絶対に「夫の扶養」から外れたくない! 結局「123万円」までなら“扶養の範囲内”で働けるんですか?「106万・130万円の壁」とはどう違うのでしょうか?

配信日: 2025.10.30
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絶対に「夫の扶養」から外れたくない! 結局「123万円」までなら“扶養の範囲内”で働けるんですか?「106万・130万円の壁」とはどう違うのでしょうか?
少しでも多く働きたいけど扶養からは外れたくないという思いの間で、頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。今年は年収の壁に関する制度改正が行われ、税金や社会保険に関する仕組みが複雑化しています。
 
本記事では、令和7年度税制改正でこれまでと何が変わったのか、「扶養の範囲」で働く際に押さえておくポイントを解説します。
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結局「年収の壁」はどうなった? 令和7年度税制改革で見直しに

これまでは、所得税のかからない年収のライン(課税最低額)が103万円であったことから、「103万円の壁」と言われていました。
 
今回の改正により、基礎控除額などの見直しにより、所得税が発生するラインが従来の103万円から123万円に引き上げになる方向となりました。一般的な納税者は、年収123万円を超えると所得税が発生することになります。
 
所得が一定以下の人については、税負担に配慮し、「基礎控除の上乗せ特例」により給与収入ベースで課税最低額が160万円に引き上げられます。こちらも課税最低額のため、扶養の範囲とは別の基準になります。なお、「年収の壁」の引き上げは、令和7年12月の年末調整にて適用されます。
 
今回の改正により、これらの所得要件も変更となり、一般的には年収123万円までの場合は扶養内で働けるということになります。ただし、配偶者の所得や本人のほかの収入といった条件により異なります。
 

“123万円”までなら「扶養の範囲」で働ける! 扶養の要件をおさらい

扶養には、「税制上」と「社会保険制度上」の扶養の2つがあり、今回見直されたのは税制上の扶養に関する「年収の壁」です。
 
「扶養」とは、収入が一定額以下である人を、配偶者や親族が生計維持することで、扶養する側が所得税や住民税などの課税において優遇を受ける制度です。扶養する側が利用できる主な控除制度としては、「扶養控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」が挙げられ、これらは家計全体の税負担軽減に大きく貢献します。
 
今回の「年収の壁」の基準変更により、控除対象配偶者の年間収入が123万円までであれば配偶者控除の対象となり、また、改正後は年間収入が201万円までであれば配偶者特別控除の対象となる可能性が示されています。
 

ただし、社会保険に関する「年収の壁」には注意が必要!

「年収の壁」には、主に「税金に関する壁」と「社会保険に関する壁」の2種類があります。直近で注目され制度変更があったのは税制上の壁ですが、社会保険制度上の扶養(健康保険や年金の被扶養者要件)については現時点では大きな変更はされていません。
 
社会保険制度上の扶養とは、健康保険や厚生年金保険の被扶養者として認定される状態を指します。このため、扶養内で働く人が特に注意すべきは、以下2つのラインです。
 

・106万円の壁:一定規模以上(概ね51人以上)の企業で社会保険への加入義務が生じる目安
・130万円の壁:配偶者の扶養から外れ、自ら社会保険に加入する必要が生じる目安

 
特に「106万円の壁」は、企業規模要件の段階的な縮小・撤廃など、適用拡大に向けた見直しが進められています。令和7年6月から3年以内に廃止される方向で段階的に見直しが検討されているという情報もあります。
 
扶養内で働く人にとって、社会保険料負担の増減は家計に直結するため、政府および厚生労働省の今後の動向を引き続き注視していくことが重要です。
 

まとめ

令和7年度の税制改正により、扶養の範囲内で働ける年収のラインが103万円から123万円へ引き上げられたため、従来よりも課税が発生するラインが引き上げられることで、扶養内でもより多くの収入を得やすくなる見通しです。税制上の扶養要件と社会保険制度上の扶養要件は異なるため、両者の最新情報を確認し、理解することが大切です。
 
社会保険制度上と税制上、両方の扶養要件をクリアしたい場合は、慎重に調整が必要になるでしょう。
 

出典

財務省 基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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