共働き「月収30万円」のわが家は、貯蓄が「100万円」しかありません…お金が貯まらないのは“夫婦別財布”のせいですか? 家計には悪影響でしょうか…?

配信日: 2025.11.09
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共働き「月収30万円」のわが家は、貯蓄が「100万円」しかありません…お金が貯まらないのは“夫婦別財布”のせいですか? 家計には悪影響でしょうか…?
共働きで世帯年収はある程度あるのに、なぜか貯蓄が増えない……そんな悩みを抱える家庭は少なくありません。その原因の1つとして注目されているのが「夫婦別財布制」です。家計の全体像が見えないまま支出が重なり、将来の備えが後回しになってはいないでしょうか。本記事では、貯まらない理由と改善のステップを解説します。
小川ひろ

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

共働きなのに貯まらない家庭が増えている理由

共働き世帯が一般的になった今、「世帯収入はそれなりにあるのに、なぜか貯蓄が増えない」という悩みを抱える家庭が少なくありません。特に30~50代では、住宅ローンや教育費、保険料などの固定費の割合が大きく、思うようにお金が残らないケースも多いでしょう。
 
こうした、お金が残らない背景に、夫婦がそれぞれの収入を個別に管理する「別財布制」があるとされます。一見、自由度が高く便利なように思えますが、長期的に見ると、貯まらない家計になりやすい仕組みなのです。
 

「夫婦別財布制」が家計に与える悪影響

別財布制が家計に与える悪影響を見ていきましょう。
 

1. 家計の全体像が見えず、支出が重複する

夫が住宅ローンや光熱費、妻が食費や子ども関連費などを分担している場合でも、全体の支出額が把握できていない家庭が多くあります。例えば、両者がそれぞれの口座から「保険料」「サブスク代」「通信費」を支払っているケースでは、同じような固定費が重複していることも珍しくありません。
 
結果として、「どこにいくら使っているのか」「削減できる項目があるのか」が分からず、毎月の家計がなんとなく赤字のまま続きがちです。
 

2. 「将来のための貯蓄・投資」が後回しになる

別財布制では、「将来のための貯蓄・投資」をどちらが担当するのかがあいまいになりがちです。教育資金、老後資金、住宅修繕費などは、10年・20年先を見据えて計画的に積み立てる必要がありますが、個々の財布では責任の所在がはっきりしなくなる可能性があります。
 
結果として、「貯金はしているつもりだったのに、実際はほとんど増えていなかった」という事態に陥ります。
 

3. 心理的な壁が貯蓄の邪魔になる

夫婦で財布を分けていると、「相手の収入や支出を聞きづらい」「自分のお金を好きに使いたくなる」という心理が働きやすくなります。
 
しかし、家庭全体のキャッシュフローを共有しないことで、浪費リスクが増大する恐れがあります。収入・支出情報を共有すると、「意外に外食が多い」「固定費が減らせる」といった改善点が見えてきますが、別財布のままだと気付けないことが多いです。
 

「貯まる家計」に変えるための3ステップ

別財布制の共働き家庭が、貯まる家計に変わるために取り組みたいことを、3つのステップで紹介します。
 

ステップ1:収入と支出を「見える化」する

まずは、夫婦それぞれの月収・ボーナス・固定費・変動費を一覧化しましょう。家計簿アプリやエクセルなどで、「誰が何を払っているか」を簡単に整理するだけでも構いません。
 
重要なのは、世帯全体でどのくらいお金が動いているのかを把握することです。お金の動きを理解していないと、家計を適正に保つことはできません。
 

ステップ2:共通口座を作り、固定費を一本化する

次に、住宅ローン・光熱費・通信費・保険料などの固定費を、共通口座から引き落とす仕組みに変更します。
 
具体的には、夫婦の手取り月収が合計38万円なら、生活費として25万円を共通口座に入れ、残りをお小遣いや個人貯蓄に回すなどです。こうすることで、毎月の出費が明確になり、「無駄な支出」や「支払い忘れ」を防ぐことができます。
 

ステップ3:貯蓄・投資の「自動化」を導入する

貯まる家庭の多くは、自動的にお金が貯まる仕組みを作っています。給与が入ったらすぐに、定額を共通の積立口座へ自動振替する仕組みをつくりましょう。毎月5万円ずつ積み立てれば、年間60万円になります。さらに、ボーナス時に10万円を追加すれば1年で70万円の貯蓄が可能です。
 
「残ったら貯金」ではなく、「先に貯める」をルール化することで、無理なく貯蓄体質に変わります。
 

別財布制を成功させるための工夫

完全に財布を一本化するのが難しい場合は、「共通口座と別財布制の組み合わせ型」もおすすめです。
 
例えば、生活費と貯蓄は共通口座で管理し、個人の趣味・交際費は別財布にする方法などです。「共有」と「自由」のバランスをとりながら、家計の透明性を保(たも)てます。
 
ただし、年に1~2回は家計について話し合う機会を持ち、お金のルールを定期的に見直すことが重要になります。話し合う際は将来の目標や貯蓄額を確認しましょう。
 

別財布のままでは“見えない浪費”が増える

別財布制そのものが悪いわけではありませんが、お金の流れを共有しないままでは、貯まらない家計になるリスクが高いのは事実です。共働きだからこそ、家計の「透明性の維持」と「共通目標の確認」が重要になります。
 
夫婦で家計の可視化、共通化、自動化を行えば、月収30万円台でも確実にお金は貯まるはずです。
 
執筆者 : 小川ひろ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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