もし「1日7時間労働」が実現したら…私たちの“給与”が「実質4万円」のベースアップに!? 正社員の平均時給「2239円」でシミュレーション

配信日: 2025.11.01
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もし「1日7時間労働」が実現したら…私たちの“給与”が「実質4万円」のベースアップに!? 正社員の平均時給「2239円」でシミュレーション
人手不足が加速する昨今、長時間労働が減らず疲弊している労働者が増えています。長時間労働を減らすため、法定労働時間を1日7時間になどとした要請書を、全労連が厚生労働省に提出しました。
 
本記事では、この要請書が提出された背景や概要、賃金が変わらないまま7時間労働が実現した場合、どのくらいベースアップするのかなどを解説します。
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全労連は「長時間労働の根絶・労働時間短縮を求める要請書」を提出

全国労働組合総連合(全労連)は、「現状の労働環境は長期労働・人手不足などにより劣悪な環境となっている。低賃金・長時間労働という労働条件で人材募集しても、人が来ないため既存の労働者が長期労働を行うといった負の連鎖に陥っている。
 
また、時間外労働に関係する36協定が守られていない違法な長時間労働がまん延している」として、このようなあしき環境を改善するために、2025年4月14日、厚生労働大臣に対して「長時間労働の根絶・労働時間短縮を求める要請書(団体)」を提出しました。
 
全労連は、要請書の中で「誰もが安心して働き続けられる社会」の実現を掲げており、労働政策審議会において以下3点を建議の内容に反映するよう要請しました。
 

1. 法定労働時間を1日7時間、週35時間にすること。
2. 労働基準法の労働時間規制を強化すること。特に時間外・休日労働の特別条項を廃止するとともに、勤務間インターバル制度は11時間以上を義務化し罰則規定を盛り込むこと。
3. 労働基準法が定める最低基準の緩和につながる見直しを行わないこと。また、裁量労働制は廃止すること。

 

1日の所定労働時間は1企業平均「7時間47分」

厚生労働省が発表した「令和6年就労条件総合調査 結果の概況」によると、1日の所定労働時間は1企業平均「7時間47分」です。これは、令和5年調査の「7時間48分」とほぼ変わらない結果となります。また、週所定労働時間は1企業平均「39時間23分」でした。
 
なお、産業別にみると、最も短かったのが38時間14分の「金融業・保険業」で、最も長かったのは40時間の「運輸業・郵便業」です。
 

“賃金据置”で「7時間労働」が実現したら“4万円”のベースアップに相当

厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、正社員・正職員の賃金は男女計で34万8600円です。前記のとおり、1日の所定労働時間は1企業平均「7時間47分(7.78333時間)」です。これらの情報から、1ヶ月20日間労働と仮定して正社員の時給を算出しました。
 
・34万8600円÷20日÷7.78333時間=2239.40円
 
これを基にすると、1時間短縮分の賃金が据え置きと考えた場合、20日間労働では月4万4788円のベースアップに相当します。
 
・2239.40円×20日=44778円
 
実際の賃金は、時間外手当や休日出勤手当などにも左右されますが、定時退社が実現しやすい業種におけるメリットは、決して少なくないといえそうです。
 

まとめ

全労連が提出した要請書には、1日7時間労働の実施だけでなく、労働基準法の労働時間規制強化や裁量労働制の廃止が盛り込まれています。仮に、1日7時間労働が実現されて賃金はそのままである場合、正社員なら約4万円のベースアップに相当します。
 
実際の給与は時間外手当や休日手当などで変動するものの、労働時間の短縮化におけるメリットはあるかもしれません。
 

出典

全国労働組合総連合 長時間労働の根絶・労働時間短縮を求める要請書(団体)にご協力ください
厚生労働省 令和6年就労条件総合調査の概況
令和6年賃金構造基本統計調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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