同僚が「副業で年間60万円稼ぐつもり」と意気込んでいるが…住民税・社会保険を引くと、手取りはいくら残る?
では、実際に60万円稼いだ場合、手元に残るのはいくらなのでしょうか。本記事では税金と保険料の仕組みを整理しながら、現実的な「副業の手取り」を具体的に見ていきます。
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目次
「60万円稼いだ」という事実と、「60万円使える」という誤解
副業の話題でよくあるのが、「年間60万円稼げるなら十分」という感覚です。しかしこの数字は、あくまで“稼いだ額”であって、“自由に使えるお金”ではありません。会社員の場合、本業の給与と副業収入は税金計算上合算され、思っている以上に負担が増えることがあります。
特に所得税や住民税は、副業を始めた翌年にまとめて影響が出るため、後から「こんなはずじゃなかった」と感じやすいポイントです。副業収入を語る際は、まずこの認識のズレを正しく理解しておく必要があります。
副業収入60万円は「そのまま60万円」ではない
前提として、副業で得た収入は「雑所得」として課税対象になります。会社員の場合、本業の給与とは別に、副業分が合算されて税金が計算される仕組みです。
副業が業務委託やフリーランスの場合、60万円は「売上」であり、ここから必要経費を差し引いた金額が「所得」になります。仮に経費がほとんどかからず、60万円がほぼ所得だとすると、その分だけ課税所得が増えることになります。
まず引かれるのは所得税と住民税
本業ですでに一定の収入がある会社員の場合、副業分にかかる所得税率は5%〜10%程度になるケースが一般的です。ここでは仮に所得税10%としましょう。
・所得税約6万円
・住民税原則10%前後
・住民税約6万円
この時点で、60万円の副業収入から約12万円が税金として差し引かれます。
見落としがちな「社会保険」の影響
「副業には社会保険はかからない」と思っている人もいますが、実際にはそう単純ではありません。副業収入が増えると、住民税だけでなく、社会保険料の算定に影響する可能性があります。
特に注意したいのが、住民税の増加による「手取り感覚」の変化です。会社によっては住民税が給与天引きされるため、「副業を始めたら、なぜか本業の手取りが減った」という現象が起こります。実質的には、副業分の税金を本業の給料から払っているような状態です。
結局、手元に残る金額はいくら?
ここまでをまとめると、年間60万円の副業収入に対して、
・所得税約6万円
・住民税約6万円
合計で約12万円が差し引かれます。
その結果、実際に使える手取りは、約48万円(月あたり約4万円)となります。「月5万円稼ぐつもり」が、現実には「月4万円前後」というわけです。
副業は「金額」より「設計」が重要
60万円稼ぐこと自体は決して無意味ではありません。しかし、「60万円=60万円使える」と考えてしまうと、あとでギャップにがっかりすることになります。
重要なのは、
・経費をきちんと管理して所得を抑える・税金を織り込んだ上で目標金額を設定する
・将来的にどこまで副業を伸ばすのかを考える
といったお金の設計です。
同僚が「副業で60万円稼ぐ」と意気込んでいるなら、「実際の手取りはどれくらいか、もう計算した?」と一度聞いてみてもいいかもしれません。副業は、始める前の“数字の理解”が、成功と後悔を分けるポイントになるのです。
出典
国税庁 No.1500 雑所得
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
