今年離婚してシングルマザーになりました。月収15万だと生活していけず、都営住宅に入居を希望しています。しかし入居基準の「年収」はやはり昨年のものが参照されるのでしょうか?

配信日: 2025.12.03
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今年離婚してシングルマザーになりました。月収15万だと生活していけず、都営住宅に入居を希望しています。しかし入居基準の「年収」はやはり昨年のものが参照されるのでしょうか?
今年離婚し、シングルマザーとして東京都内で生活することになった人にとって、家賃負担の少ない都営住宅は大きな助けとなる住まいの選択肢です。ただし、申し込む際に悩むのは、「審査で参照されるのは離婚前の前年所得なのか、それとも離婚後の現在の収入なのか」という点でしょう。
 
本記事では、都営住宅の所得基準がどのように計算され、離婚や収入減少があった場合にどの所得が審査に使われるのかを解説していきます。
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都営住宅の収入基準を正しく理解しよう

都営住宅の入居資格は、「所得」と「家族構成」を基に判断されます。ポイントは、審査で用いられるのは単純な年収ではなく、給与所得控除や扶養控除などを差し引いた「所得金額」であることです。母子家庭の場合は、ひとり親控除が適用されるケースも多く、所得判定において有利に働きます。
 
また、家族人数によっても認定される所得上限が変わります。母親と子ども1人の世帯であれば、一般世帯よりも緩和された基準が適用される場合があります。このように、実際の収入よりも算定上はより低く扱われることがあり、収入が少なくても条件を満たせるケースは決して珍しくありません。
 

年収(所得)は前年だけを見るのか?

多くの人が誤解しがちですが、都営住宅の審査は原則として、前年の所得により所得金額が認定されます。ただし、離婚・退職・病気などにより収入が大きく減った場合には、自治体によって異なりますが、現在の所得で再判定される例外措置を認められることがあります。
 
離婚した場合、前年は夫と同一世帯だったため所得が高く、基準を超えてしまう人が多くいます。
 
しかし、離婚を証明する公的書類があれば、「現在は別世帯であり、収入状況も大きく変わっている」と認められる可能性があります。さらに、離婚に伴い収入が減ったという状況を給与明細などで証明できれば、前年の所得ではなく現在の所得で審査されるケースもあります。
 
ただし、この扱いはあくまで例外であり、必ず認められるわけではありません。募集時期や区の運用方針によって判断が異なる場合もあり、申し込み前に担当窓口で確認することが重要です。
 

月収15万円・母子家庭の場合はどうなる?

今回のケースで月収15万円ということは、年収換算で約180万円です。しかし、都営住宅の審査では給与所得控除やひとり親控除が差し引かれるため、判定に用いられる所得はさらに低くなります。その結果、母子世帯としての所得基準内に収まるケースは多いと考えられます。特に、以下の点は重要です。
 

・前年は夫と同一世帯で所得が高かったとしても、離婚後は別世帯として扱われる
・離婚や収入減少を証明できれば、現在の所得で審査される可能性がある
・母子家庭は控除が大きく、所得基準を満たしやすい

 
つまり、「前年の所得が高かったからダメだ」と即断する必要はありません。手続き次第で、現在の収入状況を正しく反映してもらえる可能性があります。
 

申し込み前に準備しておくべきポイント

都営住宅の申し込みでは、書類の不備や確認不足によって審査に進めないケースもあります。離婚後の収入状況を正しく伝えるためにも、事前の準備がとても重要です。申し込みの前に、次のポイントを押さえておきましょう。
 
1. 離婚を証明できる公的書類の準備
離婚を証明するには、離婚の記載がある戸籍謄本や戸籍抄本、または離婚届受理証明書を準備します。離婚して夫とは別の世帯になったことが、公式に認められるための最重要書類です。
 
2. 現在の収入を証明する書類をそろえる
現在の収入状況を示すために給与明細や雇用契約書、源泉徴収票などを準備します。離婚後に収入が減った理由と金額を説明できる書類があると、現在所得での審査が受けやすくなります。
 
3. 控除の適用可否を確認する
所得判定では、扶養控除やひとり親控除、社会保険料控除などが反映されます。どの控除が使えるかを確認しておくことで、審査に用いられる所得金額が下がり、基準を満たせる可能性が高まります。
 
4. 募集時期と申し込み区分を確認する
都営住宅は、募集回ごとに審査方法が異なる場合があります。前年度所得のみで判定される回もあるため、離婚後の現在所得が使えるかどうかを募集要項や窓口で事前に確認してから申し込むことが大切です。
 

まとめ

離婚後に収入が大きく減った状況でも、都営住宅の審査では現在の所得で判断してもらえる可能性があります。特に母子家庭は控除も大きいため、月収15万円という厳しい状況でも基準内に収まるケースは十分に考えられます。
 
大切なのは、離婚や収入減少を証明できる書類をしっかりそろえ、募集要項を確認しながら準備を進めることです。適切に手続きを行えば、都営住宅という安心できる住まいを得られる可能性は十分にあります。希望を持って、できるところから準備を始めていきましょう。
 

出典

東京都 住宅政策本部 都営住宅の入居資格
東京都 住宅政策本部 都営住宅入居者募集サイトポータルページ 入居資格と所得計算等 6. その他共通事項 所得基準
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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