融通が利くからパートのままフルタイム勤務。でも時給1230円でフルタイムは損だと言われます。本当に損な働き方なのでしょうか?
実際のところ、「フルタイムで働けば収入は増える」だけで判断すると、将来の収入・社会保障・働き方の安定性といった“見えにくい損得”を見落としやすくなります。
本記事では収入・福利厚生・キャリアの観点から、時給1230円のフルタイムパートが本当に損なのかを整理します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
時給1230円でフルタイム勤務したときの収入
最初に、収入面の把握が欠かせません。時給1230円で月160時間働くと、月収は19万6800円、年収は236万1600円となります。この水準は一定の生活費をカバーできますが、ここから所得税や住民税、社会保険料が差し引かれるため、実際の手取りはこれより2~3万円ほど低くなります。
また、フルタイムに近い労働時間を確保しても、時給が地域や業種の平均より低い場合、労働時間を増やしても収入の伸びが限定的になります。勤務時間を増やしているのに、「思っていたほど手取りが増えない」という状況に陥りやすい点は、注意すべきポイントです。
パートのまま働くことで生まれる社会保障面の差
フルタイム並みに働いていても、雇用形態がパートのままであれば、正社員と比較して福利厚生や賞与、退職金の待遇に差が出やすいのが現状です。
賞与や退職金の支給がない、あるいは昇給の幅が小さいといった待遇面の違いは、短期よりもむしろ長期で影響が大きくなります。例えば同じ時給で働いていても、賞与がある雇用形態とない雇用形態では、年間や生涯で見たときに大きな収入差となって現れます。
また、収入が一定額を超えると社会保険への加入義務が生じ、保険料の負担が増えて手取りが減少します。
こうした制度の仕組みを理解し、パートの自由度を維持したいのか、手取り重視なのか、あるいは将来の保障を優先するのか、自分の働き方や将来の目的を整理しておくことが、長期的な家計の安定と安心につながります。
今の働き方は将来の収入につながるのか
働き方の損得を判断するうえで重要なのが、将来のキャリア形成や収入アップにつながる働き方かどうかです。
パートであっても昇給のチャンスがある場合や、スキルが身につき時給の高い仕事に移りやすい環境の場合は、長期的には「得」になる可能性があります。
一方、どれだけ長時間働いても昇給がほとんどない、正社員登用が見込めない、仕事内容がスキルアップにつながらないといった環境では、時間を増やしても収入の上昇は期待しにくくなります。
フルタイムで多くの現場経験は積めますが、それが将来の評価や給与につながらないのであれば、働いた時間に対して得られるリターンは限られます。
長時間働くほど得をする働き方なのか、将来の目標を見据えて慎重に判断することが重要です。
収入以外の見えないコストにも目を向ける
フルタイム相当で働くということは、時間や体力、家庭との両立など、収入以外の面にも影響が出ます。
特に家事・育児・介護などを並行する場合、労働時間が増えるほど疲労が蓄積し、生活の余裕がなくなりやすくなります。また、通勤費や外食費など、保育料などの細かい支出も増加しがちです。
時給がそれほど高くない場合は、働くほど疲れるのに収入への満足度が上がらないという状況に陥ることもあります。お金と時間、体力のバランスをどこに考えるかは、個人によって異なりますが、こうした見えないコストを無視してしまうと、最適な働き方を見い出すのが難しくなるでしょう。
働き方・収入の見直しをしよう
時給1230円でフルタイム相当を働くことが損かどうかは、収入だけで判断できません。時給水準や福利厚生、将来の昇給やキャリア、手取り収入と生活バランスなど、さまざまな要素を総合的に見極める必要があります。
もし働く時間に対して収入が見合っていない、将来の安定に不安を感じるなら別の働き方を検討する価値があります。一方で、職場の働きやすさや生活との両立が大きなメリットになっている場合は、現在の働き方が最適である可能性もあります。自分にとっての「得」を、長期的な視点で見直すことが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
