50代の金融資産額が平均で「1000万円」を超えるとニュースで見ました。うちは毎月「7万円」の貯金がやっと…。皆そんなにお金があるのでしょうか?

配信日: 2025.12.26
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50代の金融資産額が平均で「1000万円」を超えるとニュースで見ました。うちは毎月「7万円」の貯金がやっと…。皆そんなにお金があるのでしょうか?
「多くの50代が1000万円も金融資産を持っているの!?」ニュースの数字を見て、漠然とした不安を抱えた人も多いのではないでしょうか。しかし、統計を丁寧に見ていくと、多くの家庭に近いのは平均ではなく中央値です。
 
毎月「7万円」の貯金は少ないのか、それとも十分なのか、今回は統計データの数字をもとに、冷静に考えてみましょう。
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50代金融資産保有額の平均1168万円・中央値250万円の実態

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)二人以上世帯」によると、50代の2人以上世帯における金融資産保有額の平均は1168万円ですが、中央値は250万円と大きくかけ離れています。単身世帯では平均が1087万円、中央値は30万円となっています。
 
平均値が1000万円を超えているのは事実ですが、これは高額資産を保有している一部の世帯が数値を押し上げているためです。実際には、多くの世帯がそれほどの資産を持っているわけではありません。暮らしの実態を把握するには、より現実に近い「中央値」に注目することが重要です。
 

50代の家計は「貯蓄優先」にできない現実

50代は複雑な支出が重なる時期です。40代や50代の世帯では、子どもの教育費が最も高くなる時期を終えつつある一方で、高校・大学などの進学費用がまだ続くケースもあります。総務省統計局の調査でも、世帯主が40代・50代で「教育関係費」の支出が他の年代に比べて多いことが示されています。
 
また、住宅ローンの返済が残っている場合も多く、持ち家がある世帯では住宅関連支出が家計を圧迫する要因となるようです。住宅ローンの残債やリフォーム費用、新たな設備への投資など、家計の支出は単純に貯蓄に回せないケースも少なくありません。
 
さらに、50代は医療費や介護費用のリスクも高まる年代です。健康状態に応じて治療費や予防医療にお金を使う必要があり、これらの支出が家計の自由度を下げる要因になります。こうした支出は毎月一定額ではなく、急増することもあるため、貯蓄計画が想定通り進まないケースもあります。
 
このように、教育費・住宅関連費・医療費が同時に影響することで、「毎月貯蓄したいけれど思うように進まない」という現実が生まれているのです。
 

毎月7万円の貯金で将来はどうなる? 数字で見る資産形成シミュレーション

では、仮に毎月7万円を貯め続けた場合、将来どれくらいの額になるのでしょうか。シンプルに考えると、年間84万円(7万円×12ヶ月)を10年続けた場合、840万円になります。20年続ければ1680万円です。
 
ただし、現実にはインフレや生活支出の変動などがあり、単純計算よりも複雑になります。金融庁が提供する「ライフプランシミュレーター」などを利用すると、個々の収入、住宅関連費や生活費等の支出、労働期間など入力して、より精度の高い計画を立てることができます。
 
ポイントとなるのは、積み立てだけを目標にするのではなく、収入や支出を見える化し、無理のない範囲で積立額を調整することです。例えば、ボーナスや臨時収入があったときに貯蓄額を増やす、自動積み立てを設定して確実に資産を形成する、必要に応じて投資信託などで資産運用も検討するなど、柔軟な計画が重要です。
 

まとめ

50代の金融資産が「平均1000万円超」と聞くと不安になるかもしれませんが、実態を見ると、多くの世帯に近いのは平均ではなく中央値です。毎月7万円の貯金ができているのであれば、それは決して少ない水準ではありません。
 
50代は教育費・住宅関連費・医療費などが重なり、思うように貯蓄を増やしにくい時期といわれています。大切なのは、他人の平均額と比べることではなく、自分の家計に合ったペースで資産形成を続けることです。支出を把握し、無理のない貯蓄を積み重ねていけば、将来に向けた備えは着実に形になっていくでしょう。
 

出典

金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯 各種分類別データ 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)、単身世帯 種分類別データ 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
総務省統計局 家計調査 家計簿からみたファミリーライフ 第3章 年齢階級別に見た暮らしの特徴
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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