洗濯機は「ドラム式・縦型」で“電気代・水道代”はどれだけ違う?「乾燥機能」があるならドラム式のほうが便利でしょうか?“1回あたりのコスト”も比較
とはいえ、価格を見るとドラム式のほうが縦型よりも高額なモデルが多く、「光熱費の節約分で本体代の元が取れるの?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、AQUA(アクア)の人気モデルを例に、水道代と電気代のランニングコストを比較した上で、本体価格の差を埋めるのにどれくらいの期間がかかるのか、実際の損益分岐点を計算します。
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比較対象の2機種の概要
まずは、今回比較する対象2機種の本体価格とスペックの概要を見ていきましょう。
図表1
| タイプ | 機種 | 本体価格 (ネット参照) |
洗濯容量 | 使用水量 (1回あたり) |
消費電力量 (1回あたり) |
|---|---|---|---|---|---|
| ドラム式 | AQW-DM10R | 約13万円 | 10キログラム | 約77リットル | 55ワットアワー |
| 縦型 | AQW-TW10R | 約10万円 | 10キログラム | 約105リットル | 69ワットアワー |
筆者作成
このように、同じ洗濯容量の2機種ですが、ドラム式のほうが使用水量と消費電力量がともに少ないことが分かります。
水道代と電気代の1回あたりコストを計算
それでは具体的に、水道代と電気代の1回あたりのコストを計算してみましょう。今回は、東京都水道局と全国家庭電気製品公正取引協議会が提示する目安単価を参照し、次の通りとします。
・水道料金単価:0.24円/リットル
・電気料金単価:31円/キロワットアワー
この前提で、それぞれの機種における1回あたりの洗濯に必要な水道代と電気代は次の通りです。
・水道代:77リットル×0.24円=約18.5円
・電気代:0.055キロワットアワー×31円=約1.7円
・合計:約20円
・水道代:105リットル×0.24円=約25.2円
・電気代:0.069キロワットアワー×31円=約2.1円
・合計:約27円
つまり、ドラム式のほうが1回あたり約7円安い計算になります。
本体価格の差を埋めるのにかかる期間は?
今回は、1日1回洗濯する場合に、本体価格の差を光熱費の差で埋めるまでの期間を計算します。1日1回の洗濯によるコストの差が約7円ですので、年間(365日)での節約費用は約2555円(7円×365日)です。
本体代はドラム式が約13万円、縦型が約10万円ですので、約3万円の差があります。そのため、本体代の差(約3万円)を光熱費の節約費用(年間約2555円)で埋めるまでの期間は次の通りです。
・3万円÷2555円=11.7年
つまり、12年ほど使い続ければ、光熱費分で本体価格差の回収が可能です。「12年は長い」と感じる人もいるかもしれませんが、ドラム式には縦型よりも優れた特徴もあります。
ドラム式と縦型のそのほかの性能の違い
パナソニックによると、ドラム式と縦型では、それぞれ異なる特徴があるとされます。
例えば、ドラム式はななめドラムを回転させて衣類を上から落とす「たたき洗い」と「もみ洗い」の併用により、衣類の絡みが少なく傷みにくい点が強みです。また、少ない水量で洗うぶん洗剤濃度を濃くでき、皮脂汚れへの洗浄力が高めになる傾向があります。
縦型は、底にあるパルセーターの回転による「かくはん水流」が基本で、強いこすりで固形汚れには有効とされますが、衣類同士の摩擦や絡みが起きやすく、素材によっては傷みやすいという注意点が挙げられています。
乾燥機能でも差異があり、ドラム式はヒートポンプ方式や低温風方式を採用することで、低温で効率よく乾燥でき、衣類の縮みや傷みを抑えつつ電力消費も抑制できる設計が可能です。
こうした構造・洗い方・乾燥方式の違いが、洗い上がりのやわらかさ・衣類のもち・洗浄力などに影響を及ぼすでしょう。
まとめ
今回の前提では、ドラム式と縦型洗濯機では、1回あたりの光熱費に約7円の差があり、ドラム式のほうが省エネ・節水性能に優れています。本体価格は約3万円高く、その差を光熱費の節約で回収するには約12年必要です。仮に1日2回洗濯する家庭では、費用回収までの期間は半分の6年になります。
コスト面では縦型に優位性がありますが、ドラム式は衣類へのやさしさや乾燥効率など、使い勝手や仕上がりで優れた点も多くあります。費用比較をしつつ、ライフスタイルに合った選び方が重要だといえるでしょう。
出典
アクア株式会社 ドラム式洗濯乾燥機 AQW-DM10R-L/AQW-DM10R-R
アクア株式会社 タテ型洗濯乾燥機 AQW-TW10R
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A
東京都 水道局 節水について
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
