「スーパーの値上げが止まらない…」1年で食費が月+8000円。節約しても減らない“じわじわ負担”の正体って?
この記事では、年間食費の負担増の裏側にある、見えにくいコスト上昇の仕組みを探ります。
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目次
食費が1年で急増? 最新統計から見える「食品インフレ」の実態
直近の物価統計によると、食料分野の物価上昇が目立ち、家計の体感負担が強まっています。総務省統計局が公表する消費者物価指数(CPI)は2025年9月の全国ベースで総合指数が前年同月比2.9%、食料が6.7%と上昇を示してます。
家計の実感に近い指標としては、同じく総務省統計局の「家計調査」の月間消費支出が参考になり、2025年9月分の消費支出(二人以上の世帯)は、前年同月比が名目+5.3%、実質+1.8%です。食料のウエイトが高い世帯ほどインフレの影響を受けやすくなります。
値上げが止まらない理由は? 原材料高・物流費・人件費・円安の複合圧力
内閣府の「令和7年度 年次経済財政報告」によると、2025年初から食品価格の上昇率が米などを中心に加速し、幅広い品目に波及しています。
食品価格高騰の背景には、国際的な原材料価格の変動だけでなく、国内の物流費・人件費の上昇、円安による輸入原材料の上振れが食品メーカーや小売の販売価格へ段階的に波及している状況です。
これらは一時要因ではなく、コストの構造的な高止まりとして残りやすいため、「一度上がった価格が下がりにくい」環境が続き、スーパーの店頭における値上げや実質的な内容量調整を通じて家計に影響し続ける可能性があります。
「節約しても減らない」負担の正体:食品CPIの広範囲上昇と基礎的支出の固定化
消費者物価指数の総合指数で前年同月比+2.9%という見出し数字以上に、食品カテゴリーの広範な上昇が「逃げ場」を狭めています。
食品は代替が効きにくい基礎的支出である上、値上げが同時多発的に進むと節約の余地が限られ、同じ買い方でも支出がじわじわ積み上がります。
また、賃上げが進んでも、家計の支出配分における食費比率が高い世帯では、物価上昇の影響が相対的に大きく、値引き品やプライベートブランドへの乗り換えだけでは「月数千円」の押し上げをなかなか相殺できません。
今日からできる対策:買い方の見直しと家計の見える化で負担増を防ぐ
まず、家計調査の品目分類に沿って自宅の食費を「内食(生鮮・加工)」「外食」「嗜好品」に区分して記録するだけで、節約余地が判別しやすくなります。
代替可能性が高い加工食品は、単価×内容量で実質価格を比較し、底値の週にまとめ買い、外食は回数・単価のどちらを抑えるかを事前に決める、といった「ルール化」が効果的です。
さらに、チラシアプリ活用やプライベートブランドへの計画的切り替え、冷凍保存での廃棄削減などで、食費の圧縮が可能です。月次の家計簿と統計の動きを見比べて「増えている原因」を特定し、無理のない見直しを継続することが、じわじわ増える負担を抑える近道になるでしょう。
出典
総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)9月分(2ページ)
総務省統計局 家計調査(二人以上の世帯)2025年(令和7年)9月分
内閣府 令和7年度 年次経済財政報告 第1章 第2節 物価・賃金の動向~好循環の実現に向けた動き~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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