「部屋干しすれば加湿器はいらない」という母。正直そこまで「電気代」はかからないと思うのですが、本当に“節約になる”のでしょうか?「加湿器の電気代」を確認
本記事では、加湿器と部屋干しのそれぞれの特徴を比較し、節約効果と快適性の両立を考えます。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
加湿器の電気代は意外に低い
家庭用の加湿器には、スチーム式、超音波式、ハイブリッド式、気化式などがあります。
スチーム式は湯を沸かすため電力消費が多く、電気代は1時間あたり約5~9円、超音波式は約1円前後です。ハイブリッド式はその中間で約2円前後、気温や湿度に応じて出力を自動調整する機種もあります。
気化式は、フィルターに含ませた水をファンで蒸発させる方式で、電気代が最も安いタイプです。消費電力は約3~20ワット、1時間あたり約0.03~0.2円、1日8時間使用でも1ヶ月の電気代は約8~50円と、非常に省エネです。
例えば、最も金額の高いスチーム式を、8時間使用しても電気代は約40~72円です。1ヶ月のコストは1200~2160円程度にとどまります。
部屋干しで加湿するメリットはある?
洗濯物を部屋干しすると、水分が自然に蒸発し、乾燥した空気にうるおいを与えます。特に冬場は暖房の影響で室内が乾燥しやすく、洗濯物を干すだけでも一定の加湿効果が期待できます。
中部電力の実験によれば、部屋干しするぬれたタオルの枚数を増やすほど湿度が上昇し、少ない枚数でも2時間程度は加湿効果が持続したとされています。洗濯物の量や素材によって違いはありますが、部屋干し中は湿度を保ちやすい傾向があります。
電気代がかからず「加湿と洗濯物の乾燥を同時にできる」点も魅力です。ただし、厚手の衣類が多いと乾きにくく、部屋干し臭が出やすいというデメリットがあります。
注意したい湿気とカビ
部屋干しは加湿効果がある一方で、湿気がこもりやすくカビやダニの発生リスクを高めます。特に窓際や押し入れ付近など、換気の悪い場所で干すと結露が発生し、壁紙や家具にも悪影響を与える場合があります。
一般的に、湿度が60%を超えるとカビが繁殖しやすくなります。加湿を目的にする場合でも、湿度計で管理し、必要に応じて除湿機や換気を併用することが重要です。また、夜間の部屋干しは冷気で乾きにくいため、日中や暖房中に行うと衛生面でも安心です。
節約と快適のバランスを
加湿器と部屋干し、どちらが正しいというよりも、「目的に応じて使い分ける」のが最適です。
部屋干しは電気代ゼロで加湿できる一方、カビや臭い対策が必須です。加湿器はわずかに電気代がかかりますが、衛生的で安定した湿度管理ができます。
例えば、午前中の2~3時間だけ部屋干しを行い、午後以降は加湿器を使うなど、時間帯を分けて併用する方法も有効です。
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
