もうすぐ銀行口座の残高が“1000万円”を超えそうです。「リスク分散」を考慮し口座を分けるべきでしょうか?
なぜなら銀行が破綻したとき、保護される預金額は1000万円と上限額が定められているからです。預金が1000万円を超えそうな場合、リスク分散を考えて口座を分けたほうが良いのでしょうか。
本記事では、預金保護制度の仕組みと、残高が1000万円を超えそうなときに取るべき対応を解説します。
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目次
一般預金等の「定額保護」の範囲は“元本1000万円”まで
金融機関の預金は平成8年から預金等全額保護の特例措置がとられてきましたが、金融システムの安定化に伴い平成13年度で終了しました。平成14年4月からは、当座・普通・別段預金を除く定期預金は一定の範囲で預金を保護する定額保護に移行されています。預金保険機構のページを基に、保護範囲を表1にまとめました。
表1
| 預金の分類 | 保護の範囲 |
|---|---|
| 決済用預金 (当座預金や利息のつかない普通預金など) |
全額保護 |
| 一般預金等 (利息のつく普通預金や定期預金や定期積金など) |
合計で元本1000万円までと破綻日までの利息を保護 (金融機関が合併または営業・事業の譲渡が行われた場合は例外) 1000万円を超える部分は破綻金融機関の財産状況に応じて支払われますが、一部カットされる場合もあります。 |
| 外貨預金や譲渡性預金や金融債など | 保護対象外 破綻金融機関の財産状況に応じて支払われますが、一部カットされる場合もあります。 |
出典:預金保険機構「万が一金融機関が破綻した時」を基に筆者作成
銀行口座の残高が“1000万円”を超えそうなときにすべきこと
普通預金や定期預金などは1金融機関ごと・預金者1人あたり1000万円が保護対象です。そのため、1口座1000万円を超えない範囲で別の金融機関で口座開設することで、疑似的に全額保護できる可能性があります。
また、野村アセットマネジメント株式会社の調査によると、定期預金(1年)の金利は1990年12月末で約6パーセントでした。しかし、2024年3月末では0.005パーセントとなっており、ほとんど利息がありません。
預金のまま置いておくと、インフレによる物価上昇に金利が追いつかなくなる恐れがあります。今後も人件費やエネルギー価格の高騰や為替の影響により、インフレは進行するでしょう。そのため、1000万円を超えそうな場合は口座の分散だけでなく、NISA口座をはじめとする投資への移行も考えたほうがいいかもしれません。
そもそも“1000万円以上”の金融資産を保有している人の割合は?
金融経済教育推進機構の令和6年度のデータによると、全国で1000万円以上の金融資産を保有している人の割合は合計で42パーセントです。20代の割合は11.4パーセントにとどまりますが、年代が上がるにつれてその割合は上昇傾向になります。
実際、70代で1000万円以上の金融資産を保有している世帯の割合は合計で56.4パーセントです。しかし、この数値には3000万円以上の人数も含んでおり、中央値は1205万円となっています。
一方、同データの「4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」によると、金融資産非保有の割合は424パーセントでした。中央値も350万円にまで低下しており、実際のところリスク分散を検討するほどの資産を持っている世帯の割合は数値ほど実感できないと考えられます。
まとめ
一般預金の定額保護の範囲は元本1000万円までとなっており、1000万円を超える部分は破綻金融機関の財産状況に応じて支払われる仕組みです。預金の全額を保護したい人は、1口座1000万円を超えない範囲で別の金融機関の口座に預けましょう。
また、近年は低金利の傾向で、インフレによる物価上昇に金利が追いつかなくなる恐れもあります。そのため、口座の分散だけでなくNISA口座をはじめとする投資への移行も考えたほうがいいかもしれません。
出典
預金保険機構 万が一金融機関が破綻した時
野村アセットマネジメント株式会社 お金を育てる研究所 資産運用スタート編 なぜ今、資産運用が必要なの? 1.金利の推移
金融経済教育推進機構 家計の金融行動に関する世論調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
