“年収130万円”を超えても「夫の扶養」から外れない!? 一時的に収入が増えても「社会保険の被扶養者」と認められるように!
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社会保険の「扶養要件」とは?
まず、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被扶養者として認定を受けるためには、「収入要件」と「同一世帯要件」の両方を満たす必要があります。
日本年金機構によると、収入要件は年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)です。このうち、同居の場合は収入が扶養者の収入の半分未満、別居の場合は収入が扶養者からの仕送り額未満でなければなりません。
また、同一世帯要件は扶養者との関係によって以下の2つに分かれます。
1.被保険者と同居している必要がない者
・配偶者(未届の事実婚関係を含む)
・子、孫および兄弟姉妹
・父母、祖父母などの直系尊属
2.被保険者と同居していることが必要な者
・上記1以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
・内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)
なお、被扶養者の保険料は扶養者が加入する保険者が一体となって負担するため、別途保険料負担が発生することはありません。
「103万円の壁」が引き上げられても「130万円の壁」は据え置き
令和7年税制改正により、税収に関する年収の壁が引き上げられ、所得税が発生するボーダーラインは103万円から160万円になりました。同時に配偶者控除の所得要件も103万円から123万円に引き上げられています。
しかし、今回の引き上げはあくまで税制に関する年収の壁に限られている点に注意です。一定規模の企業で社会保険への加入義務が生じる106万円の壁や、被扶養者の収入要件である130万円の壁は引き上げられずに残っています。そのため、年収がこれらの壁を超えた場合、社会保険料の負担額によって、手取りが逆転するケースも考えられるかもしれません。
一時的に収入が増えても「社会保険の被扶養者」と認められるように
このような現状を踏まえ、政府は短時間労働者が年収の壁を意識せず働ける環境づくりを支援するため、2023年より年収の壁・支援強化パッケージを推進しています。これには130万円の壁への対応も含まれており、厚生労働省は短時間労働者労働時間延長支援コースを2025年7月に新設しました。
具体的には、社会保険への加入に合わせて手取り収入を減らさないための取り組みを行う企業に対し、労働者1人当たり最大75万円の支援をする、という取り組みです。
また、収入が一時的に上がった場合でも、繁忙期対応や臨時的な勤務増加などによるもので、恒常的に年収が130万円を超える見込みがないことを事業主が証明できれば、引き続き配偶者の扶養に入れる仕組みも整えられています。
厚生労働省の事務連絡によると、年収の壁・支援強化パッケージにおける事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の取り扱いが恒久化されたようです。これにより、一時的に収入が増えても円滑に社会保険の被扶養者と認められるようになります。
まとめ
令和7年度税制改正により税収に関する年収の壁は引き上げられましたが、130万円の壁はなくなっていません。しかし、政府が実施する年収の壁・支援強化パッケージでは130万円の壁への対応として特定の取り組みを行う企業に対し、労働者1人当たり75万円を支援する方針です。
また、収入が一時的に上がっても事業者にそれを証明すれば引き続き配偶者の扶養に入れます。収入要件を満たさなくなった人は支援制度を利用してみましょう。
出典
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
財務省 基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設
首相官邸 いわゆる「年収の壁」対策
厚生労働省 「年収の壁・支援強化パッケージ」における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の取扱いの恒久化について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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