高齢の親に、浴室の「ハロゲンヒーター」の設置を勧めても、「電気代」がかかるからと嫌がります。実際そんなにかかるものでしょうか? ヒートショックが心配です……
今回は、ヒートショックのリスクを減らすために、暖房器具を使うとどのくらい費用がかかるのか解説します。その他の対策方法もチェックしていきましょう。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
冬の浴室はヒートショックに注意
ヒートショックとは、急激な温度変化によって、心臓に大きな負担がかかってしまう現象を指します。
暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に入り、その後熱いお湯に入ることで、血圧が大きく変化します。急激な温度変化によって起こる血圧の乱高下によって、頭がくらくら、ぼーっとするなどして、意識を失い、そのまま溺死してしまうケースもあるようです。
「みんなの消費安全ナビ from 消費者庁」によると、令和5年の65歳以上の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は、特に12月、1月など冬に多い傾向がみられます。
さらに、平成25年から令和5年の10年間で、65歳以上人口は14%増であるのに対し、65歳以上の「不慮の溺死及び溺水」の死亡者数は31%増加しており、入浴時の事故対策の重要性がうかがえます。
ハロゲンヒーターは有効? どのくらいお金がかかる?
ヒートショックを防ぐためには、あらかじめ脱衣所や浴室を暖めておくことが有効です。しかし、脱衣所や浴室にエアコンを設置するのは難しいので、手軽に使えるハロゲンヒーターの利用を検討している人もいるかもしれません。
ハロゲンヒーターとは電気ストーブの一種で、ガスや灯油などを使わず、スイッチ一つですぐに暖かくなるという特徴があります。コンパクトな商品も多く、場所を取らずに簡単に設置ができるのも魅力的です。ハロゲンヒーター自体の値段も、エアコンや石油ストーブなどに比べると、安いことが多いでしょう。
ただし、一般的なハロゲンヒーターの取扱説明書には「浴室で使用しない(感電・ショート・発火)」と記載されていることが多いです。必ず、取扱説明書を確認したうえで使用しましょう。
次に、ハロゲンヒーターの電気代をチェックしておきましょう。例えば、ハロゲンヒーター1000ワットで、1時間使用した場合にかかる電気代が、31円ほどです。
さらに強い1200ワットでは、1時間使用した場合にかかる電気代が、37.2円、逆に800ワットでは、24.8円となります(公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の電力料金目安単価31円/キロワットアワーとして計算しています)。
入浴時に脱衣所を暖めるだけに使用する場合、1時間あれば十分でしょう。さらに短時間だけ利用すれば、電気代を抑えることができます。ハロゲンヒーターは、確かに電気代がかかりますが、数十円でヒートショックという大きなリスクに対応することができるので、活用することを検討してみましょう。
ヒートショックの対策方法
暖房器具を使って脱衣所や浴室を暖める以外にも、ヒートショックを防ぐ方法があります。
「みんなの消費安全ナビ from 消費者庁」や「政府広報オンライン」によると、例えば、入浴前に水分補給をする、熱すぎるお風呂には入らない(おおむね41度以下)、同居人がいる場合は入浴前に声をかけるなどが有効です。
浴槽から急に立ち上がらないようにする、長風呂をしない(入浴時間は10分を目安にする)なども覚えておきたい対策方法です。高齢者本人が気を付けることも大切ですが、高齢者と同居している場合、家族も入浴をしっかり見守るようにしましょう。
まとめ
寒い冬にゆっくりお風呂に入ることはとても気持ちがいいですが、実はヒートショックという危険が潜んでいます。
脱衣所を暖めるためにハロゲンヒーターなどの暖房器具を使うと、確かに電気代がかかりますが、健康を守るためには大切な投資だともいえます。その他の対策方法を併用しながら、適切に暖房器具を使い、安全に入浴を楽しみましょう。
出典
消費者庁「みんなの消費安全ナビ from 消費者庁」コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 交通事故死の約3倍?! 冬の入浴中の事故に要注意!
公益社団法人全国家庭電気製品 公正取引協議会 よくある質問 Q&A その他の質問 Q カタログなどに載っている電力料金の目安単価とは何ですか?
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
