会社に「インフルになった」と連絡したら、勝手に“有休5日分”使われてた! 欠勤でも「給与の6割もらえる」と聞いていたのですが、どういうことですか? 有休が減るのは仕方ないでしょうか?
実は、インフルエンザで休んだ場合に有給休暇を使うかどうかは、会社が一方的に決められるものではありません。一方で「有休を使わなければ必ず給与の6割がもらえる」という理解も正確ではありません。
本記事では、インフルエンザで欠勤した場合の扱いと、有休を使わず欠勤にした場合に利用できる「傷病手当金」という制度について分かりやすく解説します。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
インフルエンザは欠勤が原則
インフルエンザは、原則として業務とは直接関係のない「私傷病」として扱われます。そのため、インフルエンザに罹患して会社を休む場合、その扱いは原則として「欠勤」になります。会社の判断で休ませる「会社都合の休業」には該当しません。
では、インフルエンザに罹患した場合、必ず有給休暇を使わなければならないのかというと、そうではありません。有給休暇は労働者が請求して取得するものであり、会社が一方的に有休処理を強制することは原則としてできません。
欠勤扱いにするか、有給休暇を充てるかは、本人の意向をふまえて判断されます。
有休を使わずに「給与の6割」がもらえるって本当?
インフルエンザなどの私傷病で欠勤した場合、気になるのが欠勤中の収入の扱いです。有給休暇を使えば通常どおり会社から給与が支払われますが、有休を使わずに欠勤した場合は、原則として無給となります。
一方で「有休を使わなくても給与の6割がもらえる」と言われる背景には、健康保険の「傷病手当金」という制度があります。会社員が病気やけがで働けなくなり、給与が支払われなかった場合、一定の条件を満たせば健康保険から傷病手当金が支給される仕組みです。
支給額は、1日あたり標準報酬日額の3分の2とされており、金額としてはおおむね給与の6割に相当します。こうした仕組みから、「収入が補われる」と言われることがあります。ただし、実際に支給されるのは給与ではなく、一定の条件を満たした場合に健康保険から支給される公的な給付です。
傷病手当金は、休んだ日数分のお金が出るわけではない
ここで注意したいのが、傷病手当金の支給条件です。傷病手当金には「待期期間」があり、欠勤してからの連続する最初の3日間は支給対象外となるため、支給が始まるのは4日目以降になります。
例えば、インフルエンザにかかり5日間連続で会社を休んだ場合、支給対象となるのは4日目と5日目の2日分のみです。また、傷病手当金は申請手続きが必要で、実際に支給されるまでに時間がかかる点も見落とせません。
一方、有給休暇を使えば、通常どおり満額の給与が支払われます。「有休を使う」「欠勤にして傷病手当金を申請する」では、受け取れる金額やタイミングに違いがあるため、どちらが有利かは個々の状況によって異なります。
なお、会社によっては病気休暇や感染症対応の特別休暇などを設けている場合もあります。こうした制度があるかどうかは、就業規則を確認しておくとよいでしょう。
まとめ
インフルエンザで会社を休んだ場合、有給休暇を使うかどうかは会社が勝手に決められるものではありません。有休を使わずに欠勤扱いとすることは可能ですが「休んだ日数分の収入の6割が補償される」わけではない点には注意が必要です。
また、傷病手当金には連続する3日間の待期期間があり、申請手続きが必要となる点にも留意しておきたいところです。
制度を正しく理解せずに判断すると「思っていたより手取りが少なかった」「支給まで時間がかかった」と感じることにもなりかねません。欠勤時の扱いについては、就業規則と公的制度の両方を確認したうえで、自分にとって不利にならない選択をすることが大切です。
出典
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
