最低賃金は「65円上がった」のに、私の時給は“1100円”据え置きです…周りのママ友は「時給アップでうれしい」と言っていますが、これって違法じゃないんですか? 時給が上がらないケースとは
本記事では、最低賃金の見直し内容を振り返ったうえで、時給を上げないことが違法なのか解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
目次
令和7年度の最低賃金の見直し内容
厚生労働省が公表した令和7年度の地域別最低賃金によると、全国加重平均は 1時間あたり1121円(前年度1055円) となり、前年度から66円の大幅引き上げとなりました。
最低賃金は、正社員・パート・アルバイト・派遣といった雇用形態にかかわらず適用されるため、影響は非常に広範囲におよびます。
最低賃金が上がっても、必ず時給が上がるわけではない
「最低賃金が上がるなら、自分の時給も上がるだろう」と思う気持ちも分かりますが、最低賃金の引き上げによって、必ずしも自分の時給が上がるとは限りません。
最低賃金は、あくまでも労働者にその金額以上支払うことが義務付けられているだけであり、例えば「最低賃金が60円上がったら、全員の時給も60円上げなければならない」というわけではありません。
例えば、福岡県は今回の変更で最低賃金が1057円になりました。福岡県内で、時給1100円で働いていた人がいるとすると、この人の時給は既に1057円以上という基準を上回っています。
そのため、企業としては1100円から時給を引き上げる義務はないということです。
一見最低賃金以上に見えても違法になる可能性があるケース
しかし、表面的には最低賃金以上に見えても、実質的に最低賃金を下回っていると判断され、違法となるケースもあります。特に注意したいのは次のような場面です。
【制服代・備品代などの天引きで実質賃金が下がる場合】
時給が最低賃金を上回っていても、給与から制服代や備品費を大きく差し引くことで、結果的に実質賃金が最低賃金を下回るケースがあります。
この場合、実質的に最低賃金を下回っていると判断され、法的に問題となる可能性があります。
【歩合制(出来高払い)で結果的に最低賃金を下回る場合】
完全歩合制や出来高払いの場合でも、「働いた時間で割った時給」が最低賃金を下回れば違法です。
例えば、福岡県で1日8時間働き、歩合給が6000円しか得られなかった場合、時給換算は750円となり、最低賃金の1057円を大きく下回ります。この場合、会社が差額を補填する必要があります。
会社が最低賃金を守っているか確認する方法
会社が最低賃金を守っているか確認する方法としては、まずは自分が働いている地域の最低賃金額を確認しましょう。
そのうえで、給与明細に記載されている時給、または月給・日給の場合は「最低賃金の計算対象となる部分」を取り出し、所定労働時間で割って時給相当額を算出します。その結果、地域の最低賃金額を下回っているようであれば、違法となる可能性があるということです。
違法の可能性がある場合、どうすればいい?
もしも最低賃金に関する違法がなされていると感じた場合、まずは会社に「最低賃金の改定に伴う賃金の見直しが行われているか」や「控除の内容の根拠」を確認することが第一歩です。
そのうえで、説明に納得できない、もしくは会社に相談しづらい場合には、最寄りの労働基準監督署や、厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」に相談する方法があります。給与明細やシフト記録が手元にあると、より正確な助言を受けられるでしょう。
まとめ
最低賃金の大幅な引き上げは大きな話題になりますが、最低賃金はあくまで「下限額」を示す制度であり、全ての労働者の賃金を自動的に押し上げる仕組みではありません。
その一方で、天引きや歩合制の仕組みによって、気づかないうちに最低賃金を下回る時給で働いているケースもあります。不安に思ったときは、まずは数字を確認し、会社、または必要に応じて公的機関へ相談することが大切です。
最低賃金制度を正しく理解し、自分の働く環境を守るための判断に役立てましょう。
出典
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
