SNSで「金は若いうちに使え」「年取って金だけ持ってても仕方ない」投稿に共感多数…「20代・年収350万円」ですが、本当に貯蓄より“経験を優先すべき”ですか? 若者が堅実になる理由とは

配信日: 2026.02.28
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SNSで「金は若いうちに使え」「年取って金だけ持ってても仕方ない」投稿に共感多数…「20代・年収350万円」ですが、本当に貯蓄より“経験を優先すべき”ですか? 若者が堅実になる理由とは
最近、X(旧Twitter)への投稿で、投資によって資産が1000万円に到達した20代の若者に対し、「通帳残高はただの数字。今すぐ100万円をおろして、バックパッカーで世界を貧乏旅行しなさい」という趣旨のコメントが投稿されました。
 
このコメントには「本当にそう思う」「20代の時の海外旅行は、老後の大金より価値がある」といった共感の声が多数寄せられる一方、「若いときの経験が大事だからと散財し、老後資金がなくなってしまったら悲惨だ」という反論も出ています。
 
最近の若者は金銭的に堅実な人が多く、20代のうちから「NISA」や「iDeCo」の制度を活用した投資と資産形成に熱心な人も存在します。「若いうちのお金の使い方」は、どのようにすべきなのでしょうか。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

「若者が金銭的に堅実になっている」理由とは

まず、20代の若者が置かれている経済状況を確認してみましょう。国税庁のまとめた「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、わが国における20代の給与所得者の平均年収は以下の通りです。
 

20代前半(20~24歳):約277万円
20代後半(25~29歳):約407万円

 
かなりの幅がありますが、ここでは「年収350万円」の若者を例にしましょう。ボーナスがない場合、月収は約29万円となります。そこから税金や社会保険料を引かれた「手取り」は、毎月約23万円になります。
 
この若者が一人暮らしをしていて、家賃、光熱費、食費、スマホ代、奨学金の返済などの必要不可欠な生活費が月に20万円かかると仮定すると、手元に残るのは3万円程度です。
 
この余裕資金から、将来のためにと月3万円を貯蓄や投資に回した場合、飲み会や旅行に使うための余裕はほぼゼロになります。逆に、旅行や趣味にお金を回せば、全く貯蓄ができなくなってしまいます。
 
つまり、多くの20代にとって「貯蓄・投資もして、お金のかかる経験も積む」というのは物理的に困難であり、「将来の安心(貯蓄・投資)をとるか、今の経験をとるか」という二択を迫られているのが現実だといえます。
 
実家暮らしで家賃や光熱費がかからなかったり、若くして多額の給与を手にしていたりするなどの特別な状況がなければ、趣味や旅行に大きな費用をかけることはためらわざるを得ないでしょう。
 
そこに、年金制度への将来的な不安や、政府の投資推奨なども加わって、「せめて将来のために貯蓄や投資を」と考える若者が増えているのではないでしょうか。
 

経験の「複利効果」をどう考えるか

このような議論では
 
「若い時の経験には『複利効果』がある。海外旅行などで得た感動や失敗談は、その後数十年にわたって話のネタになり、仕事のアイデアになり、人生を豊かにし続けるのだから、お金で買える経験は早めに買っておくほうが得である」
 
という意見がよく出るのですが、筆者はこのような考え方には半分賛成・半分反対です。確かに体力や感受性の強い若いうちに、さまざまな経験をすることには大きなメリットがありますが、それはあくまでも「結果的に将来のためになる経験ができた場合」に限るからです。
 
上記のような意見は、いわゆる「生存者バイアス」がかかったものであることが多いと思われ、無条件に肯定はしづらいです。悲観的に考えれば、バックパック旅行で将来に悪影響が出てしまうような「経験」をしてしまう場合もあるのですから。
 
筆者が若かった頃を振り返ってみると、海外をバックパック1つで長期旅行するというような経験には全く興味がわかなかったものの、大学生となって親元を離れ、一人暮らしを始めて以降は「家事・節約・投資」などについては強い興味を持って実践しており、その経験は自分にとっての基礎となりました。
 
その結果、現在はファイナンシャル・プランナーとなってこの記事を書いています。
 
筆者はこれらの「家事・節約・投資」をするにあたって、特別な費用はかけていません。むしろ、支出を減らして蓄えを増やす方向でした。しかし、自分にとっては将来の仕事を決め、稼いでいくうえで重要な「経験」となったのです。
 
筆者は、「若いうちに自分が興味ある分野で、実際に行動して経験を積むこと」が重要なのだと思っています。その経験に費用がかかるかは、本来は別の問題です。
 
興味の対象となる分野が、お金のかかる旅行などである場合、お金のかからないスポーツなどを楽しむことである場合、お金を稼ぐアルバイトなどである場合など、人によってさまざまでしょう。
 
「若いうちに経験のためにお金を使え」という意見も尊重しつつ、自分が興味のある物事は何か、経験したいと思えることは何かについて考えることをおすすめします。その経験に費用がかかると分かってから初めて、費用をどのように捻出するか、費用を抑えることはできないかを考えていくべきでしょう。
 

まとめ

若者は、物価高に加え、社会保険料や税金が重くのしかかっていることもあり、「将来のための貯蓄」と「趣味に使う支出」を両立できない場合が多いと思われます。将来の自分を形作る「若いうちの経験」には大きな価値がありますが、自分が興味のある経験したい物事は何かをまず考えることをおすすめします。
 
その経験に費用がかからないのならばすぐに実行し、大きな費用がかかるのならば改めて費用をどのように捻出するか、費用を抑えることはできないかを考えるのがいいのではないでしょうか。
 

出典

国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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