妻の手取りは18万円です。会社の派遣社員は「時給1300円」だそうですが、正社員でいるメリットはあるのでしょうか?

配信日: 2025.10.31
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妻の手取りは18万円です。会社の派遣社員は「時給1300円」だそうですが、正社員でいるメリットはあるのでしょうか?
近年、「新入社員の初任給アップ」や「最低賃金の毎年の上昇」「賃上げ率3~5%」という収入アップに結び付くニュースは珍しくなくなりました。
 
企業側からすると、少しでも時給を上げていかないと、求人募集をしても人は集められません。
 
ただ、同じ会社で働いている派遣労働者の時給が自分より多いことを聞いてしまった労働者は、心穏やかにいられない気持ちになるのは当然です。今回は、正社員でいるメリット、正社員と派遣社員・パート・アルバイトなど、名称に伴う違いについて解説します。
當舎緑

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

正社員と契約社員、派遣労働者、パート社員やアルバイト。何が違う?

会社によって、定義されている労働者の名称はさまざまです。正社員や派遣労働者の定義を間違えることはあまりないでしょうが、それ以外の名称は会社によって異なることがあります。
 
「パート」や「短時間社員」「バイト」なのか「契約社員」なのか、空いた時間に働くという「スキマバイト」という形態で働く方もいますから、「派遣社員」の中でも違いがあり、そもそも定義自体が、会社にとって曖昧なケースは多いものです。
 
そもそも、労働基準法には「労働者」という定義はありますが、あとは、労働者災害補償保険法や雇用保険法、健康保険法や厚生年金保険法など、個別の法律ごとに加入する被保険者の範囲が定義されているくらいです。
 
つまり、社内でどんな呼称で呼ばれても自由であり、法律上は違法とはいえないのです。労働者の呼び方によって何が違うのかを判断するためには、会社に備え付けられている就業規則を確認するといいでしょう。
 

就業規則からわかること

会社の就業規則は、「正社員就業規則」と「非常勤(もしくは契約社員)就業規則」と分けられており、「育児休業・介護休業規程」や「退職金規程」などが別規程という様式が一般的です。
 
そもそも、しっかりと就業規則を読む方は少なく、賃金や退職金など、お金に関係ある部分だけしか読まない方は多いのですが、それ以外についてもしっかりと読むことをお勧めします。なぜなら、そこには正社員としてのメリットが必ず書いてあるからです。
 
例えば、休日に関する規定を見てみてください。有給休暇はもちろんのこと、慶弔休暇や病気休暇については、本来働く義務のある日に休める権利が記載されているはずです。
 
有給取得の権利はもちろん、病気休暇についても、会社によって3ヶ月や半年、1年など期間の違いはありますが、休業中も社員としての身分が保障されています。
 

覚えておきたい同一労働同一賃金のルール

派遣労働者の労働条件については、会社の就業規則では規定されていません。派遣労働者は派遣会社から派遣されてきているので、直接雇用されているわけではないからです。
 
労働条件を決める権限は派遣元の会社にあり、派遣労働者の時給を決める権限は派遣先の会社にはありません。
 
知っておきたいのが、同一労働同一賃金というルールです。同一労働同一賃金のガイドライン(出典:厚生労働省)を参考に、待遇差の理由を整理してみます。
 
基本給、昇給、ボーナス(賞与)、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生等についても記載があり、原則として同一の労働をしている限り、不合理な待遇は禁止されています。単に時給だけではなく、福利厚生や賞与、教育訓練などさまざまな視点からガイドラインは定められています。
 
今は預金通帳の記載をせず、給与明細の確認もせず、手取りしか確認しないという方も増えていますが、給与明細をしっかり見ると、総額には手当がついていたり、業績がアップしたりしたときの一時金、前払いの退職金が付けられていることもあります。
 
また、会社にキャリアアップの仕組みがあったり、勉強会やメンター制度など正社員を育てる仕組みがあったりする会社もあるでしょう。人材不足もあり、派遣労働者で人材の補填をし、人手不足を補うために、派遣労働者の時給を上げざるを得ない事情があります。
 
これまで見てきたように、単に時給の差で判断するのは早計といえるでしょう。違いを理解したうえで、ご自身にあった働き方を選ぶことが大切です。
 

出典

厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン
 
執筆者 : 當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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