2025年12月の「年末調整」で“年収の壁”が引き上げに。しかし労働時間を「今より増やしたい」人はわずか“13%”だった!?
このように、働く上での年収面の制約は緩和されつつあるといえます。一方で、労働時間を今より増やしたい方は、わずか13パーセントである、というデータが存在するのも事実です。この記事では最新の政治動向を確認し、現代社会で仕事に励む方々の「働き方」の傾向を見ていきます。
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高市首相は「労働時間規制の緩和の検討」を指示
与党・自由民主党は、2025年に行われた参議院選挙の選挙公約にて、「働く人が安心して挑戦でき、個人の意欲と能力を最大限活かせる社会を実現するため」として「働きたい改革」を盛り込みました。
また、高市早苗首相は、就任前の自民党総裁選出馬時の政策所見で、労働時間規制について「心身の健康維持と従業者の選択を前提に緩和する」との考えを示していました。就任後も、労働時間制度の在り方は政府や厚生労働省の審議会などで重要な検討テーマの一つとなっています。
これを受け、日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長は「過労死ラインの水準である現行の時間外労働の上限規制や裁量労働の拡大をはじめとした労働時間法制の規制緩和を行うべきではない」と懸念を示しました。
同政策については厚生労働省の労働政策審議会で議論が進められており、今後の展開に注視する必要がありそうです。
労働時間を「今より増やしたい」人は全体の“13%”
長時間働きたい方にとっては、「年収の壁」の引き上げも追い風といえるかもしれません。では、労働時間を「今より増やしたい」と考える方はどの程度いるのでしょうか。
株式会社インディードリクルートパートナーズ リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査 2025〔データ集〕」によると、「仕事時間の増減希望有無」について表1の結果が出ています。
表1
| 今より増やしたい | 今より減らしたい | とくに希望はない | |
|---|---|---|---|
| 2024年 全体 | 13.0% | 25.3% | 61.8% |
| 正規の職員・従業員 | 6.7% | 34.3% | 59.0% |
| 非正規の職員・従業員 | 22.3% | 13.6% | 64.1% |
出典:株式会社インディードリクルートパートナーズ リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査 2025〔データ集〕」を基に筆者作成
このように、就業者全体で見ると、労働時間を「今より増やしたい」と考えている人は13.0%にとどまっています。
一方で属性別に見ると、パートやアルバイトといった非正規雇用の職員・従業員は労働時間の延長を希望する傾向があるのに対し、正規雇用として働く方々は労働時間を「減らしたい」と考えるケースが多いようです。
“約60%”の方は仕事時間・仕事内容の増加は「できない」
前記の調査における「仕事時間、仕事内容の増加可能性」の項目では、就業者全体の「60.8%」の方が仕事時間、仕事内容の増加は「できない」と回答したようです。
また、同調査における「仕事時間を増やしたいができない理由」についての調査では、主に以下のような理由が挙げられています。
56.9%:「勤務制度など会社都合のため」
29.6%:「適した仕事がないため」
18.8%:「社会制度による制約のため(納税額が増える、手当が減るなど)」
以上のデータから、「年収の壁」が引き上げになったからといって、ただちに労働時間を増やせる可能性は低いことが予想されます。
まとめ
調査結果を見ると、労働時間を「今より増やしたい」と考えている人は、就業者全体では約13%にとどまっており、決して多いとはいえません。
最低賃金が見直され、2025年12月の年末調整からは「年収の壁」も引き上げられますが、その効果が「労働時間の増加」として速やかに現れるとは言い切れません。しかし、パートやアルバイトなどの非正規雇用のなかには、労働時間を増やしたいと希望する人も存在しているようです。
「働き方を見直したい」とお考えの方は、政府の取り組みについてもアンテナを張り、今後の動向をチェックしていきましょう。
出典
厚生労働省 令和7年度地域別最低賃金の全国一覧
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
自由民主党 第27回参議院議員通常選挙選挙公約(4ページ)
自由民主党 総裁選2025 高市早苗 所見
厚生労働省 上野大臣会見概要
第 1 回日本成長戦略会議 「成長戦略の検討課題」等に対する意見書(2ページ)
株式会社インディードリクルートパートナーズ リクルートワークス研究所 全国就業実態パネル調査 2025〔データ集〕(184ページ)
株式会社インディードリクルートパートナーズ リクルートワークス研究所 全国就業実態パネル調査 2025〔データ集〕(190ページ)
株式会社インディードリクルートパートナーズ リクルートワークス研究所 全国就業実態パネル調査 2025〔データ集〕(192ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
