「シャワー代を節約できる」と“近所のジム”に通う夫。「月7700円」かかりますが、平日に毎日通えば“元は取れる”でしょうか? ガス・水道代を試算
もし、この月会費を光熱費の節約でまかなえるとしたら、非常に魅力的な話です。果たして本当に「元は取れる」のか……本記事では、ジムのシャワー利用による光熱費の節約額を具体的にシミュレーションします。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
シャワー付きスポーツジムの相場は?
スポーツジムの多くは、トレーニング後に汗を流せるシャワー設備を完備しています。相場としては、月額7000円前半から8000円台で設定されていることが多いようです。代表的な例としては「エニタイムフィットネス」や「Fastgym24」、「スマートフィット100」などが挙げられます。
ただし、エニタイムフィットネスの赤坂店は月会費が1万1000円となるなど、地域によって差があることは知っておきましょう。
ジムによっては、追加料金なしで全国の系列店舗を利用できる場合もあり、出張先や外出先でシャワーを使いたい人にも便利です。
一方、「chocoZAP(チョコザップ)」のように、シャワー設備を設置していないジムもあります。「シャワー代の節約」も目的の1つとして入会する場合、契約前に必ず設備の有無を確認しましょう。
ジムのシャワーで光熱費は月いくら浮く?
実際に1日10分間シャワーを浴びるときの光熱費を計算します。計算に使う条件は次の通りです。
・水量:1分あたり10リットル(1回で100リットル使用)
・水道代:1立方メートルあたり163円=1リットルあたり0.163円(東京都水道局21立方メートルから30立方メートルのときの従量料金)
・ガス代
1.水温:18.7度(都庁付近の水道水の年間平均水温)から40度に上昇
2.ガス単価:1立方メートルあたり155.14円(東京ガス一般契約料金 料金表B 2025年11月検針分)
3.熱効率:80%
4.1立方メートルあたりの発熱量:45メガジュール=1万750キロカロリー
これを基に計算すると、シャワー1回あたりの光熱費は次の通りとなります。
・水道代:0.163円×100リットル=16.3円
・ガス代:21.3度×100リットル÷(80%×1万750キロカロリー/1立方メートル)×155.14円/1立方メートル=38.4円
合計すると54.7円で、仮に平日毎日(月22日)ジムでシャワーを浴びたとすると、1ヶ月の節約額は「54.7円×22日=約1203円」となります。
月額7000円台のジム会費に対し、節約できる光熱費は約1203円となり、残念ながらシャワー代の節約だけでは元は取れません。
ジム代を安くする目的なら入会はあり
確かに、シャワー代だけで月会費の「元を取る」のは不可能ですが、ジムのシャワーを上手に使うことで、ジムにかかる費用を実質的に抑えられます。
そもそも多くの人がジムに通う本来の目的は、健康維持や運動の習慣化によるストレスの軽減でしょう。その価値はそのままに、月に7000円以上かかる施設を約1200円安く使えると考えればお得に感じられるのではないでしょうか。
シャワー利用は「元を取る」ためではなく「実質割引」と捉えよう
ジムのシャワー利用による光熱費の節約額は、月22日の利用で約1203円です。月7000円台の会費の元は取れません。スポーツジムに支払うお金はシャワーを使うためではなく、健康維持・運動の習慣化であるという本来の目的を忘れないことが重要です。
シャワーの利用を「元を取る」ためではなく、「ジムをお得に利用するための賢い工夫」として活用してみてはいかがでしょうか。
出典
東京都水道局 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)
東京ガス株式会社 ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
