就寝時「エアコン」は“20度で付けっぱなし”がコスパ良し? 8時間で「電気代」はいくらになりますか? 家計が心配で、寝るときは暖房を消しています
実際のところ、8時間使用した場合のコストはどのくらいかかるのでしょうか。機種や電気単価によって差はあるものの、目安となる電気代を試算し、つけっぱなしとこまめにオンオフする場合の違いを解説します。
また、ある調査では約7割が「就寝中はエアコンを使わない」と回答しており、暖房方法の選び方にも家庭差があることについても紹介します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
エアコン20度設定が「おすすめ」と言われる理由
冬の暖房でエアコン20度設定が推奨される理由は、環境省が提唱する「ウォームビズ」の考え方にあります。室温20度前後であれば、過度な暖房を避けつつ、体感的な寒さも抑えやすいとされています。
また、エアコンは設定温度に到達するまでが最も電力を消費するため、夜間に何度もオンオフを繰り返すより、一定温度で運転を続けたほうが消費電力量を抑えられるケースがある点も理由の1つです。
東京電力「従量電灯B(30A)」で電気代を試算
ここでは、東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B(30アンペア)」を基準に、電気代の目安を試算します。2024年時点の電力量料金(第2段階:120キロワットアワー超~300キロワットアワー以下)は、1キロワットアワーあたり約36円です。
暖房時のエアコンの消費電力は、機種や外気温によっても異なりますが、一般的な6畳~8畳用エアコンでは、暖房運転中の平均消費電力は約400~600ワットとされています。ここでは中間値の500ワット(0.5キロワット)で計算します。
・1時間あたりの電気代
0.5キロワットアワー×36円=18円
・8時間使用した場合
18円×8時間=144円
・30日間使用した場合
144円×30日=4320円
上記の計算から、就寝中8時間、20度設定の暖房を毎日つけている場合、月額4000円台が電気代の目安となります。
こまめにオンオフした場合は電気代が安くなるのか?
「使わない時間は消したほうが安い」と考える人も多いですが、就寝時の暖房では必ずしもそうとは限りません。
エアコンは起動直後、設定温度まで室温を一気に上げようとするため、瞬間的に消費電力が通常運転時よりも高くなることがあります。
例えば、寒さから夜中にオンオフを繰り返した場合、立ち上がり時の電力消費が増え、結果的につけっぱなしより電気代が高くなるケースです。特に外気温が低い深夜帯では、この差が出やすくなります。
「就寝中はエアコンを使っていない」人がいる理由
就寝中に、エアコンの暖房機能を使っていない人もいます。パナソニックの調査では、約7割が「就寝中にエアコンはつけていない」と回答しています。その理由としては、「電気代が高くなりそうで不安」や「乾燥が気になる」「音や風が気になる」といったものが考えられます。
数字としては日頃から見えにくいコストであるため、心理的なハードルが高いことが背景にありそうです。
電気代を抑えながら快適に眠るための工夫
就寝時の電気代を抑えるためには、設定温度だけでなく周辺環境も重要です。例えば、厚手のカーテンで冷気を遮断することで暖房効率を上げることができます。また、就寝前に短時間だけ強めに暖房し、室温を上げておくことも効果的です。
さらに、サーキュレーターで暖気を循環させることで、暖房効果が持続しやすくなります。こうした工夫を組み合わせることで、消費電力を抑えながら20度前後を維持しやすくなります。結果として、電気代と快適性のバランスも取りやすくなります。
8時間つけっぱなしの電気代は1日144円程度
冬の就寝時にエアコンを20度で8時間使用した場合、電気代の目安は1日144円、月約4000円です。こまめなオンオフが必ずしも節約につながるとは限らず、つけっぱなし運転が合理的なケースもあります。
また、約7割が就寝中にエアコンを使っていないという現実はありますが、電気代を正しく把握したうえで、自分の生活スタイルに合った暖房方法を選ぶことが、家計と快適さの両立につながります。
出典
東京電力エナジーパートナー株式会社 電気料金単価表-電灯
パナソニック株式会社 2024年 今冬の睡眠に関する実態調査(PR TIMES)
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
