電気契約を「40A→30A」に変えた友人は“年間3000円節約”に成功! ただ「ドライヤー+電子レンジ」の同時使用で“ブレーカーが落ちる”そうです…アンペア数は下げないほうがいいですか?
本記事では、最適な契約アンペア数を知る方法から、節約効果、契約変更時の注意点まで解説します。
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目次
3ステップで診断! ライフスタイルに最適な契約アンペア数の選び方
自身のライフスタイルに合った契約アンペア数は、次の3ステップで簡単に計算できます。
・ステップ1:身の回りにある家電のアンペア数を知る
・ステップ2:一番電気を使う「ピーク時」を考える
・ステップ3:ピーク時の合計アンペアを足し算する
以下で、各ステップを詳しく見ていきましょう。
ステップ1:よく使う家電のアンペア数を知る
まずは、身の回りにある家電が、どれくらいの電気を消費するのか確認します。家電のアンペア数は、製品に記載されている「消費電力(W)」から簡単に計算できます。以下の式で、おおよそのアンペア数を算出しましょう。
アンペア数(A)≒消費電力(W)÷100
また、各家電のアンペア数の目安は、図表1の通りです。
図表1 主要家電の消費アンペア一覧
| 電化製品 | 消費アンペア数(目安) |
|---|---|
| 電子レンジ | 15アンペア |
| 洗濯乾燥機(乾燥時) | 13アンペア |
| IH炊飯器(炊飯時) | 13アンペア |
| ドライヤー | 12アンペア |
| 掃除機(強運転) | 10アンペア |
| エアコン(暖房時) | 6.6アンペア |
| エアコン(冷房時) | 5.8アンペア |
| 冷蔵庫(450リットル) | 2.5アンペア |
| テレビ(42型) | 2.1アンペア |
東京電力エナジーパートナー株式会社 主な電気機器のアンペアの目安 より筆者作成
図表1の数値は消費アンペアの目安です。自宅の家電と異なる場合もあるため、より正確に計算したい場合は製品に記載されている「消費電力(W)」から、先ほどの計算式を使ってアンペア数を確認しましょう。
ステップ2:一番電気を使う「ピーク時」を考える
次に、1日の中で最も多くの家電を同時に使う「ピーク時」を考えます。これは、家族構成やライフスタイルによって異なります。自身の生活で「これ以上同時に電気を使うことはない」という場面を、具体的に思い出して計算してください。
ステップ3:ピーク時の合計アンペアを計算
最後に、「ピーク時」に使う家電のアンペア数を合計します。この合計値が、自身のライフスタイルに必要なアンペア数の目安です。図表1の各家電の消費アンペア数を目安にして、次のように計算します。
・エアコン(暖房):6.6アンペア
・冷蔵庫:2.5アンペア
・照明:2.0アンペア
・電子レンジ:15アンペア
・IH炊飯器:13アンペア
・テレビ:2.1アンペア
合計:6.6アンペア+2.5アンペア+2.0アンペア+15アンペア+13アンペア+2.1アンペア=41.2アンペア
この計算結果から、この家庭のピーク時には41.2アンペアの電気が必要であることが分かります。一般的な家庭の契約アンペアは30アンペア、40アンペア、50アンペアといった10アンペア刻みです。
今回のケースでは、40アンペア契約だと合計値をわずかに超えてしまい、ブレーカーが落ちるリスクがあります。そのため、余裕を持たせた50アンペア契約が最適だと判断できます。
契約アンペアを下げるとどのくらい安くなる?
契約アンペアの見直しで電気代が安くなるのは、毎月の請求に含まれる「基本料金」が下がるからです。電気の基本料金は契約アンペア数に応じて決まる固定費となっており、電気の使用量に関わらず毎月支払う必要があります。
つまり、ライフスタイルに対して契約アンペア数が大きすぎると、「使っていない電気の容量」にまでお金を払っていることになります。東京電力の一般的なプランを例に、どれくらいの節約効果があるか見てみましょう。
図表2 契約アンペア変更による年間節約額
| 契約アンペア | 月額基本料金 | 1段階下げた場合の年間節約額 |
|---|---|---|
| 60アンペア | 1870円50銭 | |
| 50アンペア | 1558円75銭 | 3741円 |
| 40アンペア | 1247円00銭 | 3741円 |
| 30アンペア | 935円25銭 | 3741円 |
東京電力エナジーパートナー株式会社 従量電灯B・C 電気料金プラン より筆者作成
図表2の通り、契約アンペアを1段階下げるだけで年間3741円の固定費が削減できます。この金額は東京電力の例ですが、ほかの大手電力会社も同様の料金体系のため、多くの家庭で同等の節約が見込めるでしょう。日々のこまめな節電とは異なり、一度手続きをすれば生活スタイルを変えることなく節約効果が続きます。
契約アンペアの変更手続きと注意点
契約アンペアの変更手続きを進める前に、知っておきたい注意点が2つあります。
1つ目は変更費用についてです。自宅に「スマートメーター」が設置されていれば、立ち会い工事不要で費用も原則かかりません。しかし、家庭の設備状況によっては、アンペアブレーカーの交換といった電気工事が必要になる場合があります。その際の工事費用は自己負担となるため、申し込みの際に確認しておきましょう。
2つ目は変更期間のルールです。一度契約アンペアを変更すると、原則として1年間は変更できません。誤って必要以上に低いアンペア数にしてしまうと、1年間はブレーカーが頻繁に落ちる不便な生活を送ることになってしまいます。
自身のライフスタイルに最適な契約アンペア数を確認してから、契約変更の手続きを進めましょう。
ライフスタイルに合った契約アンペアで電気代を節約しよう
多くの人が「なんとなく」で決めている契約アンペアは、ライフスタイルに合わせて見直すことで年間数千円の固定費を削減できます。ただし、必要以上にアンペア数を下げてしまうと、ブレーカーが頻繁に落ちる不便な生活を1年間続けることにもなりかねません。
本記事で紹介した3ステップの診断を参考に、自身の家庭に最適なアンペア数を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
出典
東京電力エナジーパートナー株式会社 主な電気機器のアンペアの目安
東京電力エナジーパートナー株式会社 従量電灯B・C 電気料金プラン
執筆者 : 大垣はち
FP2級
