おこめ券はありがたいけれど…“現金給付や減税の方が助かる”という声も。本当に「おこめ券」は家計の助けになるの?
本来なら家計にうれしいはずの支援ですが、「現金や減税のほうがありがたい」という声も少なくありません。実際のところ、おこめ券はどれほど家計の負担を減らしてくれるのでしょうか。
この記事では、実際の米価とあわせて冷静に見ていきます。
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おこめ券とは? 基本情報を紹介
おこめ券は、全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)などが発行する全国共通のお米専用商品券で、主にギフトや物価高対策として利用されている金券です。
1枚500円で発行され、そのうち440円分がお米の購入に使える仕組みになっています。
おこめ券は、スーパーやデパート、ドラッグストアなど、全国のおこめ券取扱店で利用できます。取扱店は公式サイトで検索可能です。また、現状有効期限は設けられていないため、急いで使う必要はありません。
現在の米価は? おこめ券1枚で買える量を試算
おこめ券1枚(440円分)で、現在の物価水準ではどれくらいのお米が買えるのでしょうか。
5kgの実売価格が3000~4500円の場合、1kgあたりはおおむね600~900円となり、440円で購入できる量は約0.49~0.73kgが目安とされています。
かつては「1枚=お米1kg相当」とされていましたが、最近の米価高騰により、現在では1kgには届かず、約0.5~0.6kg分にとどまるとの指摘もあります。物価上昇によっておこめ券の価値が相対的に目減りしているのが現状です。
おこめ券が家計の助けになる度合いは、「何枚もらえるか」と「ふだん購入しているお米の価格帯」によって大きく左右されます。特売などで安いお米を選んでいる家庭ほど、同じ枚数でも多くの量を購入できるため、活用の仕方によって家計への効果も変わってくるといえるでしょう。
自治体によっては5000円分配布するケースも!
物価高騰対策として、自治体がおこめ券を配布する事例が増えています。
兵庫県尼崎市では、お米などの物価高騰により家計の負担が増しているとして、全世帯に全国共通おこめ券(1世帯あたり2200円分・440円分×5枚)を発送しました。
一方で福井県福井市では、市内に住む65歳以上のみで構成される世帯を対象に、令和7年産の福井県産米の購入に利用できる「まんぷく券」を1世帯あたり5000円分配布しています。配布額は地域や対象によってばらつきがあります。
国の経済対策としても、物価高騰対策の一環で「おこめ券」を含む食料品支援を原則すべての自治体に実施させる方向と報じられており、今後も配布の機会が増える可能性があります。
ただし、同じ予算を使うなら「現金のほうが自由に使えて助かる」「減税のほうが公平ではないか」といった声も少なくありません。
現金給付や減税は使途が自由である一方、おこめ券は用途が米に限られ、印刷費や手数料などの事務コストも発生するため、無駄が多いと問題視する意見もあります。また、各世帯に同じ額を支給する場合、人数の多い世帯では一人当たりの支給額が少なくなり、不公平感は拭えません。
まとめ
おこめ券は、物価対策としての効果はあまり大きくありませんが、近年の米の値上がり分をある程度補うことはできるでしょう。
現状有効期限が設けられていないため、慌てて使わず、特売日やまとめ買いのタイミングに合わせて、1kgあたりの単価が安いときに使うと効率的です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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