ガソリン税「暫定税率」廃止で家計はどう変わる?1日20km走る家庭の場合を試算

配信日: 2025.12.17
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ガソリン税「暫定税率」廃止で家計はどう変わる?1日20km走る家庭の場合を試算
昨今、連日のようにガソリン税の「暫定税率廃止」に関するニュースが報じられています。この決定によりガソリンの価格が下がるため、燃料費に苦しんでいる方にとってはうれしいニュースとなっています。
 
一方、具体的にどの程度の恩恵があるのか分からない人もいるでしょう。
 
そこで本記事では、ガソリン税の暫定税率の概要、および具体的な価格への影響について解説します。
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ガソリン税の暫定税率の概要

ガソリン税の暫定税率とは、簡単にいえばガソリン税に上乗せされている税金のことで、税額は1リットルあたり25.1円です。
 
ガソリンには、暫定税率を含め、1リットルにつき以下の税金が課せられています。
 

・ガソリン税:53.8円(ガソリン税28.7円+暫定税率25.1円)
・石油石炭税:2.04円
・地球温暖化対策のための課税:0.76円
・消費税:「ガソリン本体価格+ガソリン税+石油石炭税+温暖化対策税」×10%

 
消費者が支払うガソリン価格は、以下の式で求められます。
 
・1リットルあたりのガソリン価格=(本体価格+税金)×消費税率(10%)
 
仮にガソリンの本体価格が1リットル100円としましょう。上記より、ガソリン税は53.8円、石油石炭税は2.04円、地球温暖化対策税は0.76円であるため、この場合の計算式は以下の通りです。
 
・(100+53.8+2.04+0.76)×1.1=172.26円
 
消費者が支払うガソリン価格は1リットルあたり172.26円となる計算です。
 

ガソリン税の暫定税率は2025年末に廃止される

ガソリン税の暫定税率は、与野党の合意により、2025年12月31日をもって廃止されることになりました。
 
ガソリン税の暫定税率は、道路整備に充てる財源として一時的に導入されたものでした。結果的に数十年間も存続してしまいましたが、ついに2025年をもって廃止、つまり減税されます。
 

廃止まで段階的に補助金が引き上げられる

政府はこれまで消費者の負担を減らす目的で、ガソリン価格に対して1リットルあたり10円の補助金を出していました。暫定税率が廃止されてガソリン価格が下がるため、補助金は終了する予定ですが、暫定税率が廃止されるまでの間は継続されます。
 
しかし25.1円の暫定税率がなくなることを踏まえ、政府は急激なガソリン価格変動に伴う流通の混乱を避ける目的で、補助金を10円から段階的に引き上げる予定です。
 
経済産業省資源エネルギー庁によれば、具体的には、以下の通り引き上げられます。
 

・11月13日:15円/リットル
・11月27日:20円/リットル
・12月11日:25.1円/リットル

 
12月11日時点で、補助金額は暫定税率と同等の1リットルあたり25.1円に引き上げられました。
 

暫定税率廃止でいくら安くなる?

暫定税率が廃止されると、まず1リットルあたり25.1円分の税金がかからなくなる予定です。また上記の計算にあったように、暫定税率には10%の消費税がかかっているため、消費税分2.51円もカットされます。よって、1リットルあたり合計約27.6円値下げされる計算です。
 
ただし、すでに補助金によって消費者のガソリン価格の負担は軽減されているため、実際は約27.6円ではなく、そこから補助金分を引いた金額が安くなります。例えば補助金が10円だとすれば、約17.6円の値下げです。
 
では今回のケースのように、1日平均20キロメートル走るご家庭の場合、ガソリン価格はどれくらい安くなるでしょうか。1年に換算すると走行距離は7300キロメートルに達します。仮に車の燃費が16キロメートル/リットルとすると、消費するガソリン量は約456リットルです。
 
経済産業省資源エネルギー庁によると、令和7年11月10日時点におけるレギュラーガソリンの給油所小売価格は「173.5円/リットル」でした。同時点の価格で約456リットル消費するとした場合、年間約7万9116円かかります。
 
11月10日時点での補助金額は10円であるため、暫定税率が廃止されたタイミングでの値下げ額は1リットルあたり約17.6円です。173.5円から差し引くと、約155.9円になります。この価格で約456リットル消費する場合、年間約7万1090円かかります。
 
今回のケースでは、暫定税率が廃止されると、11月10日時点と比べて年間約8026円の負担減になるといえるでしょう。1ヶ月あたりでは約669円の値下がりです。
 

暫定税率の廃止で年間約8000円の節約になる可能性がある

暫定税率25.1円が廃止されると、消費税も含めて約27.6円の値下がりが発生します。ただし補助金ですでに安くなっている金額を考慮すると、実際には同額分下がるわけではありません。
 
補助金が10円の時点と、暫定税率および補助金廃止のタイミングを比較すると、1リットルあたり約17.6円安くなる計算です。
 
1日20キロメートルを走る場合、ご紹介したシミュレーションでは年間約8000円の節約効果があります。ただし燃費やガソリン本体価格などによって、最終的な消費額は左右される点に注意が必要です。
 

出典

経済産業省資源エネルギー庁 ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!
経済産業省資源エネルギー庁 石油製品価格調査 調査の結果 1.給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油) 調査結果 12月10日(水)結果詳細版
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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