冷静に分析していきます。
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子どもがいる・いないで貯蓄額にどう違いが出るのか

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和5年調査」によると、二人以上世帯の平均貯蓄額は1758万円となっています。
 
そのうち、世帯主夫婦のみの世帯は2021万円、世帯主夫婦と子のみの世帯は1540万円という結果です。
 
一般的な傾向として、子どもがいない夫婦(いわゆるDINKs: Double Income No Kids)のほうが、貯蓄水準が高い傾向があります。これは、共働きで収入が安定し、教育費などの大きな支出がないため、手元資金を貯蓄や資産形成に回しやすいのが主な理由です。
 
一方、子どもがいる世帯では、保育料や教育費、生活費の増加によって貯蓄に回せる金額が減る傾向があります。特に、出産・育児の時期には片働きとなるケースも多く、共働き世帯に比べて収入が一時的に減少することもあります。
 

支出構造の違いが貯めやすさを左右する

子どもがいる世帯では、教育費が家計の大きな割合を占めます。文部科学省の2023年度「子供の学習費調査」では、幼稚園から高等学校までの15年間の教育費総額は、公立で約596万円、私立で約1976万円と報告されています。
 
大学費用は「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、国立が4年間で約243万円、公立が約252万円、私立が約519万円です。この結果から、幼稚園から大学まで19年間に係る費用は、すべて国公立の場合は約840万円、すべて私立の場合は約2500万円もの費用がかかることになります。
 
ただし、幼稚園から大学までの教育費は、公立・私立の選択や通う学校などによっても変動します。また、教育費に加えて食費や光熱費、住居費などの生活コストも子どもの成長に伴い上昇します。
 
子どもがいない夫婦は支出のコントロールが比較的容易であり、将来に備えて一定割合を自動的に貯蓄・投資に充てることが可能です。
 
例えば、年収800万円の共働き夫婦が貯蓄率25%を維持できれば、年間約160万円を積み立てる計算になります。同じ年収でも子どもがいる場合は、教育費や生活費の増加により貯蓄率が15%程度に下がるとすると年間の貯金額は約96万円となり、単純計算で年間64万円、10年で640万円の差がつくことになります。
 
ただし、子どもが成長し教育費が落ち着くと、家計の支出が減り貯蓄を増やしやすくなります。育児で離職していた配偶者が再び働くなど、収入が回復するケースも多く、共働き復帰と支出減少が同時に進むためです。
 
子どもの独立後は老後や自分たちのための貯蓄へと意識が移り、再び貯蓄ペースが上がる家庭も多いため、長期的には逆転する可能性もあります。このように、貯蓄額は時期と家計方針によって変動するものであり、単純な比較だけで優劣を決めるのは早計です。
 

判断の前に見直したいお金のポイント

経済的な側面から子どもを持つかどうかを考える際には、いくつかの視点が重要です。まずは、ライフイベントごとの支出時期を明確にしておくことです。教育費のピークや住宅購入のタイミングなど、大きな出費が重なる時期を可視化することで、無理のない貯蓄計画を立てやすくなります。
 
次に、世帯の収入構造と働き方の見通しも欠かせません。育児期間中に働き方が変わる場合は、年収や貯蓄率の変化をシミュレーションしておきましょう。
 
さらに、預貯金だけでなく資産運用も組み合わせることで、お金の複利効果を生かすことができます。長期的な視点で少額から始めることで、教育費や老後資金の形成に余裕を持たせることが可能です。
 
最後に、夫婦でのコミュニケーションも重要です。貯蓄額や将来の資金計画を共有しておくことで、家計管理のずれを防ぎ、納得感を持って選択することができるでしょう。
 

子どもを持つ・持たないのどちらにも必要なのは計画と準備

子どもを持つ・持たないという選択に正解はありません。重要なのはどちらを選んでも後悔しないように、お金の備えを整えておくことです。
 
支出の時期を把握し、貯蓄率の見直しや資産運用を取り入れながら、現実的で無理のない家計を組み立てましょう。
 
そして何より、夫婦で将来のビジョンを共有し、ライフプランを一緒に描いていくことが、安心して選択を進める第一歩となります。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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