太陽光パネルを設置して10年。売電の固定価格買取が終了しますが、蓄電池はつけるべき? 今後どうするのがお得なのでしょうか?
そのような中で注目されているのが、発電した電力をためて使う「蓄電池」です。果たして導入すべきなのか、それとも別の選択が得策なのか、家計の観点から考えてみましょう。
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目次
卒FITで売電価格は大幅ダウン。家計に与える影響は?
固定価格買取制度(FIT)期間が終了すると、売電単価は大幅に下がります。2012年の制度開始当初は1キロワットアワーあたり42円で売電できていましたが、2025年現在は7~10円前後と、当時の約5分の1にまで下落しています。
一方で、電力会社から購入する電気は20円以上かかることが多いため、売るより使うほうが家計に有利な状況が増えています。電気料金が上がり続けている現状を考えれば、発電した電力を自宅で使う「自家消費」へ切り替えることが現実的な対策でしょう。
蓄電池の導入は得か損か? 費用と回収性を見極めよう
蓄電池を設置すると、日中に発電した電力をためて夜間に使えるようになります。電気代の高い時間帯の買電を減らせるうえ、停電などの非常時にも電力を確保できるという安心感もあります。
ただし、初期費用は決して安くありません。容量や機種にもよりますが、導入費用は100万円を超えることが一般的です。導入後の電気代節約効果を考えると、費用回収には10年以上かかる場合もあります。
また、蓄電池には寿命があり、充放電の繰り返しにより10~15年程度で性能が徐々に低下します。つまり、太陽光発電設備の寿命と合わせて、どれだけ長く使うかが損得を左右します。
一方で、補助金を活用できる場合もあります。自治体によっては導入費用の一部が補助され、数十万円の助成が受けられるケースもあります。費用を抑えられれば、導入のハードルは大きく下がるでしょう。
蓄電池が合う家庭と合わない家庭の違い
昼間にたくさん発電し、かつ昼間にあまり電気を使わない家庭では、余剰電力をためて夜に使う効果が大きくなります。反対に、昼間に在宅して電気を多く使う家庭では、ためるほどの余剰電力が生まれず、蓄電池の導入メリットは小さくなります。
また、共働き世帯や夜間中心の生活スタイルでは、昼間に発電して蓄えた電力を夜に使う利用パターンが自然であり、蓄電池の費用対効果が出やすいといえます。
防災対策や安心感を重視する家庭にとっても、蓄電池は価値ある投資です。災害時に冷蔵庫や照明などの重要機器を稼働させ続けられるだけでも、心理的な安心が得られるでしょう。
自家消費を高めて、家計にやさしい電力運用をしよう
これまで10年あるいはそれ以上、太陽光発電による売電収入を前提にしていた家庭にとって、固定価格買取期間終了は大きな転換点です。売電単価の低下により、家計を守るためには自家消費を高めることが重要なポイントとなります。
そして、自家消費を最大化するための手段として蓄電池を導入する選択肢は、経済的にも防災的にも合理的なものになりつつあります。
ただし、蓄電池導入が万能の解決策ではありません。昼間の発電や使用パターン、家屋条件、初期投資額、補助金の有無、ライフスタイルの変化などを慎重に見極めたうえで、「あと何年使うか」「どれだけ節約できるか」を具体的にシミュレーションし、納得してから判断することが大切です。
お金の観点では、「初期費用を何年で回収できるか」「今後電気料金動向」「売電以外にどれだけ節約できるか」を冷静に比較することが重要です。
以上を踏まえ、ご自身の家計・電気使用状況・住宅条件に即して、蓄電池導入の是非を検討しましょう。
出典
神奈川県 令和7年度神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金
千葉県 千葉県住宅用太陽光発電設備等に係るリース等導入促進事業補助金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
