育休後は復帰せず退職を考えています。育児休業給付金や手当の返還などペナルティーはあるのでしょうか。

配信日: 2025.12.24
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育休後は復帰せず退職を考えています。育児休業給付金や手当の返還などペナルティーはあるのでしょうか。
育児休業後に職場へ復帰せず、そのまま退職を考える人は少なくありません。育児と仕事の両立が想像以上に難しいことや、家庭環境の変化、将来の働き方を見直した結果、退職という選択に至るケースも多いでしょう。
 
しかし、育児休業給付金を受け取ったあとに退職すると、返還を求められるのではないか、何らかのペナルティーがあるのではないかと不安に感じる人もいるはずです。
 
そこで本記事では、育休後に復帰せず退職する場合の給付や手当の扱いについて、制度の仕組みを踏まえながら整理します。
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育児休業給付金は返還が必要なのか

まず結論から言うと、育児休業中に受け取った育児休業給付金について、育休後に復帰せず退職したとしても、原則として返還を求められることはありません。育児休業給付金は、育児のために一定期間仕事を休むことを支援する制度であり、休業期間中の要件を満たしていれば支給されるものです。
 
制度上は「休業後に職場復帰すること」を前提としていますが、育休取得後に家庭の事情や働き方の見直しなどによって退職を選ぶこと自体が、原則としてペナルティーになるわけではありません。すでに適正に支給された給付金について、あとから退職したという理由だけで返還を求められることはないのです。
 
ただし注意したいのは、不正受給と判断されるケースです。例えば、育児休業の申請時点ですでに復帰する意思がなく、退職を前提としていたにもかかわらず給付金を申請した場合などは、制度の趣旨に反するとみなされる可能性があります。このような場合は返還を求められることもあるため、取得時点の意思が重要な判断材料になります。
 

退職のタイミングと受給資格の関係を整理する

育児休業給付金の受給資格は、育休開始時の雇用関係と復帰の見込みがポイントになります。育休取得時点で雇用が継続しており、制度上の要件を満たしていれば、給付金は支給対象です。その後、育休期間中や終了間際に退職を決断した場合でも、退職日までの育休期間については給付金の支給対象となります。
 
一方、最初から退職を前提として育休を取得する場合は、給付金の対象外と判断される可能性があります。制度はあくまで「雇用継続を前提とした休業支援」であるため、申請時点での状況や説明内容が重要になります。退職を視野に入れている場合でも、いつの時点で意思が固まったのかによって、制度上の扱いが変わる点には注意が必要です。
 

失業手当への影響と家計へのインパクト

育休後に退職する場合、次に気になるのが失業手当(基本手当)です。育児休業中は実際に働いていない期間となるため、雇用保険の被保険者期間の考え方がやや複雑になります。ただし、育休前に一定期間雇用保険に加入していれば、退職後に失業手当の受給要件を満たすケースも多く見られます。
 
ここで大きなポイントになるのが、退職理由です。自己都合退職と判断された場合、失業手当の受給開始までに待機期間や給付制限期間が設けられます。この期間は収入が途絶えるため、家計への影響は小さくありません。育休後すぐに収入源がなくなる可能性もあるため、貯蓄状況や支出を踏まえた生活設計が欠かせません。
 

育休後退職で確認しておきたい制度と判断ポイント

育休後に復帰せず退職する場合、重要なのは「制度上問題がないか」だけでなく、「その後の生活にどのような影響が出るか」を含めて考えることです。育児休業給付金の返還リスクは低いものの、失業手当の給付開始時期や社会保険料、税金の負担など、退職後に発生するお金の動きは少なくありません。
 
特に、収入が一時的に減少する期間をどう乗り切るか、再就職や働き方の見通しが立っているかは、家計の安定性に直結します。制度を正しく理解し、数字で生活を見通すことが、後悔しない判断につながるでしょう。
 

育児休業給付金などの制度を理解し、育休後の退職を納得して判断をしよう

育休後に復帰せず退職する場合でも、育児休業給付金の返還を求められるケースは原則としてありません。ただし、取得時点の意思や手続きの内容によっては注意が必要です。また、退職後の失業手当や家計への影響は人によって大きく異なります。
 
制度を感覚ではなく事実と数字で理解し、自分の生活に当てはめて考えることが大切です。今後の生活設計を整理したうえで、自分と家族にとって納得できる選択をしていきましょう。
 

出典

厚生労働省 育児休業等給付について
厚生労働省 ハローワークインターネットサービス 基本手当について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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