子どもの体調不良が続いて会社を休みがちに。有給を使い切ったら、給料はどうなる?
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士
外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。
有給休暇のしくみ
年次有給休暇(以下、有給休暇という)とは、会社が一定の期間続けて勤務した従業員に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりのある生活を保障するため、付与しなければならない「有給」の休暇のことです。厚生労働省によると、「有給休暇は、従業員が請求する時季に与えなえればならないと労働基準で定められています」とあります(※1)。
事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時期に有給休暇を与えることはできますが、付与しないということはできません。有給休暇は、法律で定められた労働者に与えられた権利です。正社員、派遣社員、パートタイム、アルバイトの別なく次の条件を満たせば10日間の有給休暇が付与されます。
(1) 半年間継続して雇用されている、(2) 全労働日の8割以上を出勤している。また、最初に有給休暇が付与された日から1年を経過した日に(2)の条件を満たしていれば、11日間の有給休暇が付与されます。図表1を参考にしてください。
図表1
(1)と(2)の条件を満たしていなくても年次有給休暇は付与されますが、通常の労働者の場合よりも付与される日数は少なくなります(※1)。
図表2
有給休暇を使い切ってしまったら
会社員の親は、子どもの突然の発熱や感染症になどで仕事を休まざる得ないことがあります。休みが続いて有給休暇を使い切ってしまったらどうなるのでしょうか。
結論からいうと、「欠勤」となり、その日は賃金が支払われません。月給制の人でも、欠勤があると日割り計算で差し引かれます。
例えば、月給が30万円で5日欠勤した場合で、所定労働日数が20日の場合は、(30万円÷20日)×5日で7万5000円が差し引かれます。なお、社会保険料や住民税などは天引き額がすでに決まっていて、欠勤しても変わりません。そのため、手取り収入が大きく減ったと感じるかもしれません。
ところで「子の監護等休暇」という制度があり、小学校3年生修了までの子どもであれば病気やけがをしたときに親は、子どもが1人であれば1年間に5日間、子どもが2人以上の場合は10日間休みを取ることができますが、原則、給料を出すことは会社に義務付けられていません(※2)。
会社によっては、就業規則や労使協定で有給にされているところもありますので確認してみましょう。
また、会社の上司や人事担当者に事情を話して、テレワーク、フレックスタイム、時短勤務など利用できる制度がないかについて相談してみましょう。
相談窓口機関
たびたび会社を休むと、周りに迷惑がかかるという精神的な面と金銭的な面で悩むことがあると思われます。そのようなときは一人で悩まずに、相談に乗ってくれる公的機関に連絡をしてみましょう。次のような公的機関があります。
(1)労働基準監督署(※3)
労働条件、給料の扱いについての相談(無料、匿名でもできます)
(2)都道府県労働局「雇用環境・均等室」(※4)
子育てと仕事の両立についての相談
(3)総合労働相談コーナー(厚生労働省)(※3)
職場での人間関係・働き方全般の相談
(4)市区町村の「子育て支援課」または「生活支援相談窓口」
生活費などお金の不安について
(5)こころの健康相談統一ダイヤル(※5)
メンタル面の相談
まとめ
子どもが小さいときは、体調を崩しがちです。親は有給を使い切ってしまうと精神的にも金銭的にも追い詰められた気持ちになるかもしれません。会社の上司や人事に活用できる制度がないかの確認や、場合によっては公的機関を利用して一人で抱え込まないようにしましょう。
出典
(※1)厚生労働省 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。
(※2)厚生労働省 子の看護等休暇
(※3)厚生労働省 労働基準行政の相談窓口
(※4)厚生労働省 労働者の方へ
(※5)厚生労働省 こころの健康相談統一ダイヤル
厚生労働省 働き方・休みかた改善ポータルサイト
執筆者 : 篠原まなみ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士


