40歳から“毎月3万円”を「タンス預金」vs「つみたてNISA」。60歳までの20年間で“200万円以上”の差がつくって本当⁉
こうした状況下で、貯蓄をそのまま「タンス預金」として置いておくか、「つみたてNISA」などの制度を活用して積極的に運用するかは、多くの方にとって悩ましい選択肢でしょう。
本記事では、毎月3万円を20年間積み立てた場合(積立総額720万円)について、現金でタンス預金し続けた場合と、つみたてNISAで運用した場合の将来的な資産額をシミュレーションし、その結果を比較します。
さらに、20年後に後悔しないために、いま知っておきたい具体的な資産形成術について紹介します。
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20年間“毎月3万円”を「つみたてNISA」に拠出するといくら利益が出る?
金融庁が公開している「つみたてシミュレーター」を参考に、確認してみましょう。毎月3万円を20年間(積立総額720万円)「つみたてNISA」に拠出し続けた場合の、将来的な運用収益および運用資産額は以下のとおりと予測されています。
・年利1パーセント:運用収益76万円/運用資産額796万円
・年利3パーセント:運用収益261万円/運用資産額981万円
・年利5パーセント:運用収益497万円/運用資産額1217万円
なお、つみたてNISAで選べる投資信託を長期保有した場合の平均利回りについては、年3〜8パーセント程度といわれているケースが多いようです。
仮に20年間・年利3パーセントで運用できた場合、「タンス預金(720万円)」と比較して「つみたてNISA(981万円)」では、約260万円もの運用収益差が生まれるかもしれません。
インフレ局面では「タンス預金」の実質的な価値が低下する
インフレや円安によって通貨の価値が下がると、相対的に「タンス預金(現金)」の価値は下がる傾向にあるようです。
日本銀行の「日本銀行時系列統計データ検索サイト」を見ると、円の実力(購買力)を表す実質実効為替レートは2025年までの5年で約3割が下落しています。下記の表1は、2020年と2025年の月別指数の平均値を基にしたものです。
表1
| 統計データ | 月別指数の平均値 |
|---|---|
| 2020年1月~12月 | 99.99… |
| 2025年1月~8月 | 73.235 |
出典:日本銀行「主要時系列統計データ表」を基に筆者作成
例えば2020年の平均値をおおよそ「100」、2025年の平均値をおおよそ「73」とし、2020年に1000万円を預金した場合、2025年の実質的な価値は730万円になる計算です。
インフレ時代に最適な「資産形成術」とは?
(1)株や投資信託などリスク資産の割合を増やす
株式などの値動きの大きいリスク資産の割合を増やすことで、より大きな収益を狙うことができます。収益性が高まれば資産を効率的に増やせる可能性も広がります。
(2)金地金や不動産など現物資産を取得する
現物資産は信用リスクがないため、紙幣の価値が下がるインフレ時でも、実物資産は価値が相対的に下がりにくいとされます。特に不動産はインフレヘッジとして機能し、家賃収入や売却益による資産形成が期待できます。
(3)米ドルのような外貨建て資産を増やす
日本の円預金よりも高い金利の外貨預金などを活用することで、より高い金利収入を得られる可能性があります。また、円安が進行すると円建ての資産価値が目減りしますが、米ドル建ての資産は円換算で増加するため、資産価値の実質的な目減りを抑えられるでしょう。
まとめ
「タンス預金」は短期ですぐに出金できるメリットがありますが、災害や盗難で消失したり、インフレに弱いためお金の価値が目減りしたりする可能性があります。
「つみたてNISA」は長期でコツコツと投資することで資産形成を目指せますが、すぐに現金化できないため、生活防衛資金や短期間で使う予定のあるお金には向かないでしょう。
両者の良いところ・悪いところを念頭に置いて、バランスよく使い分けるのが良いかもしれません。
出典
金融庁つみたてシミュレーター
日本銀行時系列統計データ検索サイト主要時系列統計データ表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
