還暦を迎えた一人暮らしの独身男性です。普通預金に370万円あります。そのまま銀行に預けておくか、投資信託するか迷っています。どちらのほうが賢明でしょうか?
本記事では、普通預金のメリットと限界、投資信託をするなら押さえたいコツを整理します。
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目次
「預金の安心」と「投資の期待」を分けて考えると迷いが減る
預金と投資信託のどちらを選ぶか悩む場合、実はお金の役割が混同されています。一つ目は、急な出費に備える「生活防衛資金」(預金)、もう一つは将来の成長を担う「余裕資金」(投資)です。
還暦で一人暮らしの場合、頼れる家計のクッションが小さくなりやすいので、まずは生活防衛資金を十分確保するのが基本です。投資信託は市場変動リスクがあり、必要なタイミングで取り崩せない可能性があるためです。
逆に、生活防衛資金が確保できている余裕資金であれば、投資信託を一部組み込むことで資産成長が期待できます。全額投資は心理的負担が大きいですが、「一部だけ投資」なら継続しやすいでしょう。
普通預金で保有するメリット・デメリット
普通預金の強みは、いつでも引き出せることと、銀行が破綻した場合でも一定範囲が守られる安心感です。日本の預金保険制度では、一般的な預金(普通預金など)は、1金融機関あたり元本1000万円までと利息が保護対象です。預金が370万円であれば、金額面ではこの枠内に収まります。
また、最近は大手銀行で普通預金金利が引き上げられ、年0.3%の水準が見られます。
例えば、370万円を年0.3%で1年保有すると、税引き前の利息は「370万円×0.003=1万1100円」です。税金を考えると手取りはもう少し減りますが、「ゼロに近い時代よりは気持ち楽になった」と感じる人もいるでしょう。
一方でデメリットは、物価が上がる局面では、預金だけだと実質的な購買力が目減りしやすいことです。つまり、「額面は減らないけれど、将来買える量は減る」可能性があります。ここが、投資信託を検討したくなる理由です。
投資信託をするなら、始め方を工夫すると失敗確率は下げられる
投資信託は、たくさんの株や債券などをまとめて持つ仕組みで、少額でも分散しやすいのが利点です。ただし、基準価額は変動するため元本保証はありません。
還暦から始める場合、大事なのは「当てにいく」より「事故を減らす」やり方です。具体的には、次の3点を押さえると失敗しにくくなります。
まず、投資信託は一度に買わず、分けて買うことです。相場は読めないので、例えば毎月一定額ずつ買うと、高いときは少なく、安いときは多く買う形になり、購入時期の偏りを小さくできます。
次に、コストの低い商品を選ぶことです。投資信託には保有中にかかる費用として、信託報酬(運用管理費用)などがあり、運用成績に少しずつ影響します。「同じような内容なら、手数料が低いほうが有利になりやすい」くらいの感覚で大丈夫です。
そして、税金面で有利な枠を使うことです。新NISAは、一定の枠内での運用益が非課税になる制度で、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間360万円まで投資でき、非課税で持てる上限(生涯の枠)も設けられています。
もちろん、NISAでも基準価額が下がるリスクはありますが、増えた分に税金がかからないメリットは長期的に生かせます。370万円という金額だと、現実的には全部投資して大きく増やすより、預金で安心を確保しつつ、余裕分でゆっくり慣れるほうが、生活と気持ちの安定が両立しやすいです。
手元資金は「守るお金」と「育てるお金」に分けよう
判断の基準を「増える期待」だけに置くと、投資信託に寄りがちです。しかし、還暦で一人暮らしの場合、判断の中心を「困らないこと」に置くのが安全です。
まずは、当面の生活費や突発の医療費に備える分は普通預金に置き、預金保険の範囲内(1金融機関あたり元本1000万円+利息)で安心を確保します。そのうえで、残った余裕分は、コストを意識しながら積み立てで投資信託に回し、新NISAなど非課税枠も活用します。
この二段構えにすると、相場が下がっても生活は守れますし、上がれば資産が育つ可能性もあります。迷いをゼロにするのは難しくても、後悔を小さくする設計はできるでしょう。
出典
金融庁 預金保険制度
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
