会社の「通勤定期券」を出社しない日も使いたい! 通勤以外で使って、不正受給にはならないですか?
しかしその一方で、「これって不正受給にならないの?」と不安になる人もいるかもしれません。実は、この私的利用には意外なルールと注意点があります。
この記事では、通勤定期券を私的に利用しても問題ないのか、その注意点とともに解説します。
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目次
通勤定期券を休日や出社しない日に使うのは本当に問題ないのか?
会社から支給される通勤定期券は、基本的に職場への移動に必要な交通費として支給されるものです。
しかし、出社しない日などにこの通勤定期券を使いたい場合、不正受給になるのか気になる方も多いでしょう。結論から言うと、休日や通勤日でない日にプライベート利用すること自体は、基本的に不正受給とはならないと考えられます。
通勤定期券は一定の区間内を頻繁に移動する人が使うもので、休日などに利用したとしても、会社に追加費用などの不利益や損害が出ないためです。実際、定期券の現物支給や定期代の現金支給は給与として取り扱われるケースが多いので、使い方を会社が制限することも難しいのです。
ただし、実際は徒歩や自転車通勤なのに電車通勤の定期代をもらっている場合など、申請された通勤経路や方法に偽りがあれば、それは不正受給となり得る点には注意しましょう。
会社の交通費不正受給が発覚したらどうなる? 解雇リスクと裁判事例
通勤手当や定期券代を実際と異なる形で申告するなど、不正に受給していたことが発覚すると、従業員はさまざまなリスクに直面します。
例えば、通勤経路を正しく申告しなかったり、住所を偽って遠方から通っているように見せかけたりする行為は、会社に対して不誠実と判断されやすく、状況によっては懲戒処分の対象となり得ます。
ただし、こうした不正があったとしても、会社が十分な証拠を集めないまま解雇に踏み切った場合、後に「不当解雇」と判断される可能性もあります。
実際、東京地方裁判所では、通勤定期代の不正受給を理由に従業員を諭旨解雇した会社に対し、約450万円の支払いと従業員の復職を命じた判例があります。このようなケースもある一方で、従業員としては裁判に至るまでに精神的・時間的な負担を伴い、社会的信用を失うリスクも少なくありません。
不正が疑われた場合、従業員は事実関係を正確に説明し、会社との返還交渉などに真摯に応じることが求められます。状況によっては軽い懲戒処分で済む場合もありますが、悪質と判断されれば重い処分を受ける可能性もあるため、適切な対応を取ることが重要です。
出張時のプライベートな寄り道はどうすればいい? 経路申請がポイント
通勤定期券の利用に比べて、出張時の交通費に関しては私的な寄り道が発生しやすく、そこで不正が発生するリスクが高いです。例えば「東京→大阪」の出張で、途中名古屋に寄り道して帰るルート(東京→大阪→名古屋→東京)を実費精算するかどうか問題になります。
これは法的に決まったルールがなく、会社の旅費規程や出張申請書で正規経路を明確に定めておくことが非常に重要です。そうすれば、プライベートな寄り道部分は経費精算できず、申請された正規ルートのみを会社が負担する形でトラブル回避が可能でしょう。
通勤定期券の私的利用は基本的にOK! 不正受給が発覚した際には適切な対応を
通勤定期券を出社しない日でも使いたいというニーズもありますが、法律的・経理的に見て、休日などの私的利用で会社に損害が出ない限り不正にはならないと考えられます。会社から「通勤手当」という給与の一部として渡される性質が強いためです。
ただし、申請した通勤経路や通勤手段に虚偽がある場合は不正受給になり、発覚した際には適切な対応を取ることが重要です。不正が疑われた場合、従業員は事実関係を正確に説明し、会社との返還交渉などに真摯に応じることが求められます。
また出張時の私的寄り道による交通費も、会社の旅費規程の整備と経路申請の明確化でトラブルを防ぐことができるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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