ガス会社から「古い給湯器を交換すれば、ガス代が年間2万円安くなる」と提案されました。ただし本体価格は「25万円以上」とのこと。今後、何年住むか分からない家で元は取れるのでしょうか?
本記事では、給湯器の交換が本当にガス代の節約につながるのか、そして元を取れるかどうかを判断するポイントを解説します。
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/
目次
給湯器を交換するとガス代はどれくらい下がる?
ガス会社が提案する「ガス代が安くなる」根拠は、最新の高効率給湯器(エコジョーズなど)への交換を前提としていることが多いようです。
従来の給湯器は、排気熱をそのまま捨てていました。一方で、エコジョーズはこの排気熱を再利用して水を温めるため、ガス消費量を約10~15%削減できる可能性があります。ただし、「年間2万円安くなる」という数字は、平均的な使用量を想定したあくまで「条件付き」の目安にすぎない場合もあるので注意が必要です。
実際のガス代の節約額は、以下の要素で大きく変わってきます。
・家族人数、お湯の使用量
・追いだきの頻度
・冬場の使用状況
・現在使っている給湯器の年式
一人暮らしや共働き世帯で使用量が少ないといったような場合、ガス代の節約額が年間1万円以下にとどまることも珍しくありません。
節約額を見積もるために、直近1年間のガス代を確認し、その10~15%がいくらぐらいになるかを計算してみるようにしましょう。
本体価格25万円は高い? 総コストで考える
本体価格は、号数や機能によってさまざまです。号数とは、「1分間に水温+25度のお湯を何リットル出せるか」を表した数値です。例えば、「16号」という給湯器では1分間に16リットルのお湯を出すことができます。数字が大きくなればその分、一度にお湯を沸かす能力も高くなりますが、本体価格も高くなります。
また、給湯器交換にかかる費用は本体代だけではありません。給湯器交換では、以下の費用がかかるのが一般的です。
・給湯器本体:15~35万円
・工事費や撤去費:4~6万円
・合計:おおよそ20~40万円
「ガス代が年間2万円安くなる」としても、ガス代の節約分だけで交換費用の元を取るには10~20年の期間がかかります。ここで重要になってくるのが、給湯器の寿命です。
給湯器の寿命は何年? 元を取れる期間と比較
ガス給湯器の平均的な寿命は、一般的に10~15年程度とされています。仮にガス代が年間2万円安くなり、給湯器が15年使えたとしたら、節約総額は年間2万円×15年=30万円となります。計算上では、交換費用の元が取れるかどうかはトントンといったところでしょうか。
しかし、もし途中で修理費がかかれば、実質的に元が取れない可能性もあります。さらに「何年住むか分からない家」であれば、転居前に交換費用を回収しきれないリスクもあります。
「何年住むか分からない」場合に検討すべき3つの選択肢
「元が取れるまで住み続けるか不透明」といった場合、次の3つの選択肢も検討するとよいでしょう。
「従来型」を選んで初期費用を抑える
無理にエコジョーズを選ばず、構造がシンプルな従来型給湯器を選択する方法です。従来型給湯器は本体価格が安く、工事費込みで10~15万円程度で済む場合もあります。居住予定が10年未満であれば、初期投資を抑えたほうがトータル費用(初期費用+ガス代)を安くできる可能性が高まります。
ネット専業業者で相見積もりを取る
ガス会社の提示額「25万円」は、大手企業であるという安心料が含まれているとはいえ、市場価格としては高めである可能性があります。
ネット専門の交換業者であれば、同じエコジョーズでも15~20万円程度まで抑えられる可能性があります。初期費用を15万円まで下げられれば、年間2万円のガス代の節約で回収期間は7.5年となり、10年以内に元を取ることが現実的になります。
地方自治体や事業者の助成金や補助金を活用する
お住まいの市区町村や事業者が、独自にエコジョーズへの助成金や補助金を出している場合があります。
自治体や事業者の窓口やホームページで、「省エネ家電 助成金 補助金」などのキーワードで探してみるのも有効です。例えば、新潟県上越市ガス水道局の「エコジョーズ導入助成金」(申請期限:令和8年3月16日)では、1台あたり2~3万円の助成金が受けられます。
「お得かどうか」はガス代だけで判断しない
給湯器の交換は、必ずしも「ガス代がお得になるか」だけが判断基準ではありません。給湯器交換のメリットは節約以外にも、例えば次のようなものが挙げられます。
・突然の故障リスクを減らせる
・冬場の湯量不足や不具合の解消
・追いだき性能や静音性といった機能面の向上
・売却や賃貸時の設備評価アップ
「近いうちに壊れそう」「お湯の調子が悪い」などの不安がある場合は、安心料としての交換という考え方もできます。
給湯器交換を検討する前に確認したいこと
給湯器の交換が「お得」かどうかを判断するために、次の3点を確認するとよいでしょう。
■現在の給湯器は何年使っているか
すでに10年以上使用しているなら、近い将来の交換は避けられない可能性があります。給湯器が突然故障すると、お風呂に入れないといったトラブルにつながることもあります。
■年間のガス代はいくらか
年間ガス代が10万円未満の場合、初期費用を考えるとガス代の節約効果は限定的となる可能性があります。
■今の家にあと何年住む予定か
10年以上住む予定があるかどうかで、判断は大きく変わります。
まとめ
給湯器の交換は、「ガス代が年間2万円お得」という言葉だけで判断すると、後悔につながる可能性があります。
・元を取るには10年以上かかる
・寿命や住居期間との兼ね合いが重要
・安心や快適性という非金銭的価値も考慮する
上記を踏まえたうえで、自分の暮らしにとって納得できるかを判断することが大切です。数字だけでなく、生活全体を見渡して考えることが、後悔しない給湯器選びにつながるでしょう。
出典
新潟県上越市ガス水道局 エネファーム・エコジョーズ・ガス衣類乾燥機助成金
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)


















