「地域別最低賃金」の全国加重平均が“1121円”に引き上げ、約半数は「勤務時間を減らす」と回答! 「年収の壁」の見直しも踏まえた“新たな働き方”とは?

配信日: 2025.11.09
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「地域別最低賃金」の全国加重平均が“1121円”に引き上げ、約半数は「勤務時間を減らす」と回答! 「年収の壁」の見直しも踏まえた“新たな働き方”とは?
令和7年10月の改定により、最低賃金が引き上げられました。物価高や人手不足を背景に賃上げの動きが広がる一方で、扶養枠などの収入上限に合わせて勤務時間を短くする人も少なくありません。今後は、自分の収入や生活状況を見ながら、効率的に働く工夫が求められそうです。
 
本記事では、「最低賃金」の引き上げに加え「年収の壁」の見直しを踏まえたこれからの働き方のポイントを解説します。
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10月の改定で「地域別最低賃金」の全国加重平均が“1121円”に引き上げ

厚生労働省によると、地域別最低賃金は「労働者の生計費」「労働者の賃金」「通常の事業の賃金支払能力」を総合的に考慮して定められています。令和元年の全国加重平均は901円で、それ以降は上昇傾向が続いています。
 
令和7年度は、令和6年度の「1055円」から「1121円」へと66円引き上げられました。
 
この金額は、毎年、中央最低賃金審議会が示す引上げ額の目安をもとに、各地域の審議会が地域の実情を踏まえて決定します。労働者が健康的で文化的な生活を維持できるよう、生活保護との整合性も重視されており、今回の改定は全国的な物価高や賃上げの動きを反映したものと言えるでしょう。なお、改定は都道府県ごとに10月前後で順次発効します。
 

「最低賃金」の引き上げに伴い主婦・主夫の約半数は「勤務時間を減らす」と回答

働く人の本音を探る調査機関「しゅふJOB総研」を運営する株式会社ビースタイルホールディングスが実施した「最低賃金と扶養枠」に関するアンケート調査によれば、最低賃金が上昇した際に「扶養枠など収入上限までに抑えるため、勤務時間を減らす」と回答した人が全体の49.2%に上りました。
 
「年収103万円」「月収8万8000円」など扶養の範囲で働く層では半数近くが時間を調整しているようです。
 
一方、年収上限がない人で同様の回答をしたのは7.3%にとどまりました。アンケート調査の回答では、「扶養枠が時代に合っていない」「制度が複雑で分かりづらい」といった声があり、単純な賃金アップでは解決できない「年収の壁」が、働き方の悩みにつながっているようです。
 

「年収の壁」の見直しも踏まえた“新たな働き方”とは? 結局いくら稼ぐのが正解?

「年収の壁」とは、住民税がかかる100万円、所得税がかかる103万円、社会保険の扶養から外れる130万円、配偶者特別控除が減り始める150万円、控除がなくなる201万円など、複数存在します。
 
「令和7年度税制改正大綱」によると、2025年から103万円の壁は「123万円」に引き上げられ、将来的には「178万円」までの引き上げも検討されています。
 
配偶者特別控除については、2025年には160万円まで緩和されますが、「201万円の壁」は変わりません。さらに2026年10月には、社会保険料の支払義務が発生する「106万円の壁」も撤廃される予定です。
 
これにより、住民税ラインである100万円以上を稼ぐ場合、個人としては「123万円」、扶養控除の適用を考えるなら「160万円」が新たな「壁」となるため、年収を気にせず柔軟な働き方が可能になるかもしれません。これらの改正は段階的に導入される見込みなので、詳細は今後の法令改正を注視する必要があるでしょう。
 
なお「いくら稼ぐのが最も得か」は、税金・社会保険料・配偶者控除の要否など、家庭ごとの条件によって大きく異なるため、一概に線引きはできません。自分が扶養に入る必要があるのか、社会保険に加入したほうが有利なのかを踏まえて判断する必要があります。
 

まとめ

今回の最低賃金引き上げや「年収の壁」の見直しは、働く人々にとって収入や時間の調整を考える必要性を示しているでしょう。
 
実際、アンケート調査では収入上限を意識して勤務時間を減らす人が約半数に上ることも明らかになっています。給与だけでなく、生活費や家庭の状況も踏まえながら働き方を検討することが大切です。「年収の壁」の見直しを踏まえ、働く時間や収入を上手に調整して、自分に合った働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 ポイント!最低賃金 最低賃金の決め方は?
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧(過去5年分)
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧 令和7年度地域別最低賃金の全国一覧
ビースタイルグループ ニュース 最低賃金の上昇と“年収の壁” 収入上限ありの主婦はどうする?「勤務時間減らす」49.2%
首相官邸 いわゆる「年収の壁」対策
財務省 基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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