年収アップしても残業代がなくなる管理職は損? 年収だけでは判断できない変化のポイントを整理してみた
年収の内訳は基本給、手当、賞与など複数の要素で構成され、そこに残業代の有無が加わることで、総収入は大きく変わります。本記事では、年収アップと残業代消失の関係を整理し、昇進時に押さえておきたい判断ポイントを解説します。
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管理職になると残業代はどう変わるのか
管理職と呼ばれる立場の多くは、労働時間の管理方法が一般職と異なり、残業代が支給されないケースがあります。これは、管理職が「労働時間を自ら調整し、責任に基づき業務を遂行する」という前提で働くとされているためです。
例えば、一般職で月20時間残業していた場合、残業代として毎月数万円が給与に上乗せされることになります。しかし、管理職になるとこの残業代がゼロになりますが、役職手当などで調整が行われる形となります。
とはいえ、役職手当の金額が残業代相当額を下回る場合、昇進前よりも手取りが減ったように感じることもあります。
ただし、肩書として管理職と呼ばれていても、労働法上の管理監督者に該当しない場合は残業代が支給されることもあり、企業によって扱いは異なります。昇進時には、自分が法律上の管理監督者に該当するかを確認することが重要です。
年収の構造を分解して理解することが欠かせない
昇進が決まった際に「年収が上がります」と説明されると、つい収入が大幅に増える印象を持ちがちです。
しかし年収には、基本給・役職手当・賞与などさまざまな要素が含まれています。残業代の消失は、このバランスを大きく変える要因です。
例えば、基本給25万円で月30時間程度の残業をしていた場合、残業代は5万円台後半になることもあります。この残業代がゼロになると、月額給与が1万円増えても手取りが減る可能性があります。逆に、賞与の評価が役職に応じて上がる場合、年収ベースでは昇進したほうが大きくプラスになることもあります。
そのため、給与明細の内訳や賞与の算定方法を確認し、「月収」「ボーナス」「残業代の扱い」という3つをセットで比較することが、損得を判断するうえでは欠かせません。
働き方の変化が経済的価値に影響することも
管理職になると、労働時間管理が緩やかになる代わりに、責任の範囲が広がります。会議やマネジメント業務が増え、結果的に働く時間が長くなることも珍しくありません。
ただし、その働き方の変化が必ずしも“損”につながるわけではありません。
管理職経験は、将来的な評価やキャリアの広がりにつながりやすい要素でもあり、数年先の収入増や転職市場での価値向上に寄与する場合があります。目先の残業代が減っても、長期的には経済的メリットを享受できるケースもあるのです。
一方で、裁量の大きさや責任の重さがストレスにつながり、プライベートとのバランスが取りづらくなる可能性もあります。収入面のみならず、生活全体への影響を含めて判断する必要があります。
年収アップだけにとらわれず、総収入と働き方の両面で考えよう
管理職への昇進は、単に年収額の変化だけで判断するのではなく、残業代の扱いや役職手当、賞与の仕組み、働き方の変化といった複数の要素を総合的に見て判断することが大切です。
場合によっては昇進前よりも月々の手取りが減ることもありますが、将来的なキャリア形成や評価への影響を踏まえると、長期的にはプラスとなる可能性もあります。
昇進が提示されたときは、給与の内訳を確認し、実際にどの程度の収入変化があるのかを把握したうえで、自身のライフスタイルやキャリアの方向性と照らし合わせて検討することが求められます。年収アップのイメージだけにとらわれず、働き方と収入のバランスを冷静に判断しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
